14話 祝福
学院長は一人、森の家の扉の右上の小さな窪みに手を入れると鍵を見つけた。扉を開くと、綺麗に整頓された部屋、二人で温かな食事を摂ったであろうテーブル。そしてあの日、ルークと話をした時間を思い出していた。
窓を開くと、爽やかな風が部屋中に入ってきた。水差しに水を入れ、白い可憐な花が咲いている鉢植えに水をやった。そして一人呟いていた。「僕は今でも二人のことも災いの事も覚えているよ。でも僕がまたこの預言書をあの本棚に見つけた時の絶望は想像できるかい?」そう言うと涙し微笑んだ。
学院長の手にはあの預言書があった。新たな預言の記されたページと挟まれた写真を見て嬉しそうに笑った。ルークとアリーアが見つめあって微笑んでいる鮮明な写真。そしてその間にはルークの幼い頃に似た不思議な瞳の利発そうな男の子と「Happy 1st Birthday」と書かれたケーキ。その周りには人々の笑顔。オーラン司祭、そして歳をとってしまっていたが、あの本屋の店主も…。日付は2年後。そして学院長自身のサイン。「2年後のこの日に僕はこんなに素敵な写真を撮ることになるんだね。そして、たくさんの事を話して一緒に笑おう。楽しみに待っているよ。この預言書はルーク、君の望んだ祝福の預言書だ。」と呟いて、写真と預言書をテーブルに置き、また窓を閉めて森の家を後にした。
預言者の名はルーク・ブランド。二度と預言書の預言が書き換わる事はなかった。ただ写真はそっと消えた。
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天の神から 災いを鎮めることを託され 成し遂げた 一人の青年と
預言を終わらせた精霊は 共に この森に戻る
神からの祝福を受け取り 幸福な時間を過ごす
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