4話 巡り会い
ある日の夕方、いつものように森の道を歩き、散歩の最後は静かな夜の湖に向かった。今日は月明かりが明るい。静けさに包まれ、月明かりが湖に反射する。その美しい煌めきの中に一人の青年が立っているのを見つけた。彼の手から放たれる虹色の光は月明かりとは異なる美しさで水面を照らしていた。透き通るような肌。銀色の髪。細く長い手足。神殿に飾られている彫刻のような端正な顔だち。遠目でもわかる不思議な色の瞳。悲しいほど儚げな表情。アリーアはなぜか既視感があった。好きな歴史書の挿絵だっただろうか、それとも夢の中だっただろうか…思い出せない。手からは虹色の光を放ち落ち葉を集め寝床を作り、結界を張って眠る。これも以前に目にした気がする。こんな美しい光景を思い出せないなんて…。そして気づく。えっ!布を肩からかけただけの服!
アリーアはすぐに家に戻り毛布を持って湖に戻ってきた。コンコン、結界をノックする。結界を解いた彼はアリーアを見ると少し嬉しそうに彼女を抱きしめた。ええ〜〜〜。なんで半裸の男性に抱きしめられないといけないの。思わず体を離そうとした時、彼の瞳は緑と赤の複雑に混ざった不思議な色で本当に美しいと思った。どこかで見た瞳。
我に返ったアリーアは毛布を彼に渡すと、いくら美しくてもこんな危ない人を家に招いてもいいんだろうか…いや、でもこのままでは凍え死んでしまうかもしれない…と頭の中でグルグル悩んだ。そして「ウチに来る?」と自然に出てしまった事に自分でも驚いた。自分から誘っているのだ。彼は少し微笑んで頷いた。
沈黙の道。はぐれないよう彼と手を繋ぐ。凍えた手。このままでは本当に寒さで死んでしまっていたかもしれない。これは良い事をしたのだと自分に言い聞かせていた。 家に着くと彼は小さな声で「ありがとう、アリーア。」と言った気がした。なぜ私の名を知っている?こいつ、私のストーカーか?
とにかく凍えた体を温めなければいけない。温かいココアを彼に渡すとその間にお風呂を用意する。着替えは…。いつ、誰の物か覚えのない男物の服。ずっと引き出しの奥に大事にしまっていた。その服を彼のために置いておいた。
お風呂から出てきた彼は濡れたまま。床もビショビショ。なぜか、なんだか懐かしい。笑って、怒って、涙が溢れてきた。タオルで体を拭き、彼が服を着るとまるで彼のための服のようにピッタリだった。アリーアは困惑した。何?なぜ?
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精霊は再び 一人の青年に巡り合う
しばしの安寧
不老不死を求める人々にもたらされる災い
天の神は 災いを鎮めることを 一人の青年に託す
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