ある日森の中
「あるーひー森の中ーくまさんにー出会ったー」
私はアンナ、カレンと共に森の中を散策していた。姉妹の修行が目的である。
集落の周りは比較的ひらけているのだが近くの山を越えるとそこは鬱蒼と木が生い茂る森が広がっており、今日はその森に来ている。
森の広さは1200ドゥームほどと説明されたが単位がイマイチわからないためカレンに説明を求めたところこれも初代聖剣が広めたものでらしく正式にはトゥーキュードゥームという単位らしい。
確実に東京ドームのことだろう。
そう考えると1200ドゥームってかなり広い。
もし迷子になんてなったらと考えると怖い。
「そして絶賛迷子なのであった。」
「ハルカ様やめてください。アンナが不安がってしまうでしょう。」
「おねぇちゃん私は大丈夫だけど、実際迷子だよね...」
私たちは間違いなく迷子になっていた。
というのも本当なら森の深くまで入るはずではなかったのだが森の中でクマさんに出会ったのだ。
正しくはスターベアと呼ばれる胸に星の模様があるクマの魔物である。
スターベアは非常に気性が荒いことで有名で冒険者の中ではスターベアを1人で狩ることができるものをベテラン冒険者と呼ぶらしい。
そんな凶暴な魔物相手に少女2人では戦力不足なため撤退を選んだのだが思ったより追いかけて来たため森の奥深くまで逃げ込んでしまったのだ。
「すみませんハルカ様。自分たちの修行といった手前お恥ずかしいのですが転移魔法をお願いします」
「え、私?!やり方わかんないよ!」
「え、じゃ空飛んで位置だけでも把握してもらえるとありがたいです」
「魔法って空飛べるの?!でもできないよ!」
「....」
「....」
カレンが冷たい目で私を見ている。
彼女は誤解している。私は伝説の剣に乗り移った無力な女の子である。なんでもできるわけではないし、魔法だって少し使えるくらいでほとんど使えない。
「と、とりあえず今日はここで野宿しましょう。きっと明日になればいい考えが浮かぶと思うの。」
アンナちゃんが気まずい空気を察してフォローを入れる。
アンナちゃんさすが。大好きである。
「そうね流石に暗くなってきたし、森の中をむやみに歩き回るのは危険です。今日はここで野宿しましょうか。いいですねハルカ様」
「う、うん。わかった」
今のところなんの役にもたっていないわたしには選択権がなかった。
多分大方の魔物の対処は私がアンナちゃんに魔力を大量に送ってパワーアップして貰えばなんとかなるだろう。
そういえばあの状態の名前を決めてなかった。
野宿の準備は薪に火をつけるときに火魔法を使った以外に私の役に立てることはなかったため私は今暇である。
「どうせなら格好いい名前にしたいなぁ。まぁきっと夜暇だろうからそのときにみんなで決めるか」
それから少し経って野宿の準備も終わったところで夕食の時間だ。
野宿なので簡単なもので済ませるのかと思ったらこんな時のためにカレンは携帯食料だけでなく簡単な調理器具や調味料も持ってきていたらしく外で食べるにしては豪華なものだった。
「カレンちゃん...なんかイメージと違うよ、もっとこう、姉バカでそんなにできる感じじゃないと思ってたよ」
「失礼ですね。私アンナに降りかかるあらゆる危険や不測の事態に対処できるように日々心がけていますのでこのくらいはできて当然ですよ。」
「うん。おねぇちゃんは家の家事もほとんどやってるしなんでもできるんだよ!すごいよね」
「あぁアンナ!あなたにそう思ってもらえるだけでおねぇちゃんは報われるわ!!」
そう言いカレンはアンナに抱きつく。アンナも少し恥ずかしそうだが嬉しそうにしている。
なんと微笑ましい光景だろう。
私は今2人の向かい側に剣モードで立てかけられているためその2人の様子を見て少し心を和ませた。
「あ、そうそう、アンナちゃんのパワーアップ状態に名前をつけようと思うんだけどって、そういえばカレンちゃんはあの時気絶したから見てなかったんだっけ?」
「嫌味ですか?はい。私は無力にもアンナを守ることかなわず気絶していたため見ることはできなかったですよ?」
別にそんなつもりはなかったのだが向こうは気にしているらしくとてもトゲのある返しをしてきたがいちいち構っていては進まないので流すことにした。
「じゃ一回見てもらって名前の参考にしてもらうか。アンナちゃんよろしくー」
「あ、はい!お、お願いします」
私を手に取ったアンナに魔力を流し込む。かなりの魔力を流し込んだ気がするのだが私の魔力は尽きる気配はない。もしかして無限だったりするのだろうか
そんなことを考えているうちにアンナの姿はみるみる変わり少し銀髪美少女(元から美少女ではあるが)のパワーアップ状態へとなった。
「うぅ、改めて見ると少し恥ずかしいよぉ...」
たしかに、アンナちゃんは上はゆったりとした服に膝下くらいの長さのスカート姿なのだが体が少し成長することで上着は体のラインをはっきりと表し、スカートは膝上10cmくらいの丈になってしまっている。
「ブバッゥァァア...」
突然カレンは鼻血を出しながら倒れる。
「おねぇちゃん!!」
「まさか魔物!?それにしてもどこから攻撃されたの?近くに敵の気配なんてなかったのに!」
私は周りの敵の気配くらいは感じることができたようなのでずっと気にかけていたのだが全く気配はなかった。これはかなり強い魔物かもしれない。
「いえ、ち、違うんです」
ムクッと起き上がったカレン。どうやら一応無事なようだ。早く応急処置をにしなければ。
「いや、はぁはぁ...治療も必要ありません。はぁはぁ...ただの鼻血です。あのアンナがあまりに可愛すぎてつい」
どうやら本当に鼻血のようだ。しかし顔がすごいことになってるぞ。
今にもアンナちゃんを襲いそうな顔をしている。
カレンのアンナ愛はそっち方面なのかもしれない。
これはカレンからもアンナちゃんを守らなくてはならないな。
「ハルカ様。先程までの非礼をお詫びします。まさかハルカ様がこのような素晴らしい趣向の持ち主だとは知らずに。本当にすばらひい...ありがろうございまふ...」
興奮して呂律が回っていない。
マジでやばいぞこの姉。
「と、とりあえずこんな感じなんだけどこのスーパーアンナちゃんモード(仮)の名前を決めたいと思うんだよね」
「はい!はい!セクシィ〜モードとかプリティモードとかe.t.c」
カレンが止まらない。たくさん出た中には18禁な内容も含まれておりアンナちゃんは顔を真っ赤にしていた
「もうおねーちゃんやめてよ!!恥ずかしい!!」
「そ、そんな....私はアンナのためを思って...」
「私のためを思うならもうこれ以上へんな名前を言わないで!!もう最初のスーパーアンナちゃんモードでいいよ!この話はもう終わり!!」
こうして名前はスーパーアンナちゃんモードに決まったのであった。
しかし早く決まったせいであまり時間を潰せていない。
寝るにはまだ少し早いのでせっかくスーパーアンナちゃんモードになったのだから実験を行うことにした。
スーパーモードのアンナちゃんはカレンと同じくらいの身長になっている。
身体能力はもう人間の域を超えていた。
ジャンプで4メールくらい跳ぶしパンチで木が折れた。
また普段はほとんど魔法が使えないアンナであるがこのモードなら呪文や原理などが分かっている魔法は使えるようになっていることがわかった。
試しに私の記憶にある魔法も使えるかどうかやって見たがそれはうまくいかなかった。
「ていうかこの状態だとアンナちゃん発光してるだね。もしかしたら誰か私たちのこと探してるかもしれないしなんか明るいぞって見つけてくれるかもね」
「少し恥ずかしいですけどそれで見つけてもらえるなら頑張ります」
数時間後
「これどうやったら元に戻るんですか!!もうこんなの嫌です!!なんとかしてください!!!」
「え、ええーと...多分魔力を使い切れば戻ると思うんだけど...」
森の中で光るアンナちゃんの周りには大量の虫が集まってきてしまっていた。
そして魔力を使い切るために私を振りあたりの森を綺麗に消しとばした後疲れて寝るのであった。




