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明かされる真実

「それでは皆さん。新しい世界を作り出すということでよろしいですか?」

「はい。そうします。けど、想造という魔法は父さんしか使うことができないんですよね?」


 想造を使える人間が父さんだけである以上、父さんを説得することになるだろう。

 それが出来なければ、他人を操作するような魔法の類を使うことになるのか。


「タケルさんの言う通りです。しかし、想造という魔法もまた神器による力だとすればどうでしょうか?」

「まさか……父さんが神器を持っているということですか?」


 誰の神器なのか大方想像はついた。ザラムの話と神話の内容から推測するに……


「はい。彼は私達の生みの親であるイザナギの神器を持っています」


 やはりか。つまり父さんとの交渉が決裂した場合、神器を賭けて戦うことも視野に入れなければならない。


「あの、アマテラス様。俺にもそのイザナギ様の神器を使うことはできるんですか?」

「出来ると思います。そもそも神器は極一部の人間にしか扱うことができません。タケシさんもその一人です。そして、その血を引くあなたならその可能性は高いでしょう」


 アマテラス様がダンジョン攻略に俺を選んだ理由がようやく分かった。

 しかし、俺が世界を創るってのがイメージが湧いてこない。こんなんで大丈夫だろうか。


「ねーねー、そのイザナギって神様はどうしてるの?」


 確か前にイザナギ様はどこかに消えてしまったと言っていたな。


「父はタケルさんの世界を救うべく魔王になりました。そして、そんな父を倒すようタケシさんに依頼したのがこの私なんです」


 イザナギ様が魔王だと……次々と明かされる事実に脳の処理が追いつけなくなりそうである。

 えっと、まずイザナギ様が魔王になって、その後にアマテラス様が父さんに魔王討伐を依頼した?


「けど、何かおかしくないですか? 父さんはイザナギ様の神器を持っているんですよね?」

「はい。タケシさんには最初にスサノオ、その次にツクヨミの神器を渡しました。タケルさんと同様、眷属の魔法を使うことができます」


 俺は災厄のダンジョンで戦ったフラットとブラフのことを思い出した。

 あの二人には眷属の魔法が掛けられていたのだろう。


「それじゃ、父さんがイザナギ様の神器を手に入れたのは……」

「おそらく父に勝利した後でしょう。何らかの方法で世界が滅びることを知り、想造で災厄のダンジョンを生み出したのだと思います」

「けど、そうするとちょっと不思議よね。フラットとブラフは災厄のダンジョンを生み出すことに賛成したのかしら?」


 イグノスの疑問は当然の反応だろう。本来、生まれ育った世界を守りたいと思うはずだ。

 だが――


「まぁ、賛成したんだろうな」


 あの二人の目に迷いはなかった。

 自分たちの世界が滅んででも父さんがいた世界を守ろうとしてくれたのだろう。


「じゃあ、イザナギ様は殺されたってこと?」

「いえ、神が死ぬことはありません。おそらく神器に封印されたているのだと思います」

「封印……スサノオ様やツクヨミ様みたく神器を取り返せば封印が解かれるってことなんですか?」

「そうですね。神器に神が封印された場合、他の人に手が渡ることで封印が解かれます、ただ、その場合、困ったことが一つあります」

「困ったこと? 何ですか?」

「神器から解放された私達の父とも戦う必要があるということです」

「あ……」


 言われてみればそうか。イザナギ様は異世界を滅ぼすつもりでいた。

 父さんと目的は同じである。


「えぇ……それって厄介だね。タケルの父さんだけでも厳しいのに」

「そうね。やっぱり交渉して納得してもらうのが一番よね」

「はい。タケルさんの父さんに新しい世界を作ってもらう。これが一番だと思います。しかし、そうならなかった場合のことも考えておく必要があると思います。ですので、私も同行させてください」

「アマテラス様がですか?」


 てっきりアマテラス様はこの天界から離れられないものだと思っていた。

 確かにアマテラス様が一緒に戦ってくれるのは頼りになる。


「おい、アマテラス! 正気か? お前がいなくなったら人間と世界の管理はどうするつもりなんだ?」

「世界と世界のぶつかり合いは私達神の責任です。現最高神である私が戦わなくては神と名乗る資格はありません。ツクヨミ、もしも私に何か会った時はあなたが管理をお願いします」

「分かったよ。アマテラス、気をつけてね」


 話がまとまった。アマテラス様が付いてきてくれるのは素直にありがたい。欲を言えば、ツクヨミ様にも付いてきて欲しいが、流石にそこまで贅沢は言っていられない。


「よし! それじゃ、ワシも付いて行こう。ワシも一緒なら安心だろう」

「いや、別にいい」

「私も……正直一緒に行動するのは嫌だわ」

「ガーン!」


 エノンとイグノスにバッサリと切り捨てられたスサノオ様はひどくショックを受けた。というか、『ガーン』とか口に出して言う奴、学校にいるうざい先生以外で初めて見たな。


「みんな、一つ良いかな。あのザラムって子だけど……」


 ツクヨミ様の言葉でようやく思い出した。すっかり忘れていたがザラムだけがこの天界にいない。

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