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13. お仕事開始

5日目。

目が覚めるといつも起きていたレネさんではなく、同室の3人がまだ寝ていた。

起こさないようにそっと部屋を出る。


8時から朝ご飯だから、6時に起きれば間に合うだろう。

ステータスボードにアラーム機能が付いているので、遅刻しないで起きられた。しかもアラームは私にしか聞こえないらしい。ホントにステータスボード超優秀。


朝ご飯は定番の洋食で、バイキング方式にしてみた。大皿で用意すればよく、配膳が楽だからだ。

スクランブルエッグと厚切りベーコン。ホットプレートで茹で焼きにしたウインナー。ハム入りの野菜スープとサラダ。マヨネーズやドレッシングも瓶入りで色々売られていたので何種類も買ってみた。人気があるのを追加で買うつもりだ。

パンはトーストにする食パンの他にも、ロールパンやくるみパンなど色々買ってみた。自分が食べたかったやつだ。ストレージに入っていたのでまだ温かい。あとヨーグルトにジャム。飲み物も牛乳にジュース、コーヒー、紅茶も用意した。

うんうん。我ながら完璧な朝食バイキングだ。


「はい、注目ー!」

従業員達が料理を取り終えて席に着く頃、店長がやってきた。

「改装期間中、一緒に働くリリーだ。なんと可愛いうえにストレージ持ちで、食事の用意もしてくれるぞ!」

おお〜と、どよめきが起こる。

「リリーです。よろしくお願いします!」

頭を下げるとパチパチと拍手され、口々に歓迎される。みんなノリがいい。

「よし、じゃあ感謝していただこう」

「いただきます!」


食事は概ね好評のようだ。私も女子3人組から呼ばれたので席について食べ始める。


「リリー、朝ご飯おいしーよ!朝早くからありがとね」

「朝からこんなに何品も戴けるなんて幸せだわ」

「すごくおいしいよ!リリーをお嫁に貰って毎日作ってもらいたい!」

「ホントですか?嬉しいです」

3人に褒められて喜んでいると、他の従業員の人達からも声が掛かる。喜んでもらえて嬉しいな。


【クエスト「おいしい料理を作ろう!」が発生しました】


ポーンという音と共にメッセージが表示される。クエストだ。


◆クエスト「おいしい料理を作ろう!」

おいしい料理を作り、食べた人に満足してもらおう。

達成条件:9回に渡り様々な種類の料理を作り、食べた人の8割から美味しいと言ってもらう。

期限:7日間(回数達成後判定 1/9)

ペナルティ:調理スキル喪失

報酬:調理スキル

獲得しますか? はい/いいえ


調理スキルか。

料理は一人暮らしだったし普通にできる。あんまり凝ったものは作れないけど、それは求められてない筈だ。定番のものを作れば外さないだろう。

「よし、獲得」

ポチッとする。おいしいと思ってもらえるといいな。


出した大皿はすっかり空になっていた。結構量はあった筈なんだけど。おかわりで消えたようだ。

ホットプレートのウインナーもスープの鍋も空。気持ちのいい食べっぷりだ。

少し余ってたコーヒーをマグカップに注いで牛乳を入れて飲みながら作業する。

牛乳とサラダ用の野菜、あとはパンが少し余っていたのでストレージに戻して、皿やコップは軽く流してから食洗機へ。

大皿や鍋は洗っておく。それからお昼のカレーライスのためにお米を研いでおいた。

ちなみにゴミ箱の中のスライムは、野菜の皮や卵の殻をたくさん貰ってご満悦?のようだった。…意外とかわいいかもしれない。便利だし。


始業開始は9時から。

私が店長に呼ばれて店に着いた時には、従業員達は各々動いていた。

私は料理を作っているのと、ストレージ要員のため別行動だ。


「じゃあ、店にある商品をいったん全部ストレージにしまってくれるか?」

「分かりました……収納」

手をかざすと棚にあるものが一気にストレージに収納された。ストレージの中で自動で分別計算されるので特に難しいことはなにもない。

大物も手をかざし「収納」と言うだけでいい。

従業員達が「おぉ~」と言っている。拍手まで起きていた。

店内を回って、商品は全部なくなった。

「ストレージ持ちすげぇな」

店長が感心したように言い、周りにいた従業員達も頷いている。


「どこかに出しますか?」

「先に改装と清掃するからとりあえずそのまま持っててくれ。後で指示する。昼飯の支度に入ってくれ」

「分かりました」

時計を見たらまだ10時だ。カレーは大きめ野菜がゴロゴロ入っている方が好みなので煮込むのにちょうどいい。

スパイスでカレーを作るのは初めてだったけど、レシピ通りに作ったので美味しくできた。


「あーっ、カレーの匂い!」

「やったぁ~!カレー大好き」

お昼になって、食堂に入ってきた従業員達で賑やかになる。

昼ご飯はカレーライスとサラダだ。サラダは朝のようにバイキング方式で、カレー鍋は卓上コンロに乗せて置いておき、好きなだけ自分でよそってもらう。辛口と甘口で2つ作っていて、トッピングも福神漬にゆで卵、チーズと用意した。

飲み物も牛乳に烏龍茶、コーヒー、レモンを浮かべた水を用意している。私はカレーには牛乳派だ。


「みなさーん、明日以降のご飯、リクエストありますか?」

調理スキルのために、皆が好きなものを聞いておきたい。

「俺ハンバーグ!あっ、カレーおかわりいい?」

「ご自由にどうぞ~」

「俺もハンバーグがいいな!あとカレー2回おかわりする!」

2回するのかい。そう言った彼は犬の獣人で、ロキさんというらしい。垂れ耳とブンブン振られている尻尾がかわいい。


「ハンバーグ大好き!ソースはデミグラス希望!」

これはミレイさんだ。

「明日の夜はハンバーグにします!」

皆からハンバーグのリクエストをもらったので、明日の夕飯は決定した。

「朝ご飯は和食がいいな」

何気に店長がリクエストしてくる。そしてカレーもおかわりしていた。


カレーもご飯もすべてなくなった。二升炊きなんだけどな?


午後も店の改装と清掃をするそうなので、私の仕事は何もないらしい。店長に許可を貰って買い出しに行くことにした。

先に自分の下着を買う。アンナさんから教えてもらった獣人用の下着を置いてあるお店だ。昨日皆から言われたけど、洗い替えが必要だからね。


それから魚屋さんで明日の朝食用の鮭と、フライ用の大きめのエビを買った。明太子と海苔、ワカメも売ってたので買った。美味しいよね、明太子。

肉屋さんでハンバーグ用の合挽肉を購入。オーク肉がまだ安かったので3日目のお昼は定番の生姜焼きにしようと思う。うーん、肉が多いか?昼はガッツリいきたいし、ま、いいでしょう!

コロッケが1個5Gで売ってたので人数分買ってミックスフライ定食に追加することにした。ボリューム満点。みんな大好きウインナーも追加。また割引してくれたうえに、おまけでハムをもらった。

乳製品屋で瓶を返し、また牛乳とヨーグルト、それから生クリームを買い、予約していたアイスクリームを受け取ってストレージに入れる。時間があるからデザートも作ってみようと思う。アイスも溶けないなんて素敵なストレージ。残ってるからとチーズケーキを4つもらった。

…4つか。女子のみかな?

パン屋や野菜店にも寄って追加で購入しておく。豆腐屋さん用に豆腐を入れるボウルを持ってきたので、豆腐を多めに買っておく。ハンバーグにもかさ増しで入れるよ。

たまご屋さんに寄って、プリンのお礼を言う。昨日100個くらいは買ったけど、明日のカツ丼で足りなくなりそうなので、またあるだけ買った。今回は私の顔ほどある大きな卵を2個もらった。魔物の卵だけど、味が濃くて美味しいらしい。これは目玉焼きだな。


買い物をすると必ずといっていいほどおまけがもらえる。商人スキルのおかげと、大量に買ってるのもあると思うけど、多分この容姿のおかげだろう。美少女って得。


買い物から戻ったら夕飯の仕込みを始める。ストレージがあるのでどんどん揚げてしまおう。

今日の晩ご飯は揚げ物メイン。鶏の唐揚げとエビフライ。そしてトンカツではなくオークカツ。カツは多めに揚げて、次の昼ご飯はカツ丼にするつもりだ。あとはご飯と豚汁。先に唐揚げの肉を漬け込んでおく。

蓮根と人参の金平はうちの常備菜だったので大量に作る。キュウリを浅漬けにして、そして大量にキャベツを千切りに。余ってた福神漬でタルタルソースも作った。美味しいよね。エビフライにはやっぱりタルタル。

アイスクリームを買ったので、コーヒーゼリーを作った。スライムゼリーが食材で利用できると知ってからやってみたかったのだ。

コーヒーを淹れて砂糖を溶かし、スライムゼリーを混ぜるだけだ。人数分の器に入れて冷蔵庫へ。残りは昨日のプリンの瓶に入れた。夕方には固まっていて、1個味見してみたけど普通にコーヒーゼリーだった。スライム感はなかった。

ちなみにゴミ箱のスライムは私が蓋を開けると波打つようになった。…なんだろう。懐かれた気がする。


「わーい、唐揚げだ!エビフライにカツも!豪華!」

「超うまそう!」

18時半になると夕食で、従業員達が集まってくる。


ミックスフライ定食っぽい感じにしたかったので、小さめのオークカツとエビフライ、コロッケ、唐揚げ2個を一皿に盛り付ける。キャベツの千切りとミニトマト、レモンも付けた。ご飯と豚汁と金平と浅漬けもセットにした。

ご飯と余っている唐揚げ達はおかわりコーナーへ。唐揚げがすごい勢いでなくなっていく。一人が皿ごと持っていこうとして喧嘩になってた。


店長からお酒の差し入れがあったため、結構みんな飲んでいる。

ちなみにこの国、メディナ王国の成人は18歳で、そこからお酒とタバコは解禁だ。なので自称18歳の私も飲んでいる。

でも日本でのお酒の解禁は20歳からでズレがあるので、ここでは成人でも中の人が20歳になっていなければ盛大にリバースした後、丸一日体調不良になるという仕様らしい。徹底してるね。


「エビフライとカツのおかわりないの〜?」

「エビフライは1人1本です!オークカツは明日のお昼にカツ丼になる予定ですよ」

「カツ丼!大好物!」

揚げ物づくしは大好評だったものの、量が足りない人もいたようだ。うーん、カロリーが心配だ。

唐揚げがあっという間になくなってしまったので、簡単にできる冷奴と、フレッシュチーズを乗せたトマトを出す。明日はもうちょっと酒のつまみ的なものが必要か。


「あっ、デザートにコーヒーゼリーがあります!」

冷蔵庫から出したコーヒーゼリーにアイスと生クリームを乗せて配る。

「デザートまで!リリー大好き!」

猫人族のアンナさんが抱きついてくる。

「アンナさ〜ん!」

可愛いので抱き返す。お耳がモフモフ〜。

「なにこの可愛い絡み」

ミレイさんがそう言うと、周りも囃し立てた。

「モフモフ天国」

「もっとやれ」

「俺も混じっていい?」

「ロキ、お前は駄目だろ」

ちなみにロキさんはカレーを2回おかわりしていた垂れ耳犬人族の男性だ。ゼフの道具屋にいる獣人はロキさんとアンナさんだけで、あとは人族だ。

アイス乗せコーヒーゼリーは大好評だった。牛乳屋さんで買ったミルクアイスがとても美味しかった。また買いたいな。

夕食の片付けをある程度済ませると、店長に挨拶して先に上がる。後は飲み足りない人達が自由に飲むそうだ。



「じゃーん!これ着て!」

シャワーに行く前に、猫人族のアンナさんから尻尾の出るルームウェアを貰ってしまった。柔らかくてすごく着心地が良かった。

「やっぱリリーに水色似合うね!」

アンナさんと色違いでお揃いだ。アンナさんは白。ちょっと嬉しい。


「妹が獣人用の服飾店で働いてて、たまに着なくなった服を送ってくるんだけど趣味が似てるのか被るんだよね。なんならあたしとお揃い!着てみて着てみて!」

アンナさんが楽しそうに服を私にあてがう。

シャワーを浴びて部屋に戻ったら、たくさんの服が並べてあった。

昨日、皆から寝る時も同じ服だったことを嘆かれた。そして現在、着せ替え人形に甘んじている。3人に言われるがまま、スカートにショートパンツ、ワンピース等色々着ている。

アンナさんが持ってきたものが一番多くて、どれもまだ新しそうだ。


「いつも着てるのも孤人族ぽくて可愛いけど、このワンピースも似合うよ」

「あっ、このカーディガンが合いそう!」

「わ、かわいい…」

ミレイさんが持ってきたワンピースにぴったりだ。人族用のワンピースだけど、スカートがふんわりしていて後ろにリボンが付いているので、尻尾が中に入っていても違和感がない。ミレイさんには丈が長すぎるそうだ。


皆は私の格好を「孤人族ぽい」と言っていたので、和風は孤人族ぽいのかな?


「私はこれよ」

「えっ…」

「これ、メイド服じゃん」

ミレイさんの言う通り、シーラさんが出してきたのはコスプレっぽくない「ちゃんとした」定番のメイド服だった。スカートの丈も長いし、生地もしっかりしている。

しかし日本人の性なのか、つい可愛いと思ってしまう。シンプルな黒のワンピースに白いエプロンのレースが可愛い。


「実は私、結婚前に王都の大きな商家の家でメイドをしてたのよ。まだ綺麗だったし捨てられなかったんだけど、もう着ないし作業には向いてるから良かったら」

「衝撃の事実!」

「あっ、でもリリーなら似合いそう!シーラと体型も似てるし。着てみてよ!」

シーラさんは私より少し背が高くてスラッとしている。

…確かにリリーなら着てもいいんじゃ?18歳だし。スレンダー美少女だし。よし、着てみよう。


「かわいい!」

「似合う!」

アンナさんとミレイさんは手を合わせて喜んでいる。

「サイズはどうかしら」

「上は大丈夫ですが、尻尾が挟まってる感じです」

「あら…どうしましょう」

人族用の服だから仕方ないよね。狐人族の尻尾はフッサフサなのだ。


「どうせなら尻尾穴開けちゃおうか。リリーの尻尾フサフサしてるから切って縫うだけで大丈夫だと思う。エプロンのリボンがあるからその下あたりにしよう」

アンナさんが裁縫セットを出して目印を付けている。なんて用意がいい。

「人族用の服は可愛いのが多いから、よく加工してるの。お任せあれ」

加工はアンナさんに任せてルームウェアに着替えると、シーラさんがテーブルの上に色々な瓶を置いた。


「あとこれも。試供品や買ったけど合わなかったものなんだけど良かったら」

「わー、こんなに!嬉しいです」

シャンプーや化粧水など色々ある。とてもありがたい。

大量にあった洋服も全部頂いてしまった。一晩でかなりの衣装持ちになったぞ。


「フッフッフ、明日の朝は甘い卵焼きを所望する。大根おろしも付けてね!」

「分かりました!」

ミレイさんがリクエスト。私も卵焼きは甘めが好きだ。

「あたしは肉じゃがと唐揚げ!あっ、明日の夜はハンバーグだった。明後日で!」

「了解でーす!」

アンナさんもメイド服を縫いながらリクエストしてくる。アンナさんのリクエストでメニューがだいたい決まったぞ。

「そうねぇ、リリーのご飯はどれも美味しいから…デザートが欲しいかしら」

「デザートですね!」

シーラさんのリクエストはデザート。プリンとコーヒーゼリーは食べたから…何にしよう?そんなに時間もないから簡単なものがいいよね。既製品を買って盛り付けてもいいかも。


明日も早いので皆に断ってから先にベッドに入った。途端に眠気が襲ってくる。

こっちの世界に来てから体を動かしてるせいか、夜寝付けないことがなくなった。身体も若返っているからそのせいかもしれないけど。明日もやることがいっぱいだ。

がんばろう。


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