神と罪のカルマ オープニングseventh【05】
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千架の手に握られるは黒く光る銃。
「あぁ。仁樹……」
使い慣れたようにその右手で銃を器用に回す。
「早く会いたいな」
棚の上にある部屋で一番美しいとも言えるグラスに狙いを定め、
「会って……」
パンッーー!
引き金を引いた。
派手な音が部屋中に響き、同時に美しかったグラスは四方八方にキラキラと輝きながら破片となって飛び散っていった。
「殺してやりたい。永遠に消えない傷を付けて……」
浮かぶ微笑みは美しくも温かさとは程遠い。
見た者の背筋を凍らせるような冷たい笑み。
「勘違いするなよ、仁樹……。これは、『罰』なのだから」
そしてまた銃を器用に回して宙に投げて今度は左手で華麗に掴み取る。
「私自らが下す。神の裁きによる、『栄光なる罰』だ」
『九年前』。
仁樹は取り返しのつかないことをしてしまい、大きな過ちを犯してしまった。
それは償っても償い切れない大き過ぎる『罪』であり、彼が一生背負っていかなければならない『罪』。
決して、『人』がしてはならない『大罪』――
「『人』であることを忘れ、多くの『人』を殺めた罪――」
『感情』と『自我』を失い、ただ命ずるがままに殺戮を繰り返した操られるだけの『人形』。
『操り人形』――……
「忘れた罪と殺した罪。世界への罪と人への罪。ふふ……この私が罰を与えるんだ。こんなに光栄なことはないだろう?」
冷笑のまま。此処にはいない、金と漆黒の髪をした青年を思い浮かべて見下す。
「ましてや。世界から除外された存在が、世界に選ばれた私に罰を与えてもらえるんだ。有難く思え」
千架の口元が歪んでいく。
「ふ、ふふ、ふははは……、ふはははは!」
隠すことも抑えることも無いその笑いは自分よりも下の存在である全てを見下す。
広き海を。凛とした華を。懸命に光る灯を。世界を彩る生き物を。
彼の〝所有物である人間を〟――
そして。それ等より下に存在する――
『世界から除外された存在』を――
「私と同等なのは、朋音だけだ。一族の誰一人として同等な者はいない」
落ち着き、今度は左手で再び器用に回して銃を構える。
視線はグラスがあった場所から離れた位置にある大きな置き時計。
そのガラスの中で動き、時を刻む振り子に螺旋を描く弾丸の狙いを定める。
「朋音だけなのだよ――」
自然の世界で放たれた凶器の音は都会の世界には届く事はない――……




