5-3:考察と今後
アラフォー女子が異世界転生して第三王子になりました。
いろいろ有りますが、主人公アルムは今日もBLではぁはぁが出来るネタを探して我が道を逝きます。
「相手は私と張り合えるほどの存在という事よね。そして転移魔法で移動を連続で出来ると言う魔導士。魔晶石の補助があったとしても転移魔法はかなり高度な魔法。あちらの魔術師もそうとな者と見る必要があるわね」
エルさんは応接間に戻ってからそう言う。
確かに冷静に考えてみればその秘密結社ジュメルとか言うのは遠い過去からずっとこの世界に対して破滅へと導くために色々としてきたらしい。
そして、厄介なのはその意向に賛同する者たちが貴族の中にもいるという事らしい。
秘密結社ジュメルはそう言った連中からも活動資金を受けているらしく、その根底は根深いらしい。
「とはいえ、それだけの能力を持つ者が何百何千十いるとは思えないよね? エル姉様、そのエルフの少女たちは組織の中でも相当なのではないですか?」
「確かに、私と張り合える者がそんなにいたらこの世界はとっくに終わっちるわ。多分、その二人は幹部クラスなんじゃないかしら…… 過去の資料でも十二使徒や七大司教とか言われる人物がいたらしいしね」
秘密結社ジュメルの全貌は見えないけど、過去の事例からかなりの組織となるのは事実だろう。
ましてや、世界最大国であるガレント王国へ喧嘩を吹っかけてくるとは、一国以上に相当する力を持っているという事になる。
「ジュメル…… 我がイザンカや母国ジマの国でもやっかいな相手として知られていました。アルム様、やはりこの事を一刻も早くイザンカへ伝えた方が良いかと思います」
みんなでうなっていたら、マリーがそう言ってくる。
確かにガレント王国に宣戦布告をしたような秘密結社だ。
記憶はないけど、自国に対しても知らせた方が良いだろう。
ただ……
「エルさん、タフト。このことをイザンカ王国へ伝えてもいいかな?」
私は二人に確認を取る。
ガレント王国としては今回の失態を他国に知られたくはないだろう。
たまたま私たちはエルさんと一緒だったからこの情報が手に入った。
しかし、相手はガレント王国だけを相手にしているわけではない。
当然私の母国であるイザンカ王国にも何らかしらのちょっかいを出しているかもしれない。
「そうね……今はガレント王国のメンツにこだわる時ではないわね。遅かれ早かれそのエルフと魔術師は神出鬼没みたいだから他国への干渉も始まるでしょう。ガレント王国へは警告に来ただけだったみたいだけど。タフト、シーナ商会はすでにジュメルが活動しているのを前提に動いているわ。このことは内密に各国の上層部にだけ情報を流すわよ?」
「エル姉様の判断であれば私が僕がどうこう言う事ではありません。父も了承してくれるでしょう」
タフトはそう言って私を見る。
事態は国家のメンツを超え始めたことへ発展している。
「ありがとう、タフト。エルさん、伝達をお願いできますか?」
「わかったわ。ベーダいる?」
エルさんが何気にそう言うと、エルさんの影が伸びてそこから黒装束の少女が浮き出てくる。
「お呼びでしょうか、エル様」
「話は聞いているでしょう? イザンカのシーナ商会経由でこのことを伝えてあげて。それと、ガレントのメンツを保ちつつ各国上層部まで情報を流すのよ。ジュメルよ、あいつらがまた動き出したのよ!」
ベーダさんの出現にここにいる者はみんな驚くも、エルさんは平然と用件だけ伝えると、またベーダさんはエルさんの影に沈み込んでいった。
「相変わらず、エル姉様の手下は有能すぎますね…… 僕にも隠密のお付きはいますが、ここまでの使い手はいませんよ」
「うちと比較しちゃだめよ? タフトの国はタフトの国で十分優秀な人材がいるのだから。もちろんアルム君にもね」
エルさんはそう言って軽くウィンクをしてくるのだった。
* * *
「はぁ~、やっぱりお湯につかるのは生き返るわよねぇ~」
かぽーん
「いや、お風呂に入るの良いんですが、なんで毎回一緒なんですか? しかも今回はタフトまで……」
タフト、生えてるしっ!
何がとは言わないけど、一つ年上のタフトは大人になりつつある。
ぐふふふふッ♡
そうかぁ、のどぼとけ出る前に生えるのあぁ♡
まだゾウさんだけど、大人と子供の間の状態という貴重な姿が拝めたのは僥倖だ。
もう、お姉さんこれだけでご飯三倍はいけそう!
「うん? アルムはそんなことを気にしているのかい?? 王族では混浴は当たり前だし、お付きの者に体を洗ってもらうのはいつもの事なんだよ。イザンカは違うのかな?」
「いえ、イザンカでも同じです。ですのでアルム様がご立派になられても私は一緒にお風呂へ入りますので!」
「まぁ、アルムが大人になってから考えるニャ~。あたしはアマディアス様のモノにゃんニャけど、契約の主人はアルムニャ。当分は一緒でもかまわにゃいニャ~」
「ま、そういう事よ。エルフなんかも混浴が当たり前で、エルフの村だと泉で普通に男女で水浴びしてるからね~。気にしない、気にしない。むしろ今のうちにお姉さんたちの裸をよく見ておくのよ? 将来ぜったいに役に立つから♪」
タフトと一緒に湯船につかっていると、先に体を洗い始めた三人はそんなことを言っている。
私は女体には全く興味は無いけど、王族ってこんなことやってるから妾が増えるんじゃないだろうか?
「でも、ボヘーミャに行ってからイザンカに戻るのもまだまだ一年近くかかるとは……」
「仕方りません。安全に進むなら南ルートで行くしかありませんから。それにエル殿のご厚意で同行させていただいているので、路銀やら何やらが助かっております」
ぼそっとぼやいた言葉にマリーが反応してくる。
確かに、一年以上かかる旅路には旅費だって必要だ。
それに今は簡単に国境を越えられるけどエルさんたちと別れたらそれもうまくいくかどうか……
なんだかんだ言ってエルさんたちのおかげでここまではスムーズに来られたのだ。
「ボヘーミャについてからどうするかだよな……」
私は誰にも聞こえないようにそう呟くのだった。
* * *
翌朝、私たちは出発の準備をしていた。
「それではスパルトス隊長、世話になったね」
「とんでもございません、殿下もボヘーミャで良き思い出ができますように。それと、ガレント大使館にはすでに連絡はいっておりますので、お顔だけでも出されるとよいでしょう」
「そうだね、ありがとう」
そう言ってタフトも最後に馬車に乗り込む。
私たちはガレント王国の国境の砦を出発する。
ここからに三日くらいで小さな村があり、そこからは学園都市ボヘーミャはすぐだそうだ。
南下してきたので空気はかなり穏やかな温度になっている。
私は風景も何もがらりと緑の色が強くなるその先を見るのだった。
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