表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

行成ビジョン



 行成ビジョン。


 ちなみに、彼にはこう見えていました。


「ああ。この女房と言い合いをしていた」


 何もない空間を指差す公任。


「…………はい?」


(何、言ってんだ、こいつ)


「こいつが、天才の私を侮辱したのだ。君も見たまえ、こいつの阿呆面を」


 (あなたの阿呆面しか見えません。あと、自分で天才って言うな)


「何だと、女房の分際で。阿呆阿呆阿呆」


 (たまに子どものような事を言うんだよな、この人。いつか失脚して大納言の位、空かないかな)


「……お言葉ですが、公任殿。何処に阿呆面の女房がいるのです?」


「行成君。女房如きに気を使わんでも良いぞ」


「あ、いえ……」


 (別に、気を使ってない。というか、その女房何処だよ)


「私には妻も子もおるわ。お前こそ、嫁の貰い手がないだろうよ」


(何故、いきなり妻子の話を……)


「無理だろう」


 (何が?)


「ぱぱって何だ?」


 (こっちが聞きたいわ……)


「公任殿。先程から何を一人で話しておられるのですか?」


「……は?」


 間の抜けた顔で固まる公任。


「ですから、何故一人で騒いでおられるのか、と聞いているのです」


 (分かれよ、天才なんだろ?)


「……何を言っておるのだ、行成君。君もこの女房と同じで阿呆になったか」


 (阿呆になったのはどちらだ)


「阿呆で間抜けなのは公任殿の方です。女房なんて何処にいるのですか? あちらの隅であなたの奇行に怯えている女房達なら見えますが」


「いや、あいつらではなく、こいつだ。この阿呆面の」


 またもや何もない空間を指差す公任。


 どう見ても、そこには何もありません。


 (……本当、何言ってんだ、こいつ。面倒臭ぇ)


 以上、行成ビジョンでした。

心の中では口が悪く腹黒の行成です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ