撃退
少女は胸に刺さっさた剣に手を伸ばす。
痛みと出血が相俟って今にも意識が飛びそうだがそれでも少女は手を伸ばす。
その剣に救いを求めるように。
アンナの胸で呆然としていたハルカだが少女の手がこちらに向かってきていることに気づき意識を向ける。なんとかしなければならないがどうすれば良いかがわからない。ハルカが混乱してると少女の震える手がハルカの柄を掴む。
「えっ...」
その瞬間ハルカは今までに経験したことのない感覚に襲われる。木漏れ日の中で眠るときのようなしかし意識ははっきりとし、全身をものすごい大きな何か包まれているような感覚。そして少女を感じた。
それはアンナも同じなようで先程までいつ死んでもおかしくないそんな状態だった少女が目を見開きしっかりと剣を握っている。
「...(いま、なんでもできそうな気分だよ!)」
まずは少女の胸から脱出しなければと思い少女をコントロールしようとするがその前にハルカの意思が伝わったかのようにアンナは胸の剣を抜く。本来なら大量の血がでて失血死するような行動だがそれをハルカはなんとなく使い方がわかった回復魔法で瞬時に傷をふさぐ。さらに先程盗賊から吸収した魔力を少女に流し込むと少女の髪の色は白銀に変わり見た目も少し大人になったのだった。
「よしっこれならっ!!」
私の言葉がアンナの口から紡がれる。いまは一心同体、いや二心同体という状態なのだろう。
アンナはかなり驚いているようだが説明は私にもできない。ひとまず姉のカレンを助けるために盗賊たちを退けなければならない。
「アンナちゃん!私が力を貸すから戦いましょ!お姉さんを守りたいんでしょ? は、はい、頑張ります」
周りから見たら1人で自分と会話しているようにしが見えない危ない奴だが今はそんなこと気にしている暇はない。アンナは私を構えるがどうやら重すぎて構えることができないらしい。持ち上げようと頑張った結果持ち上げたもののそのまま後ろに倒れてしまったがその時あたりは光に包まれ、それが収まるとアンナの正面数キロの森が無くなっていた。
どうやらさっきの一振りとも言えない微妙な動きでこうなったようだ。気合いを入れすぎた私のせいらしい。盗賊には当たっていなかったがその光景は十二分に盗賊たちに恐怖を与え、ヤナムとゲリウスはカインを抱え上げ逃げ出していった。
「おねぇちゃん!!目を覚ましておねぇちゃん!!」
アンナは盗賊が逃げ出した瞬間カレンの元に駆け寄り呪文を唱える。アンナの髪はすでに黒色に戻っており見た目ももとに戻っていた。魔力を使い切ったのだろうか。
それにしてもあんな非現実的とも言える一撃を見た後すぐに切り替えて姉の元に駆け寄るとはかなりの大物なんじゃないか、それともとても姉思いの良い妹なのだろかと私は思った。
「聖剣さん!おねぇちゃんが目を覚まさないの!回復魔法をかけようとしてるんだけどまだうまく使えないの!お願いおねぇちゃんを助けて!!」
やはりこの世界に魔法はあるようだ。さっき一度回復魔法を使ったから感覚は掴んだ。魔法をアンナの肉体を通してカレンにかける。アンナの身体をコントロールしても良かったのだがあまり気が乗らなかったためそのような方法をとったのだが上手くいったようだ。
「...んん...アン、ナ?アンナ!あなたぶじなの??盗賊は?」
目を覚ました途端妹を心配をするなんて。なんと美しい姉妹愛だろうか。それを見て私はこの少女たちに所有してもらうと心に決めた。それにアンナは何か不思議なつながりを感じるのだ。
「...(私はこの世界でこの子たちの剣となろう)」
姉妹の抱擁の際地面に投げ捨てられてしまったがそんなことを気にせず決意を固めた。
「アンナ無事で良かったわ!森が一部消えてたり私の傷が治ってたり不思議なことはたくさんあるけどあなたが無事ならそれでいいわ!さぁ早く聖剣を遺跡に戻して村に戻りましょう!」
カレンの言葉にハルカは耳を疑った。




