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2話 窓辺
アリーアは窓を開けて、部屋に風を通し、窓辺に置いた鉢植えにいつものように水やりをした。一人で湖の近くを歩いていた時に見つけた白い可憐な花。その一株を持ち帰って鉢植えにしたのだ。なんの花かはわからなかったが、ただとても懐かしい花のような気がした。
夕暮れになって空が茜色になると、いつも森の中を一人で歩いた。わからないことが多すぎる。なぜ学院を辞めたのか、その理由も思い出せない。そしてなぜか毎日この湖にやって来ている。嵐の日も。ここに来なければいけないと心が訴えてくる。暖かな木漏れ日、鳥のさえずり、動物たちの営みに触れて穏やかなはずなのに寂しさが癒えない。何かが足りない。それがなんなのかもわからない。私はどうしてしまったのだろう。自分は病気ではないかとさえ思えてくる。好きな歴史書を大量に読んでも心が晴れない。何か忘れている。
ふと湖の傍にある石に座った。それは以前の嵐で流れ着いた大きな石だ。そこに一人で座ってみた。涙が溢れる…誰かと座った気がする、横に誰かがいたような気がする…誰だったんだろう。とても大切な人だった気がする。とても大切な事を忘れている気がしている。アリーアはいつしか声をあげて泣いていた。あの時、神殿の前で膝まずいて泣いていた時の続きのように。訳もわからずただ泣いた。




