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第七話

疲れた……

あれから小一時間。

剣を落としたら負けというルールで、わたしたちはずっと剣を交えていた。

結果は3対2でわたしの勝ち。

けどこの王子さま、すごく強くて苦戦を強いられた。

でも……こんなに充実した時間を過ごしたのは初めてだった

そのぶん疲れ方も半端なくて、最後の勝負が終わると二人で中庭に倒れ込んでしまった。

今までにこにこしながらわたしたちを見ていた先生は『お水を持ってきますね』と、どこかに行ってしまった。


すると、隣で倒れ込んでいた王子はふとわたしの方に顔を向けた。

「お前……強いんだな」

わたしは何だか恥ずかしくて、体が熱くなって、吹き抜けの中庭から空を仰いだまま答えた。

「おーじさまも……つよかったです」

「グレンだ……」

「へ??」

「クロエが言っていた。友人同士は名前で呼び合うんだろう? あと敬語も使っちゃダメだ」

「でも……」

「おれもお前をセツって呼ぶ」

名前を呼ばれてまた体が熱くなり、“友人同士”と言う言葉に自然と笑顔がこぼれた。

何だか無性に嬉しい。

「え〜っと、じゃあグレンさま?」

「“さま”もつけちゃダメだ」

「グ……レン?」

「よし!!」

王子さま……じゃなくて、“グレン”は耳まで真っ赤になっている

人のことは言えないけれど……



「じゃあクロエが戻ってくる前に行くぞ」

「どこに?!」

「まず、厨房で食料を調達するだろ? それから王宮の裏の森に行くぞ? あそこへは秘密の抜け道があるんだ!!あとは……」

「そんなことしていいの?!」

次から次に出てくる無謀な計画に、思わず口をはさんでしまった。

「いつか友人ができたら一緒にやりたいと思ってたんだ。行くぞ!!」

疲れてくたくたのはずなのに、グレンは勢い良く立ち上がり、わたしも口では躊躇いながらも足は自然とグレンの後を追う。




内心とてもわくわくしていた。

王宮の中を探検できることも嬉しかったけど、 グレンとまだ一緒にいられる。


まだ出会って数時間しか経っていない人のはずなのに、それが何より嬉しかった。



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