12話 祈り
ルークが災いを鎮めようと戦っているのだ。以前も私は何もできなかった。ああ、そうだ、私は泣いてはいられない。ルークの元に行かなければいけない。預言書を探さなければいけない。アリーアは子供や女性たちはこのまま家具の陰で身を守るように言うと、一人、大風の中に出ていった。立っているのがやっとだった。それでも探さなければ…。アリーアの足からひどい血が流れている。そんなことは今のルークに比べればどうってことない。
アリーアは足を引き摺りながら「誰か預言書を知りませんか。誰か…。お願いです。お願い、誰か、誰か…預言書のありかを教えてください。お願い…。」彼女の全ての力を使って叫んだ。すると大風の中オーラン司祭が駆け寄ってきて「お嬢さん、あなたなのですね。さあ…。」そう言うと、アリーアに預言書を手渡し、アリーアの手を取り、少しでもルークの近くに行けるよう手を引いて行こうとした。アリーアは「ありがとうございます。私は大丈夫です。その代わり、エルフの女性や子供たちを助けてください。」とオーランに頼んだ。アリーアは女性や子供たちのいる場所をオーランに告げるともう一度「私は大丈夫です。お願いします。」と言って虹色の光の下へ向かった。オーランは「神のご加護がありますように…。」とアリーアの後ろ姿に向かって祈り、彼女から聞いた場所へ女性や子供たちを救うために向かった。預言は書き変わっていた。
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精霊は再び 一人の青年に巡り合う
安寧は終わりを告げる
子の親に降りかかる悲しみ
不老不死を求める人々にもたらされる災い
額の「刻印」が証
子を探す人が預言を導き 精霊に繋ぐ
天の神は 災いを鎮めることを 一人の青年に託す
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オーランは子供達の名前を呼び続けた。その声は大風にかき消されながらも、望みを捨てなかった。一人の青年が災いからみんなを助けようとしてくれているのに、神のしもべとして神を信じ自分のすべきことをするのに何の絶望があるだろうか。そう思いながら、名前を呼び続けた。すると、子供たちの「司祭様…。」というかすかな声を聞いた気がした。オーランを試すように風が強く吹き荒れる。オーランは「神様…どうか私に力を貸してください。」と祈りながら、声のする方へ少しずつ近づいていった。そこには子供達、そして女性たちが家具の隙間に身を寄せ合って、風を凌いでいた。オーランは神に感謝した。子供達に駆け寄ってみんなの無事を確認すると、「まだ、ここから出るのは危険です。風が止むのを待ちましょう。」そして空を見上げ、虹色の光の方を見ながら「今、私たちを助けようと、あの大きな黒い雲の塊と戦ってくれている人がいます。みんなでその人の無事を祈りましょう。」と言うと、子供たち、そして女性たちはその不思議な虹色の光に向かってオーランと共に祈った。




