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私が約束を果たすまで  作者: Neko
15/18

第15話 バーンの追憶

過去のバーン視点で物語が進みます。

またもや少ない分量です・・・。申し訳ありません。


―かつて、想い人と親友を同時に失った記憶を思い出す。



『なんだよ、これ・・・』


リネアとクラウスを追いかけて辿り着いた神殿は、すでに凍りついていた。


『嘘だろ』


闇の魔力の気配は無い。・・・風も氷も感じない。


『入るわよ』


カーラの静かな声に冷静さを取り戻す。彼女も辺りの異常さに警戒しているようだ。

靴音を響かせ、神殿の奥深くに進む。どんどん寒くなっていく。氷に僕らの姿が鈍く反射している。最下層に辿り着いた。


そこには―、


『っ!』


座り込んだクラウスが凍っていた。


『おい!』


ガンガンと叩くも壊れそうにない。その上、特殊な魔力で僕の炎が効かない。異常な冷たさに背筋が凍る。


『・・・何でよ』


カーラが絶望したように呟き、その場に座り込む。


『どうしてこうなるの?二人が居なくなるなら、私一人で良かったじゃない!』

『リネアは!?』


神殿の中央には何もない。いや、何かがキラリと輝いた。せめて姿さえあれば―、


『これって・・・』


星形の透明な石、いや、氷だ。


『リネアのものよ。クラウスが作ったの』

『じゃあ、この氷は全部・・・』


途方もない大きさの氷だ。全て、溶けない氷。


『そう、クラウス。あいつ・・・自分の生命を全部使ってるわ』

『リネアはどこだ?』

『多分、消えた。闇の魔力と共に自分を消したのね』

『・・・は?』


理解が追い付かない。じゃあ、何故クラウスは凍っている?


『・・・バーン、ここを出なさい』


瞳から光を失ったカーラが立ち上がる。


『私は人間をやめる。3人の魂を転生させるわ』

『僕らを?』

『このままじゃ私が嫌なの。私の旅に皆を巻き込んでしまった・・・』


既に彼女の桃色の髪が透けている。


『ほら、行きなさい』


神殿の主となったカーラは、柔らかくほほ笑んだ。


『私はいつまでもここにいるから』




―生まれ変わるたびに、文明が栄えていく。いつの時代もカーラは一人で神殿にいた。


『リネアはまだなの?』

『・・・そうね。死ぬときに諦めの感情を抱いていたみたい。クラウスと貴方は、この世に強烈な未練を残してるから無事だけど』

『クラウスもこの世界に?』

『あら、とっくに出会ってると思ってたけど。たまに訪れるわよ』



―それから何回目の人生だろうか。クラウスに会った。


『クラウス!』


その時、彼は有名な一座の主役で簡単に見つけられた。


『・・・バーン』

『リネアに会った?』

『いや、まだ』

『君とリネアに何があったのか聞いてもいい?』


そして、彼から一部始終を聞いた。僕は怒りが抑えらえずに・・・、初めて親友を殴った。


『お前しか!彼女を助けられなかったんじゃないか!』


その言葉を吐いて以来、クラウスとは会うことはなかった。



**


だが今、彼と出会って確信する。

クラウスはリネアを諦めてなんかなかった。僕と同じように彼女を探していたんだ。

気の遠くなるような300年間をずっと耐えていたんだ。


閲覧ありがとうございました!

次話は、現代視点に戻ります。

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