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神遊び唄  作者: オピオイド
15/43

大地の神 落ち込む

今回短いです。

「で、何があったの?」


エルフェルトに容れて貰ったダージリンから口を離し、観星は話を再び切り出した。

切り出された栞は、四つ目のアップルパイをフォークに刺したまま口に入れるのを止めた。

ちなみに大量にあったお菓子の山は三人の腹の中で、残るは栞の前に在る半ホールのアップルパイのみである。

くよくよするより全部話してすっきりした方が楽になると思った彼女は、俯き加減で話始めた。


「この間、とあるルートから依頼が来て飛騨の山奥にある研究所を制圧に行った時に・・・『霧島』と名乗る奴とブッキングしちゃってさ。」

「あらら。」


あいつと出会っちゃったかと呟きながら観星は何があったかを、おおよそを悟った。

権謀術策が渦巻き暴力で支配される裏の世界において、『雷神』『閃光』と呼ばれる霧島と言う一族がいる。

身体能力が人類の範疇を大きく超えている超人を多く輩出している一族で、疾風迅雷の動きと『刹那の一撃』と呼ばれる剣術で、銃が台頭する裏社会を統べる剣神の一族であった。

さらに詳しく言えば血縁は全て『能力者』。


「『霧島』と言えば、あの事故で滅んだ一族じゃない? その生き残りが居るとは思わなかったってのもあったんだけどさ。」


しかし、栞の言うとおり霧島と名乗れる一族は十年以上前ぐらいに、『とある事故』で本家とその主力部隊もろとも死んでいるのである。

原因はいまだに『解らない事になっている』が、この世の主神たる観星は真相は良く知っている。

良くも悪くも『神』故に、ただ言えないだけだ。

観星はほんの少しの罪悪感を抱え、話を変える為に栞に話しかける。


「あらあら、最強の一角の名を冠する栞ちゃんが、いつになく気弱ね」


そう目の前にいる少女は霧島と同じ超人の一族の一つ『守部』の一人であった。

この二つの一族が出会ったと言う事実は、観星にある事を容易に連想させる。

『能力者』と呼ばれる人間は、その特異な能力を使う為か、その様な精神でないと使えないのか、偏執的に『頑固』な人間が多い。

確固たる意思、多種多様な人がいて、更に頑固な人間が同じ目的の違う仕事に着く人間と鉢合わせたらどうなるかは・・・火をみるより明らかで。


「戦ったのね。」

「うん。研究所内の敷地で派手に。」


それはそれはと相槌をうちながら観星は、目の前の少女の能力の兇悪さを思い出し、本当に派手に壊れたんだろうなぁと内心冷や汗かいていた。

少女・栞の『法師として』の能力は自分の認識空間内の空間歪曲、解りやすく言えば『相互間作用』を選択的に操作する力。

もっと解りやすく言えば、認識した対象をあらゆる方向へと引っ張る能力。

戦場に於いて無敵に近い能力でもあるが、それ以前に相手が悪すぎる。

相手も同じ法師の能力者であり能力者として栞と同等力がある上に『神域結界』がある。

その為、力が十二分に発揮されない相手だ。


(小説内の専門用語が多いので少し割愛)


そんな時、新聞を読みながら二人の話を聞いていたエルフェルトが疑問を上げた。


「ん? それじゃあお前、一体何で落ち込んでいるんだ?」


それは私も疑問と観星も頷く。

答えは簡単にそして簡潔に返ってくる。


「負けたのよ…」


溜息交じりの沈んだ声が重かった。



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