初代聖剣使い
集落にに着くと30人くらいが私を出迎える。皆一様に片膝を地面につけ頭を下げている。先に向かったアンナが私の存在を知らせたらしい。
「お久しぶりでございます、ハルカ様。あなた様の目覚め誠に嬉しく思います。私のことはお覚えでしょうか。」
きっとこの人が長老だ。見た目は40代くらいだがこの場面で代表して話しかけてくるということはこの村で1番の権力者なのだろう。
しかし何故「お久しぶり」と言っているのかわからない。この人物に私は会った覚えはない。名前を知っているだけならアンナが伝えたという可能性はあるがアンナに念話で聞いてみても名前までは伝えてないという。
「えっと...ごめんなさい。私とあなたはたぶん初対面なのだと思うのだけど...私の名前はハルカだけど、きっとあなたの知ってるハルカとは違うと思うの。」
「失礼いたしました。では改めまして....はじめましてハルカ様。私族長のヴァニアス・ネルダ・トゥーアと申します。400年前先代のあなた様と共に魔王を滅ぼしたガルダの息子であります。」
そのあと族長から私についての話を聞いた。
どうやら先代聖剣は族長の母と共に魔王を倒して平和な日々を過ごしたのち眠りについたという。眠りについたのは250年ほど前なんだか経過年数と族長の年齢が合わないのだが話によると、この集落は初代聖剣使いの末裔の村で聖剣の力によって寿命が延びているらしい。その血を色濃く受け継いでいる族長は300歳近い年齢にもかかわらずこの見た目だそうだ。
話を聞き私は安堵した。女神の話と少し違う点が気になるがもう魔王はいないらしい。ならこのままスローライフを送ることができるのでないだろうか。体の自由は効かないが会話はできるようだし最低限なんとかなるだろう。自由に動ける体を手に入れる方法は時間をかけて探していこう。
おっとその前にきっとこれからお世話になるだろうし、詳しく話を聞かせてくれた族長にお礼をしないといけないな。
「族長さんありがとう。お礼に私にできることなら手伝うよ、なんでも言って!」
「ありがとうございます。あなた様には400年前と同じように魔王を倒して欲しいのです。」
「え、ま、魔王ってもういないんじゃないの!」
「確かに400年前に魔王は7人全て滅びました。しかし400年の時を経て7人のうち数名が復活しているのです。今代も勇者は当てにならないでしょう。そこであなた様の力を貸して欲しいのです。」
「わ、わかりました...」
すごい期待に満ちた目をしていた。
しかも村人全員がだ。
あの場面で断る勇気は私にはなかった
「ありがとうございます。では共に参りましょう」
そういうと族長はカレンの手に居た私に手を伸ばし、手に取る。
「え、あなたと一緒に倒しに行くの??」
「このような老骨で申し訳ありません。ですがいくら一族の者と言えどもあなた様を振れば魔力をほとんど吸われてしまうため扱えないのです。私はかなり色濃く血を受け継いでいるので私が適任かと。」
ふむ。確かにカレンと比べると族長さんと私の間の魔力の流れがスムーズな気がする。しかし私はアンナの手に握られた時の感覚を思い出す。族長の比ではないのだ。まさに1つになるといった感覚。私はアンナちゃん推しである。
それに女子大生の私はお爺さんと1つになるというのがなんとなく嫌だというのもある。
「それならアンナちゃんが適任です。アンナちゃん私を持って?」
「ふぇ?...は、はい!」
私は族長からアンナの手に渡る。
やはりアンナの手の中は心地いい。それに力も湧いてくるようだ。
「ぐぬぬ...確かにアンナの方が適任のようだ。し、しかしアンナはまだ学園で学んでいる最中。未だにろくに魔法も使えません」
族長ぐぬぬとかいってるぞ。そんなに私と魔王を倒しに行きたかったのか?もしかしたら戦闘狂なのかもしれない。
そういえばたしかにカレンに向かって何度も呪文を唱えていたけど何も起きていなかった。まだ勉強中だったのか。
「では私も共に学園に通います。正直なところ私もまだうまく力が使えないんですよ。こんな状態で魔王に挑んでも勝てる見込みはないでしょう?」
族長は悔しげな顔をしていたが自分が行くことは最善ではないとわかっているらしく、渋々だが了解してくれた。
こうして私はアンナちゃんとの学園生活を送ることになった。




