5-13魔法とは
アラフォー女子が異世界転生して第三王子になりました。
いろいろ有りますが、主人公アルムは今日もBLではぁはぁが出来るネタを探して我が道を逝きます。
「はいはい、皆さんお静かに。今日からこの初等科で一緒に勉強するタフト君とアルム君です。皆さん仲良くしてやってくださいね。それでは自己紹介してください」
教壇前行くとローザス先生はそう言って私たちに自己紹介をするように言う。
さて、どうしたものか?
私がちょっと躊躇していると、タフトが先に一歩前に出て紹介を始める。
「タフト=ルド・シーナ・ガレントです。名前で分かる通りガレント王国の王子ですが、ここでは一介の学生、仲良くしてやってください」
そう言って軽くお辞儀をすると、拍手が起こる。
「さて、アルム君の番だ、シーナ商会のアルム君」
拍手の中お辞儀から直り、私にだけ聞こえる小声でタフトはそう言う。
まぁ、イザンカ王国の王子ってことは内緒にしなければなので私は軽く苦笑を浮かべてから挨拶を始める。
「アルムと言います。えっと、シーナ商会の者ですが仲良くしてください」
そう言って頭を下げると、なぜか感嘆の声が上がりながらまばらに拍手がする。
「ねぇねぇ、聞いた? アルム君ってシーナ商会の人ですって!」
「ほんと!? じゃぁお近づきになってセールスの時の割引券とかもらえないかな?」
「へぇ~、ガレントの王子様とどんな関係かと思ったらそういう事か。これは仲良くなっておかないとな」
さわさわとあちらこちらでそんな声がする。
いや、私にそんな期待されても困るんだけど。
「はいはい、それじゃぁ二人は適当にその辺に座ってね。そろそろ授業を始めます」
ローザス先生はそう言って私たちに席に着くよう促す。
私とタフトはうな頷いてから手ごろな席へ着く。
なるべく周りに人が少ない席に。
「さて、それじゃぁ授業を始めます。今日はおさらいから行きますよ」
ローザス先生はそう言って黒板になにやら書き始めるのだった。
*
魔術。
この世界では女神様の御業の秘密を人に伝えたものとされている。
魔法王ガーベルが天秤の女神アガシタ様より女神様の奇跡、つまり女神様の御業である魔法を人にも使えるように伝達したのが始まりだとか。
私が生前いた世界では魔法は存在しない。
まぁ、ゲームやら漫画やらアニメではあったけど、基本そう言ったものはオカルト扱いされて科学的にも立証できず、存在し無いものとされてきた。
しかしこっちの世界では魂の中にある魔素を魔力に変えて、周りに存在するマナに干渉し大いなる力に変換することができる。
ちょっとコツはいるけど、気合を入れてどうしたいかを強く念じ、女神様から伝えられたと言う呪文を唱えて精神統一するとその奇跡は起こってしまうプロセスだ。
もっとも、魔力量が多い私は途中の呪文というものを端折って念じるだけで出来てしまうので、この学園にあるトラブル防止の目的の「戒めの腕輪」が効かない。
この辺は重々にエルさんや学園長からも内密にするよう言われているので、要注意ではあるけど。
とまぁ、こっちで言う科学的解釈で魔法とは何ぞやという事が説明される。
「流石、我が始祖魔法王ガーベル。世に存在するすべての魔法は御方のおかげなんだと改めて実感するよ」
授業を聞きながらタフトは感動している。
まぁ、タフトとは魔法王ガーベルの直系の血筋とされるから、わからなくもないけど。
「でもさ、魔法って魔力が切れれば使えなくなるんでしょ?」
「ああ、そうなんだけど、無理して魂を削ると魔力が無くても魔法は使えるらしい。もっとも、糧となる自身の魂を使うからそれが尽きればその者は未来永劫この世から消え去るらしいけどね」
うーん、未来永劫ね。
転生した私は魂が今の体に入っていることになっているから、文字通り消えてなくなるのか。
そう考えると転生できたことには一応は感謝しなければならないか。
そんなことを思っていたら、ふと何かを思い出しそうになった。
えーと、なんだっけ?
転生して、この体になって……
あ、あれ?
私ってこの体で十一歳になるまでが記憶喪失ですっぽ抜けているけど、その間何かとても大切なことがいろいろあったような……
「うーん……」
「どうしたんだい、アルム?」
「いや、なんかとっても大切なことを思い出しそうだったんだけど…… ま、いいか」
今ここで悩んでも思い出せないのなら時間の無駄だ。
今はとにかく魔術についていろいろ学んでいこう。
そう思う私だったのだ。
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