詩 コンビニに寄ると、彼女が大変なことに
下校途中、コンビニに寄ると、俺は
「トイレに行く」
と彼女に告げる。
学校で行っとけば良かったのに、今頃になって無性に行きたくなったのだ。
彼女はこくりと優しくうなずく。
「1人で大丈夫か?」
「大丈夫よ。すぐ戻ってくるんでしょう?」
「おう。行ってくる」
俺は後ろ髪引かれる思いで、トイレへ向かう。
ちょうど空いていて、掃除したてのような、綺麗なものだった。
俺は急いで用をたすと、手を洗う。
早く彼女の元に行きたくてしょうがなかった。
トイレから出て彼女を探すと、見知らぬスーツを着た男が側にいる。
年上らしく、香水のきつい香りがここまで漂ってくる。
どうやらスマホを持っており、彼女はずっと首を横に振っている。
これは、まさか…。
心配した通りの展開のようだった。
困っている彼女を救おうと、近づくと、彼女が気づき、表情を明るくする。
俺は胸を張ると、男らし怖い表情で聞く。
「何の用ですか?」
男はこちらを振り返り、ぎょっとしたような顔をする。
ライオンに睨まれた猫みたいに、おどおどし始める。
「何? 何? 彼氏?」
「そうですけど、俺の彼女に何か用ですか?」
はっきり告げると、男は「ははは」と気力なく笑い、去っていく。
俺がコンビニを出ていくまで確認すると、彼女がいきなり抱きついてくる。顔は青白く、微かに震えていた。
「だから1人で大丈夫かって聞いたのに」
俺の言葉に、彼女は素直にうなずく。
「は、初めてだったから、怖かった…」
彼女の苦しそうな声に、背中を優しく叩いてやる。
「俺がいるから大丈夫だぞ」
「うん」
彼女が落ち着くまで、そのままでいる。他の買い物客の視線なんか、構わなかった。
彼女が1番、大切なのである。
「…もう大丈夫」
彼女がそう言って、そっと俺の胸を押す。
俺は最後に頭を撫でてやると、彼女は笑顔を浮かべる。
「さてと、何を買うか。アイスもいいし、ジュースもいいし」
「そうね。お腹、空いちゃった」
ぺろりと舌を出す彼女。
もう立ち直ったと見たが、まだ心配なので手を繋ぐ。
彼女も繋ぎ返してきたので、指を絡める。
「何しようか?」
「そうだな…」
何かあっても、俺が守るから大丈夫だぞ。




