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神と罪のカルマ  作者: 乃蒼・アローヤンノロジー
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神と罪のカルマ オープニングforth【07】



「息の根を止めてやろうかな」


 突然の親友の言葉に朋音と二人してギョッとして振り返った。

 まごうことなく親友の殺意。口は笑うが目が笑っていない。

 そんな彼の姿に愕然としながらも、その肩を叩いてその思考にストップを掛ける。


「正義の味方が息の根止めるとか言うもんじゃねェよ」

「親友が二回も危険な目にあったんだよ。そう思って仕方がないだろう?」


 結局、犯人についての事情徴収や爆発現場ということもあって、グーテンタークは本日の営業を中止にせざる終えなくなった。

 またしても、店長が発狂。

 流石に、前回のように放置すら訳にはいかなかったので、グーテンターク総員でそれを阻止することに。

 飛んでくるボールペンはお盆でガード。向かってくる拳は寸前で回避。

 そんなことを繰り返しているうちに発狂という嵐は収まり、店長は落ち着きを取り戻す。従業員は各々その姿を確認すると、精神とともに疲れた身体で次々と帰宅したのであった。


 しかし、そんな中。帰宅していない従業員―――仁樹は血相を変えて駆けつけてきた朋音と護衛として一緒に来た海琉たちと爆発現場に残っていた。


「看板がね~。どんな感じで落ちてきたの?」

「多分、お前の想像通り」


 目の前に落ちてきた看板。

 あの時、頭への刺すような痛みが無ければ、確実に仁樹の頭へと直撃していたであろう。

 反対に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「意図的に誰かが邪魔した……ってことかな?」

「そうなると協力している奴は頭がいいみたいだね」

「協力っていうよりは、利用してるって方が合ってんじゃねェか?」


 頭に直撃する光景を想像してしまったのだろう。落ち着いてきたはずなのにまた顔色を悪くした朋音の肩を抱きながら、仁樹は犯人たちの関係を考えた。


 推測では、この連続犯罪者は正直に言って馬鹿がつくほどのド素人。

 そんな存在を対等な立場で協力してどんなメリットがあるのだろうか。はっきり言って、デメリットでしかない。

 そうなると、協力より利用するほうがいいに決まっている。


「利用しているってことは、今回の犯人は捨て駒みたいなものか」

「駒ねェ……。世の中には、捨て駒にしねェように使うって奴もいるけどな」

「駒が使えない限り、悪は容赦なく捨て駒にするさ。自分に利益のみを与えてくれる駒だけを残してね」


 現実の世界。悪の世界。何処の世界でもシビアなことがあるのは変わらない。

 悪には悪の事情があるが、それでも人様に迷惑を掛けているのだからフォローのしようもない。


「うーん……」

「朋音? 何か見えんのか?」

「ううん……見えない。こういうとき、お兄ちゃんの方だったら何か分かったかもしれない……」

「しょうがないさ。それに先輩の方も運だめしなところがあるからね~」


 申し訳なさそうに答える朋音に海琉は苦笑いをしながらもフォローを入れて、先日の爆発事件で手に入れた欠片を取り出す。


 爆発物の欠片。

 先日の推理で、欠片の錆びなどからみて不法投棄されたもの――「街中にあったものではない」という考えに辿り着いた。

 街中には無く、不法投棄に溢れ、人の目に見つからない場所。

 加えて、一緒に飛んできた石の形状や性質から情報を読み取り、欠片によって思い浮かぶ候補地を絞っていく。

 それらの過程から、彼らが思い浮かんだ場所は三か所だった。


「全部街外れだったから移動とかに時間かかっちゃってね。最後の一か所だけ行けなかったんだ」

「行けなかったってことは、()()()()()()()()?」

「そうだね。場所は……」


 街外れにある捨てられた倉庫。


「で、行こうとしたら警察が倉庫のある方へ向かっているのを見たんだ」

「つまり、いま行こうにしても警察がすでに黄色いテープ張ってると思うから行けねェ、と」

「そう。まぁ、()()()()()()()()()()、きっちり証拠を掴んでくると思うよ」

「そうかァ」


〝あいつ〟という言葉に、仁樹はひとまず安心した。


「仁樹くん、とりあえず家に帰ろうよ」

「え、でも……」

「二回も危険な目に合ってるんだよ? 少し休憩しても罰は当たらないよ」


 そう言って仁樹の服を掴み、決して離そうとしない朋音。その目はまるで何処にも行かせないように訴えているようで少し動揺してしまう。


「朋音ちゃんの言う通り、家に帰って休もうよ」

「だけど、こうしている間にも被害者が……」

「なら、俺がいつも通りパトロールするから。それに……」

()()()()()()()()()()……ね?」


 朋音の必死な説得に言葉が詰まる。

 朋音にその言葉を言わせてしまった――と、自分の発言に配慮がなかったことに焦り始め、そんな仁樹の肩を今度は海琉が叩いた。


「いまの君が一番にやるべきことは犯人を見つけることじゃないだろう」

「あァ……」

「生き急ぐなよ」


 このまま独自で操作を続けてしまったら朋音を不安にさせてしまう。


(()()()()()()()()()()()()()()()()()()……)


 不安にさせてしまうのなら、その不安を少なくさせなければならない―――。

 それが、いま仁樹がやるべきこと。やらなければならないこと。


「『不幸』にさせちゃいけねェんだよな……」

「そういうこと。だから、今日は帰りなよ」


 海琉の提案に今度は素直に頷く。


「朋音、帰ろう」

「うん……」


 その後、仁樹の実家に着くまで二人の間に会話は無かった。

 沈黙の間、仁樹は頭の中では先ほどの会話で出てきた言葉について考えていた。


(不幸――)


 不安にはさせてしまうのだ。どんなに頑張っても、どんなに信頼されても。

 朋音は不安になる、心配してしまう。

 信じてないから心配するのではない。

 優しすぎるから心配するのだ。

 

 だから、仁樹は彼女の気持ちを『()()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()、『()()()()()()()、『()()()()()()()()()()()い。


(一緒に生きるって決めた時、そう誓ったのにな……)


 ままならない愚かな自分に腹が立つ、と。朋音と繋いでいない反対の手を強く握り締めた。




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