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9話 奇跡

 精霊は再び 一人の青年に巡り合う

 安寧は終わりを告げる

 子の親に降りかかる悲しみ

 不老不死を求める人々にもたらされる災い

 子を探す人が預言を導く

 天の神は 災いを鎮めることを 一人の青年に託す 


 学院長が今日も預言書を確認すると、導く者が表れていた。預言は動き出すかもしれない。


 街ではエルフの女性や子供が忽然と消える事件が起こっていて、ちょっとした騒ぎになっていた。しかも、エルフの血が不老不死の薬になると言う根も葉もない事がまことしやかに囁かれ、売買までされていると言う噂まであった。


 神殿の孤児院でも、エルフの子供の何人かが姿を消してしまっていた。オーランは街の警備団に消えた子供達を探すよう頼んだが、孤児院から逃げたのではないかと言われ取り合ってもらえなかった。オーランは学院長の所に行き、どうしたら良いか相談すると学院長はハッとした。あの預言の内容はこの事なのかもしれない。オーランを連れて図書館に行くと預言書はなくなっていた。


 オーランは青ざめた。預言書に預言が発現し、それがいなくなった子供達と関係しているかもしれない。「子供たちは災いに巻き込まれているのですね。」とオーランの細く弱い声に、学院長はオーラン司祭を見て尋ねた。「なぜ司祭様が預言書の災いの事を知っているのですか?」。「私は前回の災いの事を全て覚えています。そしてブランド様、その時あなたから預言書のこともお聞きしています。」とだけ言うと、子供達を心配するあまり震えながら崩れ落ちた。学院長はそうだ、私は前回の災いの時、彼に助けてもらったのだ。もしかしたら今回の子を探す人とは、オーラン司祭なのかもしれない。導く者はオーラン司祭かもしれない。


 学院長はその事を確認するために、まずは預言書を見つけなければいけなかった。「司祭様、預言書と書かれた本をどこかで目にされていませんか?」と尋ねるとオーランは首を横に振るだけだった。子供たちを想って不安に震えるオーランの両肩を持ち、「どうか思い出してください。」と懇願した。オーランはハッとして「ブランド様、一緒にいらしてください。」と神殿に戻ると祭壇の所へやってきた。学院長も思い出した。祭壇の陰の小部屋。オーランが戸を開けると小部屋の真ん中に置かれた机の上に預言書があった。この預言の導く者はオーランだった。


 学院長は預言書を開き、預言をオーランに見せた。エルフの血が不老不死の薬になると言う根も葉もない噂と合致した。オーランは手で顔を覆い、「なんと言う事を」。オーランは子供達、いや被害に会っている全ての人々の無事を祈らずにはいられなかった。学院長はしばらく壁に描かれた聖人たちを見ていた。そうあの時オーラン司祭は、ここに描かれた神様はまるで預言書の災いと戦う青年に似ていると言っていた。そしてその中に一人だけいる聖女が本を掲げて天に向かって両手を広げていると…。なぜこんな大事なことを忘れていたのだろう。これこそ奇跡だとあの時思ったのに…。


 学院長はオーランに「司祭様。災いが起こった時、必ず一人の青年が虹色の光で災いと戦います。そしてその青年を愛する一人の女性もそこに来るはずです。その時、その預言書を彼女に必ず渡してください。お願いします。」と頭を下げた。穏やかなオーランがこの時ばかりは怒りから思わず「災いの元凶になる人々を飲み込むなら、災いと戦わなくてもいいではありませんか。」と言うと、学院長は厳しい口調で訴えた。「司祭様、それでは連れ去られた女性や子供、罪のない人々までもが犠牲になるかもしれません。」。我に返ったオーランは「すみません。神に使える身の私が言う言葉ではありませんでした。…わかりました。ブランド様の言われる通り私も預言の導く者として、私のするべきことをいたしましょう。」と言い、災いが現れたら、預言書を災いの地にいる女性に渡す事を約束した。

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