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いたいけなほしくず  作者: 有城 沙生
セプティマとポステア
1/27

序・要約

こっそり改稿。

内容は変わってない。

「みてみて、ほら!」


———きれいなものを見た。


撒かれた水。

飛び散る滴。

砕ける光り。

小さな虹。


きらきらと笑う君。

きらきらと笑う、君。



---

「きゃー!たいへんなの!いたい?だいじょうぶ?」

 

———触れた。


小さな手が、私の腕を掴む。

私の薄い皮膚を引っ張って、

細く、でも深く、出来た傷。


君が巻いた包帯は、とても緩く、

治療にはなっていないけれど、

痛みも、血も、すぐに消えた。


けれど、

次の私は、同じ場所に、

傷を作る。



---

 

「おやすみなさい」

 

———ずっと続くものだと思っていた。


夜。


部屋を出て、

軌跡を追い、

光を受け止める。


一瞬の消失。

 

――――そして再起動。


それだけだ。



---

「治らないね」

 

———変わらないはずだった。


そう呟いた君の目が、

ひどく優しくて、

どうしようもなく、

胸の奥が、あたたかかった。


だから———


私は、

次の私にも、

その次の私にも、

その傷を刻んだ。



---


———それは、きっと。


持っていてはいけないもの。


だから、

消去した。

削除した。

複製した。


持っていてはいけないものは

私が持っていこう。 



---


「傷、治ったんだね」


なんの事だろう?

怪我をした記憶はあるけれど

傷はすぐに癒えた、はず。

 

その答えを私は持たない。



---


「……ポステア?」


君の声が、

小さく揺れた気がした。



---


———おやすみなさい。


君の手が、

私の頬に触れる。


乾いた手のひら。

落ちた滴。

 

私の中にだけ残る記録。



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