いちわ。
ギャグっぽいのが書きたくなりました。
しかもストーリーが決まってない行き当たりばったりな話です。
ご注意ください。
「やっほー、王子様」
うつぶせた体勢のまま顔だけ上げたのは、頭に影が差したのからだ。
顔を上げた先にいたのは一人の少女。黒髪と紫の目の全身黒尽くめの少女。
少女は無表情で手を振っている。悪いが、振り返す気力も体力もない。
ぽて、とまた地面とお友達になる。ああ、意識が薄れてきた。これ目覚めるのかな。
「わお。王子様限界?限界なわけね。はいはーい」
少女はまた無表情なのだろうか。無表情でその口調ってなに。気になって意識が完全に落ちない。いいことなのかどうなのか。っていうか、さりげに余裕ないか?俺。
こんなだから母上に、あんたは本当残念な美形ね~とか言われるんじゃないか?いや、関係ないかこれ。
「ね、王子様。でっどおあらいぶ」
…は?
いきなりたどたどしくなったな。
「私ね、家に帰りたいんだけど、帰り方分からなくて。ここで王子様助けてあげたら王子様手伝ってくれる?くれる?く~れ~る~う?」
何か今イラッときた。
その苛つきを力に、片手をというか、手首だけ持ち上げて、ばんっと地面を叩いた。いや、実際にはぱすっとか言ったけど。っていうか地面にしては柔らかいんだけども。
「…王子様さあ、乙女の足をなんだと」
乙女の足?
「ま、いいや。了承ってこと?おっけーってこと?いいよーってこと?」
何が。
「じゃ、助けたげる」
まてまて、俺は何も言ってない。言う元気もないが。
ってか、ちょっとまて。頭を持ち上げるな。ぐぎっていった。首がぐぎって。しかもこの体勢辛い。マジ辛いから。
「…んっ!?」
柔らかい感触が唇に。舌にまで感じる柔らかい…って、待て。本当に待て。
ごくん、と喉がなった。飲んだのは何だ。唾液とかじゃないよな?お嬢さん、君ね、初対面の男相手にこんなことしちゃだめだろう。もっと自分を大事にしなさい。
とか思いながら、舌絡め返してるのは俺のせいじゃない。
いつのまにか力を取り戻した腕が少女の頭を支えてるのも俺のせいじゃない。
うん。
悪かった。
「…っ、はっ、ぁ…お、王子、様。あの、ね」
はあはあと息が荒い少女が地面に懐いている。
俺はうつぶせの体勢のまま項垂れている。
「初心者相手にこれはないと思うの」
「すみませんでした」
その初心者のたどたどしい舌の動きに燃えてすみません。萌えかもしれない。とにかくぞくっときたんだ。
「うぅ…うごけない…」
本当すみませんでした。