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いたいけなほしくず  作者: 有城 沙生
ウノスとトレサ
16/30

ウノスとトレサ 前編

前編です。

「で?生身で外に出るとどうなるの?」

 トレサからのこの質問は一体何度目だろう?

 

 ここに来て三年、おれは、十六歳、トレサは十一歳になっていた。

 

「目はどろどろで落ちそうだし、口からは涎がぼたぼた止めどなく出るし、胸は息が出来なくて引きちぎれそうに痛いし……この話、そんなに面白いか?」

 きらきらした目で、おれを見つめるトレサに訊ねる。

「うん!だって外の事を情報で知ってたら、絶対、出てみようなんて思わないもの!」

 これも、幾度となく繰り返された答え。

 はあぁぁ、溜め息しか出ない。

 

「…私と話すの、いや?」

 そんな目で見られたら……はあぁぁ。

 黙ってれば可愛いのに何て口にした暁には、おれが泣くまで攻め立てられるから言わないでおいてやる。


 

だいたい、今地上に生きている人間は十二人です、って言われても、そもそもが私が初めてあった人間はトレィスだ。

 

十二人のうち、二人がここにいるって飛んでもないことだと思った。

五歳にもならないうちに、その事実を重く受け取ってしまって、トレィスみたいにびぃびぃ泣けなかった。

 

トレィスは、遠くに行ってしまったけど、

プレマルジナやお父さんとの生活は苦ではないけれど、

面白いを実感したくなった。

 

プレマルジナも、お父さん達も、私を楽しませようとしてくれるけれど、一緒に『面白い』を『楽しみ』たいと思うの。

 

我が儘なのかな?と諦めていた時、

見つけたのよ!

面白そうを!!

ウノスを!!!

 


 ――――「そういえば」

 と、プレマルジナが口を開く。

 トレサに付き添っている、おれと共にあるポステアの存在。

 トレサに教えてもらって、知ることになった人工生命体という存在。

 

「何を言う気?」

 トレサが冷めた表情を見せている。

 

 …………おや?珍しい。

「そこにある、通気口にトレサは、饅頭を捩じ込んでましたよね」

「プレマルジナ!」

「ウノスばかり茶化すのもフェアじゃないでしょう?ちょっとくらいトレサの面白話も必要でしょう?」

 

 トレサは顔を真っ赤にして、唇を噛んでいる。

 何があったのだろう?

 おれが聞いても良いものなんだろうか?

 

 すると、トレサがおれとは目を合わさずに、明後日の方向を向いて言い出した。

「だって、お父さんの口はそこだと思ったのだもの。美味しいものはみんなで食べたいじゃない」

 

 プレマルジナは、「ね?」とおれに言い、“お父さん”は、ピコピコと音を出している。

 

 おれは、トレサの頭を撫でて、

「おまえって可愛いよな」

 と、言ったら、きっ!と睨まれた。

「……今日は怪獣は出てこないわけ!」

「どうせ嘘だって分かってるんだろうが!うきー!」

 

 信じるわけもない出鱈目な話を、並べ立てたこともあったけど、トレサが引っ掛かることはない。

 もう、怒ったふりでもして、追っかけ回すしかないよ。

 


「うきー!ていえば、子供の頃、おさるさんの形をしたロボットがあったわよね?」

ふと、思い出してプレマルジナに聞く。

「ああ、トレサが口にお団子を詰め込んだやつですか?」

なんとも澄ました顔で、プレマルジナが返してくる。って!

 

「トレサはおやつを詰め込むのが趣味だったの?」

ウノスが訊いてくるので

「分けてたのよ!一緒に食べたいじゃない!」

と正直に答えた。

 

一体何時からおさるさんを忘れていたのだろう……て分かってる。

ウノスが来たからだ。

トレィスみたいに、泣いてばかりじゃない、ウノスと話すのが楽しかったからだ。

 

「探しにいこう。まだあるよね?」

プレマルジナに聞くと、ひょこっと別のところから、とぼけた声がした。

「ここにおるぞい?」

 


 さるってやつを初めて見た。

 何だろう、おれらと似てるけど、毛が身体中に生えてて、お尻に長いものがついてる。

  

 トレサはさるを抱き締めて頬擦りまでして…何だろ?もやっとする。

「やきもちですか?」

 とプレマルジナが訊いてきたので、

「この、頭のこの辺がもやっとするのが、やきもちなの?」

 と額を指差して言った。

 

 すると、プレマルジナ目を細めて、くすっと笑い、

「こんな、おもちゃにやきもちなんて勿体無いですよ」

 と、トレサの手から『さる』を奪った。

 トレサが奪い返そうと背伸びをするけれど、プレマルジナが届かせようとしていない。

 

「プレマルジナ!」

「ほら、トレサ。ウノスに紹介してあげないと、仲間はずれみたいですよ」

 トレサはプレマルジナにそう言われ、おれのことを思い出したようだった。

 

 ようやく、プレマルジナからさるを返して貰えたトレサは、さるを抱えておれに走りよる。

「ウノス!これ、おじさまって言うの!さる!」

 と、何とも雑な紹介をされた。

 

 さっき、喋ってたよな?じゃあおれも挨拶するか。

「ウノ…」

 トレサの手から飛び出したさるは、おれの口に手を突っ込み、うにーと両端に引っ張った。

 


「何をしてるの!」

わたしの手から飛び出したおじさまは、挨拶もそこそこに、ウノスの顔を伸ばしている。

都合が悪くなると、猿のふりをするのはおじさまのパターンだ。

 

ウノスの顔から、おじさまの首根っこをつまんで引き離す。

「ウノス、大丈夫?」

「…ほごっ、ん、らいりょうぶ」

「じゃないわね。おじさま…」

「だって、寂しかったんだもん」

「…って、どうせすぐ出てきたってことは、お父さんとそこで見てたんでしょ!」

「俺様もいるぞ!」

「大おじさま…」

「トレサ、ウノスに説明してあげなきゃ、呆気にとられてますよ」

 

「ごめんね、ウノス。このさるはおじさま。で、お父さんとモニター取り合ってるのが大おじさま。何でこう呼ぶのかは知らない。こう呼べって言われたから呼んでる」

 

すると、おじさまのせいで真っ赤に顔を腫らしたウノスが、

「う、ウノスれすっ!」

と言った。

あらあら、懐かしいわね。

途中ですが、投下しておきます。

活動報告で【茶番劇】と称してコント?やってます。

ご覧いただけたら何よりです。

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