洞窟
「(んんっ...)」
目を覚ますとそこは薄暗い洞窟の中だった。周りには湖が広がっており天井には水晶、壁には光るコケと如何にもファンタジーといった感じの幻想的な光景が広がっていた。
どうやら私は転生したらしい。
「(幻想的なところだなぁ...)」
そして転生したのだという実感が湧くとともにこれからの異世界生活への期待にむねを膨らませる。
「(前世では結局彼氏できなかったけど異世界だったらできるかな。でも彼氏より先にかわいい妹が欲しいなぁ。うん。彼氏より妹を作る方が先だね。可愛い女の子に囲まれた生活って考えただけでニヤニヤが止まらないよ!)」
しかしこの場所に人のいる気配はない。
さらに人が来た痕跡すらない。
おそらく秘境といったところなのだろう。確かに景色はいいがここにいては家も服も食料も手に入れることはできないだろう。
「(うーん、どうしようかなぁ)」
これからまずどうするか考えているとふと気配を感じた。気配のする方向に注意を向けて待っていると声が聞こえる。しかしまだ声の主まで距離があるうえ洞窟の壁に音が反響しうまく聞き取ることができない。
そこでこちらから呼びかけることを試みるがうまく声が出ない。
「...(転生してすぐだからまだ体に慣れてないのかな)」
確かになんだか全身が凝っているような感覚だし体を動かそうにも金属のように重く感じ自由も効かない。
「...(まぁ声の様子からこっちに近づいてきてるみたいだし大人しく待ってよう)」
いろいろ試してみたところですぐに諦めた。最近まで春休み中の女子大学生だったのだ。ハルカはやる気も気力も持ち合わせてはいなかった。
程なくして先ほどの声の主が姿を見せた。
声の主は男3人。
「カインさん!見つけましたよ!これがお伽話でよく出てくる聖剣なんじゃないですか?!王国が管理する遺跡に忍び込んだ甲斐がありましたよ!!」
痩せこけた男が興奮気味に声を上げる。
それを制止するように日本人の平均体型といった感じの男が口を開ける
「落ち着けヤナム、まだ罠があるかもしれねぇ。ここに来るまでどけだけ苦労したか。ゲリウスお前も注意を怠るなよ」
「おっけー」
ゲリウスと呼ばれた小柄な男は軽い返事を返した。
どうやら声の主たちは盗賊のようだ。3人は目当てのものを見つけたらしく少し興奮しているようだ。
しかし疑問が。
先程辺りを見渡したとき聖剣らしきものなどあっただろうか。
そんなことを考えてるうちに目の前まで3人がきた。リーダーらしいカインは私の方に手を伸ばす。
「これが古代の無銘聖剣か。闇市場で売ったらとんでもない額になりそうだな。いやいっそこの聖剣を使って魔王の一角を倒して貴族になるなんてのも夢じゃないぞ!」
聖剣を掲げ興奮するカインを私は見下ろしていた。
私は盗賊の男に持ち上げられているようだ
私はこのときようやく気づいた。
あの女神はとんでもないことをしてくれたということ。
「....(フザケンナ!!!)」
声にならない文句を吐く
私は聖剣に転生させたようだ




