1話 オーラン
当然のことだが、たった一人生き残ったオーラン神官にはあらぬ嫌疑もかけられた。オーランが日頃から他の神官たちから受けていた扱いを根に持って、他の神官たちを皆殺しにしたのではないかとさえ噂された。
ブランド学院長は何も覚えていないため、オーラン神官の無実を証明することはできなかった。ただオーラン自身は、人の噂を気にすることもなく、今まで通り祭壇を清め、祈りを捧げた。これまでは他の神官たちからの蔑みに自分がやはり萎縮して人々の声に耳を傾けることができなかったことを悔い、今後は神官として街の人々に常に寄り添おうとしていた。そうした彼の努力を徐々に街の人々は認め、尊敬し信頼するようになっていった。学院長はオーラン神官こそ、この神殿に相応しい人だと街の人たちを説得し、若いながらも神殿の最高司祭に抜擢した。オーラン司祭は教会の改革に取り組み、神への祈りと清貧に勤めることを誓い、多くの人に祝福を与えられる存在を目指した。
その一つに、前回の災いで行方がわからなくなった神官たちの部屋から見つかった多額のお金を基に、神殿に付属の孤児院を作った。そこでは孤児の子供たちが、飢えを凌ぐだけでなく、できるだけ教養を身につけ、自立できるよう心を配っていた。もうあの天の神の怒りを買っていた神殿の姿はどこにもなかった。
オーランは最高司祭となってもまだ学院長のことを「ブランド様」と呼び、あの災いの中で見た学院長の苦悩をいつか取り除く事ができればと願っていた。




