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8. アハットへ向う道

3日目。

今日も宿屋で目が覚めた。

レネさんは起きていて準備も終わっているようだ。さすが冒険者。朝が早い。

ちなみにアラームは私にしか聞こえないようだった。


朝ごはんを食べてチェックアウトしたら、いよいよ出発だ。

まず、一昨日行った泉の森へ向かう。依頼の家具を受け取るゲザ村までは、泉の森を抜けていくことになる。

マップを開くと、泉まではマッピングされていた。薬師ギルドで渡された地図と同じで一本道だ。


「素材を採取しつつ、魔物は率先してリリーが倒して、夕方までに村に着くようにしよう」

「分かりました!」

素材採取や、レベルアップにまで付き合ってくれるなんてありがたい。

泉までは弱い魔物しか出ない。ファイアで倒しながらさくさくと進んでいく。レベルは上がらなかった。


「あ、癒し草あった」

森の入口から30分ほど歩いて泉に着くと、癒し草が生えていた。ポーションで使うので確保しておく。

そういえば初日に水筒に泉で水を汲んでそのままだ。残っていた水は捨てて新たに汲み直した。


「ここからは魔物が少し強くなるよ」

「分かりました」

泉は森の中央辺りにあり、越えると魔物が強くなると薬師ギルドのお姉さんも言っていた。気を引き締めていこう。


少し歩くと草むらががさりとして魔物が現れた。

ウルフドッグが2匹。狼みたいな犬だ。見た感じは茶色いシベリアンハスキーだな。

テイマーの、初期テイムモンスターになってたやつだ。レベルは5。物理攻撃しかしない。


「じゃ、とりあえず倒してみて」

「はい!」

ファイアをぶつける。1匹は転がって、もう1匹が飛び掛かってきた。ウルフドッグの攻撃は噛み付き攻撃だ。

…あ、痛い。

「リリーっ、なんで避けないの!?」

レネさんに助けられて距離を取る。

「今まで攻撃されてもHP減らなかったので…あ、3減ってる」

「それじゃ駄目だよ。避けないと!戦闘は攻撃に当たらないように立ち回るのが基本だよ!」


そう言われても、日本で戦闘の経験なんてないからねぇ。さすがVRゲーム、痛みもあるなんて。

……いや、私、ここで死んだらどうなるんだろう。リスポーンするのか?それとも普通に死ぬのか?ワンチャン、現実に戻れる?なんて…。


「手に武器を持って!飛び掛かってきたやつはそれで斬る!」

考えていたらレネさんに肩を叩かれ、慌てて短剣を装備する。

「ファイアを撃つ!数を減らした方がいいから、複数相手の時は同じ魔物を狙うんだ」


「ファイア」

ファイアを撃つ。魔法にはクールタイムがある。初期魔法は短いけど3秒掛かるので連続では撃てない。私はまだ他の攻撃魔法を覚えてないので3秒待ってからもう一発撃った。それで1匹は倒す。

またウルフドッグが飛び掛かってきた。噛み付かれる前に短剣で斬ると、ギャウンと鳴いて飛び退いた。

「ファイア」

至近距離でファイアを撃ちこむと倒したらしく、死体が霧散した。


【ウルフドッグ×2を倒しました】


メッセージが出てほっとする。


「あー、焦った。リリーってば、攻撃してくる敵を放置とかありえないよ。バリアでもあるんならともかく」

「すみません…」

「まぁ、むしろ最初で気付いて良かったじゃない。戦い方は教えてあげるからリリーはどんどん戦って慣れて」

レネさんが女神のようだ。

ドロップアイテムを回収し、先へ進む。


「次、あれね。スライム」

「スライム…」

スライムは、青い雫型の魔物じゃなかった。

色は半透明で、はぐれてる方のやつに近い形状だ。それが3匹。


「スライムは弱いけど引っ付いて酸を吐くよ。剥がさないと引っ付いてる間ダメージを受ける」

「おおぅ…」

思ってたスライムと違う。

「火魔法に弱いからファイア2発で倒せると思う。物理攻撃はあまり通らない。攻略法はやられる前にやる、だよ」

スライムはウルフドッグみたいに飛び掛かってはこないけど、スルスル動いて気付いたら足元にいる感じ。怖い。

1回引っ付かれたけど、レネさんがフリーズで凍らせて剥がしてくれたので短剣で刺したら割れた。こんな戦い方もできるんだね。


【スライム×3を倒しました】

スライムからは、魔石とスライムゼリーというものがドロップした。


【レベルアップ!】

【水魔法:ウォーター、風魔法:ウィンドを覚えました】

【関連魔法を習得しました。魔法アイコンから確認できます】


レベル4になった。

「やった!水魔法覚えた!風も!」

魔法を確認すると、ウォーターとウィンドを取得していた。念願の水魔法だ!

それから関連魔法なるものも獲得している。


#ヒート(ファイア+ライト)

#ホットウォーター(ファイア+ウォーター)

#ウォームエアー(ファイア+ウィンド)


火魔法と水魔法と風魔法の所に関連魔法があった。詳細を確認してみると、ものを温める魔法と、温水と温風が出るという平和的な魔法だった。戦闘力はないけど普通に便利そうだし、調薬に使えるかもしれない。


「ウォーターとウィンドを覚えました!関連魔法で、ヒートと、ホットウォーター、ウォームエアーという魔法も覚えたみたいです!」

そう言うと、レネさんが驚いた顔をした。


「…リリー、もしかして…鑑定が使えるの?」

「あれ?言ってませんでしたっけ」

ストレージのことは言ったから鑑定も言ったと思ってたわ。

「ステータスボードが見れるの?」

「自分のは見れますけど……格上の人のは見れません。???表示になるんです」

「そうなんだ…」

レネさんはちょっと考えて言った。

「ちょっと私を鑑定してみてくれない?」

「んー、レネさんの強さじゃ何も見れないと思いますよ?」

「お願い!」

「いいですけど…」


鑑定アイコンをタッチしてみる。


レネ Lv.??

種族 性別:人族 女

職業:魔法剣士 Lv.??


HP:???

MP:???

SP:???

力:???

体力:???

魔力:???

耐久力:???

素早さ:???

器用さ:???

運:???

満腹度:???

状態:???

----------

装備効果

???

----------

スキル

???

???

???

???

----------

魔法

水:ウォーター、フリーズ、???

???


「ん~?やっぱり見れないですね。一応ステータスボードは開いてはいるけど、私の分かる範囲でしか出てない感じ…」

「そうかぁ。残念。魔法剣士になった時に見てもらって以来だから、スキルを見てもらおうと思ったのに」

私のレベルがレネさんより上がるか、鑑定スキルに能力追加されれば見れるかもしれないけど、今は???でしかないな。

なんでもメディナ王国では10歳で教会で鑑定してもらった後は、自分でお金を払って鑑定してもらうしかないそう。しかもそれがすごく高額らしい。


「スキルは4つあるってことしか分からないですね。あと、魔法を水属性以外も覚えてるみたいです」

「え!?そうなんだ」

レネさんは驚いている。


「自分のスキルは3つだと思ってたよ。1つは「剣技」ってスキル。武器で剣を使ってると覚えるスキルだよ。あと「属性剣(水)」だね」

剣士の基本スキルっぽいな。

「もう1つは「魔法剣」。これも魔法剣士になると覚えるんだけど…あと1つはなんだろう?」

「他に使える武器があったりしますか?あと、薬とか武器防具を作ったりとか…あ、商人スキルとか?」

「ないね」


なんのスキルだろう。

私のスキルは、初期装備のストレージと鑑定、マップの他は、クエストで覚えた調薬だ。獣人なので身体強化が使えて、種族固有スキルが覚えられるみたいだけど、未開放だ。レネさんは人族だし、そういうのはないよね。


「あ、魔法の方は詠唱してみたらどうですか?水魔法の下にあるから、火属性ではないですね」

「なるほど、やってみる」

土魔法のソイルウォールから詠唱していく。

ウィンド、サンダー、ライト、ダークネスは反応なし。

「スロー」

「あ」

反応があった。時魔法か。

「やった、時魔法!」

「良かったですね!」

時魔法は補助に優れていて初期でも使い勝手の良い魔法だ。喜ぶレネさんにつられて喜んでいると、茂みからがさりと蛇が出てきた。


「リリー、気を付けて!」

鑑定の表示はポイズンスネーク。毒持ちか。

「ポイズンスネークは毒液を飛ばしてくるよ」

「毒液」

嫌なもん飛ばすな。一応装備に毒耐性が付いてるから大丈夫だとは思うけど。


「蛇みたいな体の細長い魔物は、剣で真っ二つにすると早いんだけど、短剣だと難しそうだから毒液を避けながら魔法かな。噛まれないように注意してね」

「ファイア」

レネさんに頷いて魔法を撃つ。嫌そうに長い体を捩ってから、こちらに向かってきた。素早いし普通に蛇は怖い。


「身体強化」

噛み付こうと首を伸ばしてきたポイズンスネークを短剣で振り抜いた。身体強化のおかげか真っ二つになって霧散した。

これ、一匹ならいいけど複数はきついな。


【ポイズンスネークを倒しました】

ポイズンスネークの毒腺がドロップした。うぉっ、毒腺。触りたくないな。


「リリー、毒状態になってない?」

「大丈夫です」


このゲームの毒状態はよくある持続ダメージだ。地味に効いてくるやつだけど、私の装備には毒耐性(小)も付いているので、このへんの魔物なら大丈夫だろう。


「あっ、あれは毒消草!」

ポイズンスネークが出てきた辺りにたくさん生えていた。ドクダミによく似ている花の咲いた草だ。鑑定すると「毒消草」と出た。毒消草は根っこから抜いていいらしい。採取しておく。


ウルフドッグやスライムを倒しながら森を進む。慣れてきたので効率良く倒せるようになった。途中で採取できる素材があると止まって採取。ポイズンスネークはあれ以来出なかった。


泉の森を抜けると一面草原だった。

「おお。絶景」

遠くの方まで続く緑の丘が日本では見られない絶景だ。


「このへんで休憩にしよう」

少し進んだ所でレネさんがそう言った。


休憩する時は、視界が開けていて、魔物が来てもすぐ逃げられるような場所にするか、魔物避けを使うといいらしい。

今回は見晴らしのいい原っぱだ。広く開けている場所ではあまり魔物は寄ってこないらしい。

レネさんがバッグから防水シートを出して敷いているのを見てハッとした。

そうだ。食事は私持ちだったのに何も用意してないじゃないか!


「ごめんなさい!お昼の用意してなかった…あっ、パンがあったんだ!」

そういえば配布のパンが5個あった。そろそろ賞味期限のヤバいパンだ。食べてしまおう。ストレージからパンを出す。良かった、まだ柔らかい。


「このパン、結構美味しいよ」

レネさんはパンを口に入れるとそう言った。

「そうですか?」

食べてみると、何も付けなくても食べられるようにか甘いパンだった。柔らかくて割と美味しい。

「ジャムがあったかな」

レネさんがバッグをガサガサしてる。なんか瓶入りの調味料がたくさん出てきた。ジャムもあった。そして携帯用コンロが出てきた。あと薬缶。

「リリー、お湯入れて」

「あ、はい。ホットウォーター」

小さめの薬缶にさっき覚えたばかりの魔法でお湯を入れる。お湯を沸かすようだ。


「そのバッグ、たくさん入りますね?」

「マジックバッグだよ。奮発して買ったんだ」

「おお、マジックバッグ!どれくらい入るんですか?」

「ベッド1台に乗るくらいかな。まぁ、ストレージ持ちと比べてもアレだけどねぇ」

ベッド1台分か。結構入るな。テントとか入ってるんだろうか。


「はい」

レネさんがインスタントのコーヒーをマグカップに入れてお湯を注ぎ渡してくる。

「ありがとうございます」

温かい飲み物にホッとする。

携帯用コンロ欲しいな。薬缶とマグカップもあれば休憩中にお湯を沸かして飲み物を淹れられる。道具屋で見た時は、結構いい値段だったから、今は買えないけど。


「あ、ジャムなくなった」

「レネさん、その瓶もらってもいいですか?素材の採取に使えそうなので」

「いいよ。空瓶なら他にもあったな…」

レネさんに保存食の瓶をいくつか貰った。水魔法で洗ってウォームエアーで乾かす。図鑑によると草原で採取できる素材に花弁や種があったので、それらを保存するつもりだ。

パン5個は無事に食べ終わった。ありがとう無料配布。


ゲザ村へは草原の奥に見える山に向かって一直線だ。草原なので遮るものはない。

時折出る魔物を倒しつつ採取しながら進む。レベルは1上がった。


川を越えると放牧されているのか茶色い牛がたくさんいた。のんびりと草を食んでいる。

魔物は滅多に出なくなった。レネさん曰く、魔物の嫌いな草が大量に自生しているからだそうだ。


山が近くなり、ゲザ村が見えてきた。


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