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にわ。



アディアード王子とは金髪碧眼の美形。これぞ王子という想像が具現化したような人だ。


という噂。

一家に一枚、王子の絵姿が飾られ、朝な夕な拝まれている。本当の話。私は見た。

うちにも一枚あるけど、これは持ってないことを知った古着屋のおばあちゃんが、鬼気迫る勢いで私の手に握らせたから。


それはだめじゃよ。王子の微笑みはばば達の守り神じゃ。王子に始まり王子に終わるのがばば達国民の一日の過ごし方じゃ。カノン、なんと可哀想な。不憫な子じゃ。ほら、これをやろう。ばばのことは気にせんでええ。来週の新作を買う理由ができたからの。


…あれ?これって親切?おばあちゃん、新作ほしかっただけじゃないの?気のせい?

まあいいや。そういうわけで、国民のあいどるアディアード王子の顔は乳児だって知ってるっていう浸透ぶり。凄いね、王子様。


その王子様が行き倒れてた。ぼろっぼろで。

え?なに。命狙われてる系?それとも行き倒れ系?じっと見てるだけじゃ分からないのでとりあえず声かけてみた。で、ついでに取引してみた。みた。みた。うん、みた。


「王子様、キスで人殺せるねえ」

「殺せません」


でもごめんなさい。

しゅんとした王子様に背負われて、ただいま家路についてます。

立てないんだ。腰立たないんだ。キスで腰砕けるとか漫画でよく見たけど、本当なんだ。あれ過剰描写じゃなかったんだ。意識もとぶかと思った。

それにしても。


「まさかやり返されるとは…」


私の唾液には力があるらしい。唾液ひとつで元気になりまーす、な感じの。唾液に限らないんだけども。血とかね。あれもいいらしい。でも切るの痛いし。だからちょっとキスしてみた。人工呼吸だと思って。

恥ずかしかったよ。だってふぁーすときすだもん。しかも王子様美形だもん。王子様が死にかけてなかったらやらなかったよ。なのになのになのにいいい。


「うう…てくにしゃん」


死にかけてた人にやり返された。

私、恋人できた時大丈夫かな。満足できるかな。王子様キス上手すぎだよ。

あ、あれか。ぷれいぼーいか。皆のあいどるアディアード王子様は実はぷれいぼーい。


「ぷれいぼーい」

「…別に遊んでるわけじゃ」


項垂れた王子様は、いや、でも本気じゃないとやっぱ遊んでることに?と呟きつつ、だんだん暗くなってきた。おや、これは何か地雷か?よしよし、と頭を撫でてみた。


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