50「商人が持っていた凶報」
クライマックスは1話前!
という事で場面転換からストーリ転換してゆきます!
もしよければこの後もお付き合いいただけるとありがたいです。
ブクマ&評価いただきありがとうございます。
私は【希望】のディニオ。
2日前、神敵ルカスが治めるグルンドより撤収し、我が商隊は王都に至る道を進んでいる。
……ドゥガが暴走しなければ、……バルニフェルディアス(ユリアナ)が来なければ、と想像してしまう。
むなしい想像だ。かろうじて商売は無事だ。立て直しは可能。想定外の悲劇にあってこれだけ残れば万々歳ではないだろうか。……だが宗教色を出すのはまた数十年先だろう……。
明日はこの西方を縦に貫く山脈を抜けるため、山間の村で一泊だ。
バルニフェルディアスいや、2級ハンターユリアナは物憂げに月を見ている。
この被害者気取りのドM聖女め……。直接神と接見したと言うが、神の為にあまり働かない怠け者。その癖教会には依存している。どっちつかずの蝙蝠女。
……もう少しだ。もう少しの我慢でこの屈辱を誘発した教主共々辛酸をなめさせてやれる。
俺は積もり積もった苛立ちを隠しながら夜道を一人歩く。
「ディニオ様」
影から声がかかる。
「王都は危険にございます」
やはりか、と嘆息をつく。
「商会以外ほぼ全滅にございます」
この国から撤退……はぁ。
「いかがいたしましょう」
「人選は任せます。このまま国外へ撤退です」
「バルニフェルディアス様は?」
「囮です」
「承知しました」
気配が消える。
「そういう事です」
「……気づいていましたか」
バルニフェルディアスが物陰より現れる。
「私が裏切って神殿に行くと疑わないのですか?」
「教会に依存して心の弱い貴方にできるとは思えませんよ」
少しの沈黙。……しかたない、期待に応えますか。
「あと、最低限の監視は付きます。その程度の暗部……、いないと思わない事です……」
「……そうですか……」
こうして私の旅の目的地が変わる。
マイルズの視点――――――――――――――――――――
で、なんですか?この状況。
『まぁ、そういうな本体よ。フルメンテナンス中で微動だに出来んが、ドラゴンと戦って欠損なしだ、褒めてもいいのだぞ?』
勝さん1号。気楽に言いますね。お外を気軽に歩けない私の、外歩き用ボデー勝さん1号なのですよ? お昼休み。憩いの一時ボデーなのですよ? 動けなくてなんとしますか。
『本体よ、追加機能をいくつか作りたいのだが、魔石をおねだりしてもらっていいか?』
追加機能ですか。どれどれ。
味覚機能 ☆最重要
まて、食べたものをどうするおつもりで? 基本動力は魔法力エンジンが案山子の標準機能でしょ?
『熱燗が飲みたい』
却下です。私も飲みたいのに勝さん1号だけずるいのです。
『私が飲めると本体も飲めるぞ』
……はっ! 貴方は鬼ですか、悪魔ですか、それとも天才ですか! 素晴らしい発想です! 確かに、これ最重要ですね……。というか味覚ってかなり繊細な機能ですが、可能なのでしょうか。
『メンテで空いてる処理機能をすべてぶち込んで昨日から、勝とマイルズの食事経験における味覚情報の解析を行っている。1週間ぐらいで解析が終わる予定だ』
やはり同じ勝さん、有能ですね。今度飴ちゃんあげます。
『ありがとう、期待してるぞ本体よ。ちなみに口内から胃まで魔法石を感覚機関としてコーティングする予定だから小さいの一杯が良いな』
で、当初の懸念の『食べたものをどうする』について回答してもらいましょうか?
『うむ、有機物は分解してエネルギーとする』
で、排泄物は?
『ぽっ』
『ぽ』じゃねーよ! 『ぽ』じゃ。人間みたいになるのですか?
『いや魔法があるからな肥料として乾燥した状態で排出される。つまり、エコだ』
エコですか! なるほど。でも食べると余剰エネルギーになるのでは?
『いや、時計塔があれば還元できる。なんなら小型魔石貰えれば魔法力バッテリーも作れるぞ』
ほほう。それなら作っても怒られませんね。
「マイルズいる?」
「ええ、今マイルズなう! なのです」
『勝さんもいるよ』
勝さん、祖母には聞こえてませんよ?
『気分だよ』
「ちょっといいかしら?」
「かまいませんが何かあったのですか?あ、再起動しますのでしばしお待ちを……」
ゆっくりと起き上がると祖母がこまった顔をします。
「いえね、マイルズがこの間作った光学兵器……じゃなくて超小型魔法石搭載型魔法具」
言い直さなくてもそれしかない表現です。ああ、木の棒に付けて母の服を焼いたあれですか。
「あれがね、王都の大商家の旦那に見つかっちゃったらしくてね」
「はぁ、それで今いらしていると……」
「そうなのよ、あの人うちの研究所の大スポンサーでね……忙しいところ態々あれの製作者に会いに来たらしいのよ」
「それは奇特な……」
「そうなのよ。あ、貴方の事は私の弟子って事になってるからよろしくね」
そういって私の反応を待たず祖母は応接室の扉を開いた。中にいたのは背筋がピンと伸びた品の良いご老人だった。ご老人は私を黙視するとソファーから立ち上がり、猛烈な勢いで私の手を取ります。
「あなたですね! お会いできて光栄です。私、サナエル商会会頭のサナエルと申します。いや~、お会いできて光栄です。貴方があの、陛下が手放しでおほめになられていた高名な魔宝技師、勝様ですね!」
ご老人サナエルの勢いに押される私です。助けを求めるべく私の横で我関せずを徹している祖母を見ます。
「私は秘密って言ったのよ。でもね、国王って名前の馬鹿が漏らしちゃったのよ。決して私がついつい自慢しちゃったわけじゃないのよ」
……秘密って言葉!
私はまだ手を放してくれないサナエルの言葉にうなずきながら、獣王国にある本体がポチタマに蹂躙されている悪寒に襲われます。
カオス? というかどうやらこの勝さん1号……私が無茶した事柄に関する隠れ蓑にするつもりらしいです。
……そんなに無茶しましたっけ? 私。なぞです……。
(2章完)
第2章完了です。データが消え、そのせいで教会幹部が当初の設定と違う結末を迎えてしまいましたw
以下に当初の設定を投稿しておきます。ご興味がありましたらご一読ください。
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【希望】ディニオ 教会四天王 462歳 男性。青年。
神聖魔法(回復)を得意とする。神敵を呪い(操作)で自滅させることが得意。
元の世界では宣教師として世界各国に足を運びつつ現地の偉人を洗脳していた。
異世界人の魔法器官が大好き。
経験上自分の説法が通じなかった日本人が嫌い。一時期そのせいで剥げていた。
異世界では自分の為に開発した『育毛剤』で大儲けしている。
彼らの商会をつぶすにも潰されないのはこれが大きい。
【正義】ドゥガ 教会四天王 42歳 男性。おっさん。
神聖魔法(火炎)を得意とする。神敵を呪い(火炎)で焼き殺すことが得意。
元の世界では魔術的捜査が進んでいた為たまにしか殺せなかった。
異世界では積極的に人間を食べている。異常者だが、表面上善人を装える。
【節制】バルニフェルディアス(ユリアナ) 教会四天王 132歳 女性。
仮面の騎士。普段は男装している。
そもそも弾圧を逃れる目的で仕方なく協会所属。人間は食べないモンスターで消滅を逃れている。
いつか救世主が自分を救ってくれると信じている。信仰はゼロまたは恨みを持っている。
ユリアナ…仮面、男装設定、忘れてた(/ω\)





