忘れたくない存在…
私は、一度だけ奇跡的に妊娠する事が出来ました。
その子は、産まれなかったけれど…
その子がお腹に宿っていた日々は、短かったけれど、とても幸せで愛しい時間でした。
その子は、私にたくさんの勇気を残してくれました。
一人で家にいれなかった私が、その子を亡くしてからいれるようになった。
きっと産まれていたら、もっともっとよかったのかも知れません。
でも、あの時の私だったら毒親になっていたのかな?
あの奇跡のような妊娠から、丸6年の歳月が過ぎました。
二度と妊娠する事は、出来なかった。それでも、一度だけでも私の傍に来てくれた事だけで充分です。
僅か、数ヶ月しか私の中に存在しなかった命だったけど…。
妊娠が難しい私にとって、その子は夢を見させてくれました。
命が無事に生まれる事は、奇跡だって事を教えてくれました。
今を生きてくって奇跡なんだって、教えてくれました。
その子は、性別もわからなかったし、エコーも貰う事も叶わなかった。
でも、私にとって、その子は紛れもなく家族でした。
水子供養に行った神社で、親が一番最初にあげるプレゼントは名前であると聞かされました。名前をつけて呼んであげる事が、愛されてる証明になると聞きました。
私は夫と二人で、その子に名前をプレゼントしました。毎年、お寺に水子供養をお願いすると、その子の名前が入ったものとお守りを貰います。そして、また一年。その子と過ごす。生活をしていると忘れちゃう事もあるけど、月命日も覚えているくせに忘れちゃう事もあるけど…。
それでも、ちゃんとその子は私の胸に一生いるよ。忘れる事は、ない。
いつも、一緒にいる気がしているから、月命日だって思わないのかも知れないです。
今でも思う、もしも、あの子をこの腕に抱きしめる事が叶っていたら…。私は、幸せだったんじゃないかって。でも、あの子がいなくても幸せでいなくちゃいけないよね!
産まれていなくたって、あの子にとっては、私と夫は両親なんだから…。
私は、昔、あの子の事が気になって占い師の方に見てもらった事がありました。本当か嘘かはわからないけど、その子は、もう一度、私の子供に生まれ変わる為に頑張っていると言われました。何度も挑戦しては、難しいと感じていると…。でも、いつかまた戻れるように頑張ってるから、私も今を楽しく生きてねって事を言われました。
嘘かも知れないし、本当かもしれない。真実はわからないけれど…。
私は、その話に救われました。
いつか、もし、奇跡のような出来事が起きて、母親になれたらいいのにとも思いました。
でも、期待ばかりしすぎるのはもうしたくありません。
私は、私の身体に何度も裏切られ続けてきたからです。
この世に生を受ける事が出来る事は、本当に奇跡です。
ただ、無事に産まれてくれたらいい。きっと最初はみんなそうだったんでしょう。
私の親もそうだったと思います。
それが、無事に産まれたら、どんどんどんどん形を変えていく。
産まれてくれたらいい、生きていてくれたらいい何て当たり前に思っていた感情が薄れてくのか消えていくのか…。
自分の思い通りにコントロールしようとしたり、お前は駄目だ。出来ないと追い詰めていかれたり、過度な期待ばかりをかけられたり、力でねじ伏せられたり…。
親の期待に苦しまされていく。
私もあのまま親になっていたらそうだったのかも知れない。
そう思うと、時々ゾッとします。
産まれてくれただけでいいわけです。生きていてくれてるだけでいいわけです。
それだけで、幸せな事なんです。
それだけで、充分なんです。
私には、遠い遠い願いです。
もしも、いつか、その願いが叶うならば、たくさんたくさん抱きしめて、産まれてきてくれてありがとうと言い続けたいぐらいです。




