表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化・コミカライズ】【Web版】おっさん(3歳)の冒険。  作者: ぐう鱈
5章:レベル神 神宮寺、ちょっと校舎裏まで

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/205

89「立て、マヨラー!」

 こんにちはマイルズです!

 かわいい幼児! 永遠の3歳こと、まーちゃんです!

 ……最近おかしいのです。

 身長が全く伸びないのです……。

 ずんずん大きくなる幼児! のはずなのですが……。1メートルの壁が越えられないのです。なにか陰謀の影を感じるのです! こうなったらレッツ調査! なのです!!

 ……ということで我が家の家訓『使えるものは神でも使え!』という『本日作成された家訓』に基づき神宮寺君を使います。


「さぁ、原因をいうのです。言わないと今日のお昼、アユっぽいお魚の塩焼きはあげません。そして、こちらの牛っぽい魔物のお肉、おいしいのです♪ 権三郎腕をあげましたね……。見事なお肉屋さんになれます!!」

 レベル五百近くのお肉屋さん。

 これが知れ渡ると『お肉屋さんになるためには神殺しが必須』とか変な基準ができそうで怖いです。前例ありますので……(遠い目)。

「その魚うまそうです! 天界って食べる必要ないから飯まずなんっすよ! まーちゃん先輩それを踏まえて後輩を脅しているんですね!」

 どうやら地上の味を覚えてしまった神様は悲惨なようです。

「お供えいただけばいいじゃないですか?」

「お供えを毎日食べにくる神様って尊敬できます?」

 できないです。侮蔑の対象です。

「わかりました。しょうがないので私の背が伸びない理由がわかったら、食べさせてあげます」

「ありがとうございます! さすがまーちゃん先輩!」

「「「「「(それって条件変わってなくない?)」」」」」

 はい、周囲のみなさん黙りましょうねー。

 結局、その辺の事情については結婚神&恋愛神のお2人が来て、お教えいただきました。

 なので、秘蔵の生でもいける! 極上肉で作ったハンバーグをアツアツの鉄板で数十秒、レア状態でご馳走しました。

 役に立たなかった神宮寺君はアユっぽい魔物の塩焼きです。


「塩焼きうま―――――!」

「何このハンバーグ! 神ってる!」

「お姉さま、神ログにアップしましょう! 存分に自慢してやるのです! 下っ端! 写真! シェフ一緒に写真に写って~」

 さて結論を言うと、私が成長しないのはどうやら勝さんのせいらしいのです。

 世にも珍しい自然神を宿した?私。

 世界を維持する自然神として本能が異常な状況に呼応して過剰反応を見せ、私という形を保持しているらしいのです。つまり、また中途半端な形で眠りについた1級神の勝さん。その寝ぼけた御力で私の『成長という変化を許容していない』。らしいのです。これは2級神であるお2人ではどうにもしようがないのだとか……。

 勝さんをなんとかできれば成長は遅れてやってくれだけのようです。

 つまりそれまでは『永遠の3歳♪』…………orz 

「まーちゃん先輩どんまいっす! ……てかこの村、あの国情で養鶏なんか続けられてましたね……。お陰で親子丼なんて食えますけど♪」

 いつの間にかどんぶりを持つ神宮寺君。

 その米は王国産なのです。味は日本米の足元にも及びませんがね……。ですが短粒種ですので食感は似た感じです。

「ああ、それなら教会幹部向けの生産をしていたらしいですよ。村の方には教会駐留軍が支給するモンスター肉だったそうです」

 でも、モンスター肉も十分においしいかつ大量にとれるので『住人を食わせなければならない村人』と『上層部に胡麻をすりたい軍人』両者利益が合致し、その関係は良好だったそうです。

 その為革命時、この村の駐留部隊は防衛に専念したそうです。神罰対象者も軍人の1割に満たなかったそうです。

 しかし残念ながら村人も軍人も現在、危うい立場にいます……。そうほぼすべての国民が変革を求め立ち上がっている中、この村だけが中立。つまり日和見主義に見えているのです。しかも困窮する国内事情をよそにこの村だけ裕福だった事情もあり、村の立場は非常に微妙な立ち位置にありました。


「神宮寺君。……マヨ」

「チュチュチュ……! まさかあんた!」

 にやりと笑う幼児な私。

「ソウルフードというのがあります。日本人ならマヨネーズ。中毒患者も多いマヨネーズ」

「……恐ろしい人だ」

 元日本人コンビが不吉な笑みを漏らしていると、護衛が一歩引いてゆきます。

「……物≪ぶつ≫は?」

「……万全です。このタルタルソースで鮭のように遡上してくる魚をいただくのです。ソテーでも十分な凶器になるのです」

「まーちゃん先輩。ぱないっす」

「では早速、恋愛&結婚神のおねいさま……………………」

 振り返った先に信じられない人物がいました。


「ぼっ帽子屋の主人! なぜあなたがここに!!」

 この場で最も権威をもつ姉妹神にご高評いただければ『まーちゃん印のマヨネーズ』としてこの村の名物にしてもらうつもりが! 貴様どこから!

 スーパーな配管工のような中年太りしたその方は、鮭のような赤身魚のソテーが乗ったお皿を手に姉妹神の御前に控えています。

 その赤身魚は程よく火が通り、皮はぱりぱり。身からはおいしそうな脂が光り、ナイフで骨を少しよければおいしくいただける状態。そっと彩として添えられている人参と、さやえんどうが食欲を増進させます。

 そして何よりその魚の上には芸術品のような黄色いソースが鎮座している。

「美しき女神様。ご当地食材にて趣向を凝らした料理を奉納させていただきます」

「ご苦労、ジゼルよそなたが婚姻時に奉げた妻への愛は今も健在のようですね見事です。そしておいしい料理ぜひとも頂戴します」

「黄色いソースが何かはしりませんがおいしそうですね」

 献上品がお2人の食卓に上ります。

 お魚を食してほめます。さらにタルタルを見つけて褒め上げます。

 満足した表情の帽子屋の主人はお2人に礼をするとゆっくり私のほうへ近づいてきました。

「マイルズ様。お久しゅうございます」

 そういって懐から……アレを取り出しふたを開ける。

「(ごくり)」

 緊張が走ります。帽子屋の主人はその私のしぐさを逐一楽しそうに眺めながら一切れ手にもちこちらに見せます。


「あーん」

「ふっ、いつまでもそのようなもので私を惑わせるなど……

 ……いつもいっています、もっと下げないと食べられないのです!」

 タマゴサンド光臨! もうそれ以外どうでもいいのです!! 瑣末なことなのです。

「「「「「これがバ可愛いというやつか、侮れん!」」」」」

 その場にいた全員一致の意見のようです。帽子屋の主人。次! 次を所望するのです!!

「ジゼルよ……」

 結婚神様が神々しいオーラ全快で私たちの方へやってきます。

 そうです!

 これは幼児への虐待なのです!

 神様、罰を!

 そして私にその箱を!!!


「「私たちもやってみたい♪」」

 ……迂闊!


――30分後なのです――

「で、帽子屋の主人は何をしにきたのですか?」

「食糧援助のお手伝いで白龍に乗ってやってきました。無論タマゴサンド普及委員会として活動ではありますが」

 ぬけぬけと言いやがります。

「そして、悪≪マヨネーズ≫が蔓延る気配を感じたので正義アンチマヨを行使し、正しきを伝えようと……」

 くっ、ぬけぬけと言いやがります。

「まーちゃん先輩このタルタルソースうめーっす! タマゴサンドこれ本当にマヨ使ってないんすか? すげー、これ広めるといいすよ! 村人たちよ! レベル神印を上げます!」

 なっ、きっ貴様!

「まーちゃん印はマヨのはずでしたよね?」

 ぐぬぬぬう!

「さて、マイルズ様のお姿も見れましたし私は仕事に戻りましょう。マイルズ様またいずこかでお会いしましょう」

 それだけいうと帽子屋の主人は立ち上がり方々に礼をして立ち去ろうとしました。


「あ、そうだ。マイルズ様にこの言葉を送ります………。

 『悪の栄えたためしなし!』………では失礼」

 あれ? 帽子屋ってヒーローキャラでしたっけ? あれ????

「仮面ライダー2号っすね。渋いおじさんですね。見た目完全にマリオなのに」

「神宮寺君。出典は聖書です。この国でこれをいうとは痛烈な皮肉なんですけどね」

 正義とは何でしょうか?

 それは歴史が回答をくれます。

 勝者こそ正義なのです。

 古来より勝者は敗者を悪と断罪して自己の正当性を主張し歴史を作るのです。

 事実なんて、人の思いなんて、付け入る隙なんかないのです。

 例えば同盟関係にある平和で民衆に優しい国へ、何の連絡もなしに攻め入って国民を惨殺し、略奪の限りを尽くした隣国があったとしましょう。

 これは後世には『人心荒れ、賊の跋扈する国を救わんがため見かねた○○王は××国を併合し民を救わんとするため侵攻した!』と書かれるのです。

 常に歴史を書き残してきたのは勝者のみ、つまり勝者こそ正義なのです………。

 帽子屋の主人がいなくなった方角を見送りながら思います。


「……マヨ。……やっぱり人権無いのですね……」

 作ったタルタルソースは私がおいしくいただきました。

 思った以上に切ないです……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ