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神と罪のカルマ  作者: 乃蒼・アローヤンノロジー
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神と罪のカルマ オープニングforth【05】


「こう、ダボってした全身黒の服で、帽子はつば付きのを被っていて……。背は多分、百七十センチぐらいだと……」


 犯人を取り逃がした仁樹は店へと引き返した。

 到着した時には、既に警察が駆け付けていて、爆発現場である裏口には立ち入り禁止の黄色いテープが巻かれている。


「たく、お前は……!!」


 言うことをを聞かなかったため、雅晴に背中を蹴られた。

 それでも、犯人と取り逃がした理由が頭痛と看板が落ちてきたことだと知ると、それ以上は何もしないまま椅子に座るよう促されたのであった。


「顔とか見てないが、雰囲気として男……だったと思う」


 仁樹は椅子に座りながら、警察から事情徴収を受けていた。


 仁樹は言ったのだ。

 犯人を見た。どんな感じかもばっちり覚えている、と。


 その言葉に警察は驚きで目を丸くさせ、慌てたように胸元から手帳を取り出した。

 驚くのも無理はない。「覚えていない」「見ていない」と犯人の情報が全く手に入らなかった中、その言葉たちとは正反対の言葉を口にしたのだから。


「あと見た目の特徴じゃないが、足は速い方だと……」

「はい! 見た目だけでなくても大丈夫です!」


 どんな情報でも欲しい、と一切のよそ見をせずに情報を求め聞いてくる。一つ一つの質問を記憶を頼りに次々と答えていく。

 質問されて、答えて、質問されて、答えての繰り返し。解放されたのはお昼を十分に過ぎたころだった。


「ふゥー……」


 肩の力を抜き、背もたれに寄りかかりながら息をつく。

 街中の爆発事件に引き続き、また事件に巻き込まれたのだ。心身ともに疲れているのは当たり前というべきか。


「お疲れ」


 そんな仁樹に雅晴がねぎらいの言葉を送る。机を挟んだ向かい側に座り、外の自販機で買ってきたであろう缶コーヒーを差し出た。

 頭を軽く下げ、お礼を言ってから缶を受け取り蓋を開ける。そのまま口に運び、渇いた喉へと流し込んだ。


「お前に怪我が無くて本当に良かったよ」

「仕事が増えるからッスか?」

「そこまで俺はひでぇ奴じゃぁねぇよ。可愛い後輩が頭に大怪我でもしたら普通にキレて悲しむわ」

「キレるのは変わらないんスね……」

「当たり前だ。無茶するなって言ったのによぉ……」


 雅晴も買ってきた自分用の缶コーヒーを開け、その口に運ぶ。


「すみません……」

「って、何回も言って何回も繰り返すんだよなぁ、お前。本当に頭良かったのか? 学年主席だったんだろ?」

「この際、勉強は関係ないんじゃないッスか?」

「そうだな。性格の問題か」


 必ずしも頭の良い奴が成績優秀とは限らない。

 雅晴のいうとおり、結局は性格なのだ。


「……先輩」

「なんだ?」

「今日の営業、確実に無理ッスよね」

「……無理だな。明らかに無理だ」


 二人して同時に肩を落とし、大きな溜息をついた。

 本日、店長が暴れることが決定。それも今朝に想像した以上の酷さで。


「マジで犯人ぶん殴りてぇ」

「俺はぶっ飛ばしてェス」


 缶コーヒーを握り潰す音が二つした。素材はスチール。


「あァー……朋音に会いたい。癒されたい……」


 愛しい彼女の姿を想い浮かばずにはいられなかった。

 なんせ爆発は起きるわ、霧雨の中を走るわ、頭痛は起きるわ、看板落ちてきて犯人逃がすわ。それに続いて、店長が暴れるわ。


「信じちゃいねェが、俺ら星座、今日最悪だったんかねぇ?」

「あァ。俺、星座占いとかそういうもん当たらねェんスよ」

「お、いいなソレ。まァ、そんなもんしょっちゅう当たってたら、一日が限られた生き方しかなくなるよな」

「いや、俺の場合は全く当たらないっていうか、当たることが無いというか……」

「いいんじゃね? 当たらなくて。そんなもんに振り回されるな」


 潰した空き缶を専用のゴミ箱へと投げ捨て、雅晴は煙草を片手に窓辺へと移動。

 少しだけ窓を開け、煙草を咥えて火を付ける。

 

『必ず決まった未来などこの世には存在しない』


 そう、運命は変えられる――


「……そうッスね。俺を振り回していいのは、俺の大切な奴らだけッスから」

「はっははー! つまり、俺もお前の大切な奴らなんだな」

「振り回している自覚はあったんスね」

「勿論。悪意のない悪口より、悪意ある悪口の方がマシってな」

「悪意のある悪口ッスか」

「まぁ、込めてるのは悪意じゃなく信頼だな。信頼してるから振り回すんだよ。俺も、お前の周りにいる奴らも」

「そうッスか」


 全く、大変な人たちを大切にする決めてしまったものだ、と。

 それでも、大切にすると決めたことに後悔することはこれから先もないだろう。

 それははっきり言えることだと、仁樹は疲れた身体を今度は机へとより掛かり、突っ伏した。




作者は星座占いは見ないタイプです。

信じやすいので、結果次第では一日気に掛け過ぎて疲れるので(笑)

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