神と罪のカルマ オープニングzero【α】
「好きだ、朋音。愛してる」
これは紛れもないーー本物だ。
誰かに言われたからではない。
誰かに求められたわけでもない。
自分の意思で生きて、自分の身体で感じた。
あの『財峨仁樹』が自分で手に入れた『想い』だーー……
(これは、『俺』のものだ……)
誰にも渡すものかーー、『俺』だけのものだーー
彼女の顔を見ないで、背を向けたまま伝える卑怯者……いや、臆病者。
だが、例え臆病者と罵られても、振り向くことは仁樹にはできない。
振り向いて仕舞えば、覚悟を決めた自分に戻れないような気がしたから。
門は通り過ぎた。両親は消えてしまった。
仁樹の幸福な日々は、今日終わりを告げる。
両親の願いから始まり、自分の願いに変わっていった、
「終わらないで」と、願った日々ーー
時間は残酷だから、いずれ終わる。
だが、きっと何度繰り返しても、仁樹は後悔するのだろう。
「もっと、大切にすれば良かった」とーー。
卒業証書を強く握り、奥歯を噛み締め、苦しみと悲しみと……寂しさに耐える。
こんなにも弱くなった。こんなにも脆くなった。だが、そんな自分を仁樹は後悔しない。
なりたかったのだから。そう思える自分に……ーー
(行こう……)
ありがとう。愛しい人ーー
俺を見つけてくれて、本当にありがとう……
「待って……!」
「私の……私の『想い』を置いていかないで……!!」
神と罪のカルマ オープニングzero【α】 終
神と罪のカルマ オープニングfirst 続
高校生の時から考えていたお話で
個人サイトにて掲載していたお話でもあります。
モデルというかキャラ設定として、
仁樹は「こんな理想過ぎる男がいたらなぁ」
朋音は某有名海外ドラマの女性並みの人。
作者的にも思い出深い作品なので、読んでいただければ幸いです!