神と罪のカルマ オープニングforth【02】
「お兄ちゃん、大丈夫……!?」
帰宅後、灯真が仁樹の怪我を見るなり、涙をポロポロ流しながらしがみ付いてきた。
「大丈夫だって。たく、俺の周りには泣き虫が多いなァ」
「それでけお前が無茶をするってことだろう」
「いって」
医者なのに容赦なく仁樹の背中を叩き、その反対に灯真には優しく笑いかけ、その背中を優しく摩る。
「大丈夫だ、灯真。お父さんが着いているんだ。すぐに怪我なんて治るさ」
「ほんと?」
「あぁ。だから心配するんじゃない」
天と地の差、とまではいかないが。それでも仁樹とは違って灯真にデレデレの父親。これを世間では『親バカ』ということをこの髭面親父はわかっているのだろうか。
「とりあえず、リビングに行きましょうよ。仁樹も着替えた方がいいと思いますし。朋音ちゃんはお茶の準備手伝ってよ」
相変わらずの博士の姿に、仁樹は呆れていると海琉が明るい声で提案してきた。確かにボロボロの格好のままでは居たくなかった仁樹はその提案を受け入れ、二階の自室へと向かった。
「灯真。今日はお父さんと一緒に寝ないか?」
「うん!」
遅めの夕飯も終え、それぞれがようやくゆっくりと物事を考えられるようになった時間。一足先に灯真と博士は寝室へと向かい、残された三人がリビングに集まる。
「……はい、すみません。よろしくお願いします」
続いて一言二言話して、仁樹は通話の電源を切った。
「大丈夫、? お休み、もらえそう?」
「あァ。流石に衛生上な? 明日一日は休みをもらった」
緊急事態だ。流石に休みはもらえたというわけだ。
「いやぁ、流石にびっくりしたよ。灯真くんとアニメ見てたら上のテロップに緊急速報だよ」
仁樹の実家はたまり場だ。勝手しったる様子でキッチンでお茶を入れ直してきた海琉はソファーへと座って夕方の出来事について話し出す。
「それから暫くして爆発事故ってわかっての仁樹巻き込まれコンボときた」
「言いたくねェが、流石俺だよな」
「自慢じゃないんだよね~」
「自慢したくもねェよ。……で、これだ」
さて、悪ふざけもここまでだ。
カラン……、と。仁樹は机の上に何かを置いた。
「仁樹くん、これは?」
「飛んできたのを拾った」
「怪我したっていうのに、君は……」
仁樹の行動に呆れてしまう親友。
「どう思う?」
だが、そんな親友の小言を無視して、欠片の一つを手渡した。
相手から溜息が一つ。
「……どう見ても、さっきの爆発では出来ないものだね」
時間をかけてじっくりと観察してから答えた海琉に、仁樹は同意を示す頷きを見せる。
「明らかに、投げつけて出来るもんだ」
「踏み砕いたっていう線もあるよ」
仁樹は爆発が起きた後の現場の様子を思い出す。
救急車が来るまでの間。周りに飛び散らかった欠片を人々に気付かれないように片手で集め、周りの様子を視線だけを動かし観察していた。
その結果。どの欠片も細かったのだ。
ガラスなど割れやすいものであったのなら話は別だ。しかし、実際に爆発が起きたのはコンクリート同士、窓が無い頑丈な建物の間。
欠片も全て、いまテーブルに広げられた種類のものばかり。ガラス類など記憶の中には一つもない。
いくら威力が強力でも、たった一回の爆発で機器類がこんなにも粉々になるだろうか。
もし粉々になるとしたら、その場にいた人々は怪我どころでは済まなくなってしまう程の爆発である。
「なんだか……その場にあったものを使ったって感じがするね」
「この犯人。馬鹿なんじゃないかな」
「だな。その場にあったものなんて、証拠を残したと一緒じゃァねェか」
不審な欠片たちを調べれば、色々なことが自ずとわかるものだ。
新品のものを壊して出来たものなのか。はたまた、捨てられ古くなったものを壊して出来たものなのか。
前者ならメーカーをすぐに調べ、後者ならそれらが多く無断に捨てられる場所を探し出す。
いくつかの爆発の欠点を述べていくと犯人がどのような人物であるか想像が付く。
「馬鹿でもあり素人だな」
素人なら、この爆発のトリックも簡単に見破ることが出来る。
「素人と爆発……。ゴミ袋……。簡単に出来るもの……、簡単に手に入るもの。そして、天候……」
その条件が当てはまる方法は一つ。
「……〝気体〟を使ったな」
「火薬じゃなくて?」
「……そっか! 最近は〝雨〟だもんね」
朋音の答えに仁樹は頷いた。
こんな湿気ばかりでは火薬にはなかなか火はつかない。
「気体を袋に詰め込み、袋越しに引火……といったところか」
「そんなであんな大きな爆弾できるのかい?」
「無理だ。だが、相手が馬鹿で素人なら、ほかの気体爆弾も同時進行で進めてたんじゃないか?」
「例えば?」
「ガススプレー爆発とか、キャンプ用プロパンガス爆発とか」
湿気ばかりの場所でも火を灯し、引火させる方法はある。灯油やガス漏れのライターなどが例だ。
何回にも渡る爆発を起こしたのだ。気体も大量に使ったはず。
「あれ? つまり、仁樹くん。それって、気体のボンベを大量に購入したって証拠があるってこと?」
「その通り。それがこの犯人が馬鹿で素人の証だ。だから、すぐに捕まんだろ」
「んー、捕まるといいけど」
そう言って、海琉はスマホの画面を仁樹たちへと向けた。
《メッセージ、『Hello. I'm a player! Let's play together!』。犯人はまたしても連続犯罪者か!?》
「死の遊び人か……」
「同じ、犯人なのかな?」
「このぐらいの騒ぎで感化されないと思うけど」
「でも、今まで事件とは違った感じだしなァ……」
同じ犯人か。違う犯人か――
「何か不自然なんだよなァ……」
不思議でも不気味でもない。
不自然なのだ。
「被害者全員生きてるんだろう? つまり、誰かが通報したということだ」
全ての事件は警察に通報されている。それも全て被害者当人ではなく、発見者である第三者からだ。
被害者である全員は生存していることから、つまり犯人は第三者に見つかり警察を呼ばれたことで行為中断し、逃走したことが推測できる。
「それなら、普通は目撃情報があるはずだよね」
朋音のいう通りだ。そして、この推測が正しければ、その第三者が見ているはずなのだ。
「その第三者さえ襲われていたのなら無理は無いけど、彼らは全員無傷」
「無傷で無事。そして犯行を見つけて警察に連絡したんなら……」
顔が見えてなくても、服装、体系、性別。手掛かりになる情報は少なからず入ってくるはず。
「それが全くないっていうのが、不自然ってもんだ」
「第三者が脅されていたとかは? そして、一ヵ月もこんな派手な行動をして見つからないと考えると……」
「共犯者がいるってことかな……?」
不透明な点が多すぎる不透明な点が多すぎる死の遊び人。
果たして、彼らの推測はどこまで正解へと近づいているのか……。
作者の頭があまりよろしくないので、頑張ってこんな感じの推理合戦です。




