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いたいけなほしくず  作者: 有城 沙生
ドウシィとプレマルジナ
10/30

閑話 ウノス

ドウシイの伴侶候補の一人、第一ドームのウノスくんの話です。

 

 ママ!ママ!!ママ!!!

 どこにいるの!

 ぼくはここだよ!!

 ママ!


 魘されて起きる、いつもの朝。

 目の前には、綺麗だかいつも同じ笑みを称えているポステア・プロダクタム。

 母親面してくるこいつと、2人きりて生活するようになって7年になる。


 ここに来て、ウノスと呼ばれるようになった。

 ママは違う名前を呼んでいたが、今では思い出せない。

 一体、五歳の時何があったというのだろう。


 気がついたときには、ポステアと2人だった。

 何を聞いても、はっきりとした答えをくれないこいつに、やがて諦めた。

 こいつがきちんとした答えをくれるのは、勉強だけだ。


 テレビもゲームない。

 パソコンはあっても、インターネットに繋がっていない。

 そんな退屈だけを重ねる日々。


 ポステアが、古い『ヒーロー物』の動画を見せてくれた。

 ヒーロー!すげえ!!

 おれも、ヒーローやる!

 って言ったら

「そうですね」

 と、心無い返答がきた。

「出来ないと思ってるんだろ!」

「いいえ。ただ、何と戦うのです?」

 ぐっ。

 こいつは、いつも短い言葉で、おれを封じる。

「…!」

 何も言えず、おれはその場を飛び出した。


 ずんずんと外に出て、ただ前に進む。

 どこに行きたいかなんて分からない。

 ただ進む。

 こんなところまで来たことない、所をただ進む。


 壁。

 見えない壁。

 向こう側には、『田舎』の緑。

 どこなんだ?!ここは??

 見えない壁を手で触る。

 ひやっと冷たい感触だけが手に残る。

 向こう側。

 誰かいるかな?

 壁の切れ目を探す、ちょっとした冒険心。


 下に降りる階段を見つけた。

 少し降りると、門。

「外に行ける!」

 夢中で、門を駆け抜ける。

 ぴりっと、静電気が走った気がするけど、気にしない。


 外!外!

 田舎で遊んだことなんてないけど、一人や二人くらい遊んでくれるやつくらい、いるだろう?

 おれは、必死で走った。


「え……」

 門を抜けた外に、絶句する。

 なんだ?

 さっきみた、田舎の緑なんてどこにもない。

 どこまでも、何もない。

 赤錆た、景色。

 黒い、空。

 ごおごおと、知らない音が耳を塞ぐ。

 嗅いだことのない臭いに、鼻を押さえた瞬間、ピリピリした空気が口から入った。

 胸が痛い!

 内側から引き裂かれそうな、強烈な痛み。

 息が出来ない!

 目から涙がぼたぼた落ちて。

 息が出来ない口からよだれがだらだらと出て。

 前にも後にも進めなくて。

 立っていたくないのに、座ることもできなくて。

 ポステアが、平然と立っているのが不思議だった。


「ヒーローにはなれますか?」

 ポステアの冷静な声。

 おれはポステアの腕に倒れこんだ。


 


 

ウノスくんの登場はここまで。

何かを感じた方はお知らせ下さい。

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