5-10:学園
アラフォー女子が異世界転生して第三王子になりました。
いろいろ有りますが、主人公アルムは今日もBLではぁはぁが出来るネタを探して我が道を逝きます。
エルさんと学園長が復活するのに時間がかかるという事で、私たちは食事に来ていた。
「おや? 話は終わったのかな?」
「あ、ロディマスさん。エルさんと学園長、ちょっと時間が必要みたいなのでおいとまして先に食事をしたくて」
「なるほど。寮の方の食事は食堂でしてもらうが、朝と夕方のみの提供なんでね。昼は学園の共同の食堂を使ってくれたまえ」
そう言って共同食堂の場所を教えてもらう。
私たちはとりあえずそこへ行って食事をすることになった。
*
「しかし、エル姉様の話が本当だとすると、あのお方が悪の組織に入ったことになると言うわけだな」
「あのお方って、女神様の事?」
食堂について、料理はマリーたちに任せて私たちは席に着く。
たまたま空いていたバルコニーが良い場所だったので、みんなで座ることも考えてそこに腰を下ろし、タフトとそんな話をしていたら……
「おいこらそこのガキども、その場所はイラマ様の場所だぞ?」
多分上級生。
年の頃十五、六歳くらいのちょっとやんちゃっぽい学生がそう因縁をつけてくる。
「すまないが、僕たちがこの場所を使うので他をあたってくれ」
「なんだとぉっ!? お前ら、イラマ様に喧嘩売るってのか?」
タフトが冷静にそう答えるとこの上級生はこめかみに血管を浮かべて睨んでくる。
しかしタフトはここでひるむことなく正論を言い放つ。
「先ほど入り口で確認もしたが、この食堂は特に席の使用について制限はないと聞いているが?」
「うるせぇッ! ここはスィーフ王国が第一王女、イラマ=コメラ・スィーフ様がいっつもお使いになる場所だ! 新参者のガキどもはここの決まりってモノをわきまえてもらおうか!!」
そう言ってタフトに手を伸ばそうとすると、その手をがしっとつかむ人がいる。
がしっ!
「魔法学園ボヘーミャは貴族王族も平民も平等で魔道を学べるのじゃなかったのかニャ?」
「なんだてめぇは!? ……獣人!?」
そのやんちゃな上級生は腕をつかんだ主を見て驚く。
カルミナさんはニカリと笑うも、その視線がカルミナさんの広く開いた胸元に行って、少し赤くなっているのを私は見逃さない!
「その辺でやめておきなさい、ロバード。そちらの少年、あなたガレント王国のタフト王子ではないかしら?」
涼やかな声がして、そちらを見ればまさしくお嬢様している金髪の美女がいた。
長い髪がなぜか立てロール。
深い緑の瞳はどことなくエルさんのようにも見える。
と言うか、これで耳が長ければエルフと見間違う美貌だ。
そんな彼女は扇子をぱちんと閉じて、タフトに言う。
「配下の者が失礼をしましたわね。タフト王子、席にはまだ余裕があるようですからご一緒しても構わないかしら?」
「あなたが噂のイラマ姫ですか? 噂にたがわぬお美しさですね、お初にお目にかかります、ガレント王国タフト=ルド・シーナ・ガレントです」
そう言ってタフトは立ち上がり貴族式の礼をする。
「改めて、イラマ=コメラ・スィーフです。同席してもいいかしら?」
「ええ、もちろんですとも」
タフトはそう言ってにっこりと笑う。
その頃にはカルミナさんもやんちゃな上級生の腕から手を放している。
うん、危ない危ない。
これらの一連があった間に私はしっかりマリーとアビスを止めている。
マリーはどこからか槍を引っ張り出そうとするし、アビスは危ない笑いをして頭の周りに黒い雷をバチバチとさえ始めていた。
「ありがとう、タフト王子。時にそちらのかわいらしいお友達は誰かしら?」
イラマさんはそう言ってパッと扇子を口元に広げる。
その瞬間、私の背筋に何故か悪寒が走る。
「彼は…… そうですね、僕の親友ですね。アルムエイド君です」
しかしタフトは朗らかにそう私を紹介する。
「アルム……エイド…… はて、どこかで聞いたような名前かしら? アルムエイド君、初めましてイラマ=コメラ・スィーフです。私、君のようなかわいらしい男の子は好きですわよ」
そうにっこりと笑うも、なぜかその瞳の奥には何となく知っている怪しい輝きがある!
「あ、アルムエイドです……よ、よろしく」
そう言って私も簡素な貴族式のあいさつをする。
それを見てイラマさんはさらに目の奥に怪しい光をともす。
ぞわわわわっ!
な、何だろうこの感じは?
よく知っている感覚。
しかし、うまく表現ができない。
「イラマ様、いいんですかい?」
「ロバード、あなたもバルセロナ伯爵家の嫡男なのですよ? むやみに生徒たちを威嚇するのはやめなさい」
「そうだな、ロバードもイラマ様の護衛として余計な波風は立てるべきではないだろう?」
さらに後ろから低めのイケボが聞こえてみれば筋肉が隆々とした、しかし決して筋肉ダルマでない細マッチョの御仁がいる。
銀髪の短髪で、武闘派のようにも見えるたたずまいだが、かなりのイケメンだ♡
「ちっ、しかしロンメル、イラマ様が軽んじられるのは我慢がならねぇぜ!」
「落ち着け、相手はガレント王国の王子だ。それに……アルムエイドの名はイザンカの失踪した王子と同じだ。あの王子は若干十歳で『魔法王ガーベルの再来』まで言われた天才らしいがな」
そう言ってその銀髪のイケメンは私を見る。
するとイラマさんもぱちんと扇子を閉じて私を見てにやりと笑う。
「なるほど、それは余計に仲良くなりたいですわね。アルムエイド君」
ぞわわわわっ!
私は何故かまた背筋に悪寒が走るのだった。
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