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【書籍化・コミカライズ】【Web版】おっさん(3歳)の冒険。  作者: ぐう鱈
1章:くっ、中世のくせに意外と不便じゃない・・だと
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17「秋葉原では聖剣よりもこん棒がお高い」

 盤面に白と黒の石が並んでいる。

 私が隅に置くと、はさまれた石がひっくり返り私の優勢になる。

 リバーシだ。

 この異世界文化嫌いのこの世界で、珍しく普及している遊びだ。

 どうも、異世界人たちが持ち込もうとしたけど、この世界では三百年も前からあったらしい。

 リバルの石遊びというのが正式名称らしいです。

 大陸東部のリバルさんが孤児院で始めたのが始まりらしい。

 リバルさん。 異世界人?

 でも日本のリバーシって数十年前程度だったから関係ないんだろうな……。とか思いながら対戦相手を待つ……。


 ところで皆さんは『運命の必然』という言葉についてご興味はないでしょうか。

 とある世界大戦で戦地からはるか後方ということで、公然と死の商人をし、戦争後戦争当事国であった強国たちが貧困にあえぐ中、死の商人として得た経済力で世界を支配した国があったとしよう。

 その国は戦争で得た強大な経済力と軍事力を背景に、文明・文化レベルの向上させた。

 ここでだ、世界大戦が回避されたとしたらどうなったであろう?

 ここで考慮すべき要素は2つ。


 『世界大戦』と『文明・文化レベルの向上』だ。

 前者は火種があったから発生した戦争である。時差での再現もあると思われる。

 後者はどうだろうか、死の商人をして絶大な影響力が持ったからこその、強大な投資ができたからと考えるだろうか?


 私は思う。

 人間種を1個の生命体とすると、人間の行動の結果としての病巣は『世界大戦』になる。そして病気として発症するのは『行動に伴う必然』である。私は思う。人間種の『病気』である『世界大戦』とは関係なく、『文明・文化レベルの向上』という結果は遅かれ早かれ訪れていたと考えられる。切欠の違いだけ、そう考える。『文明・文化レベルの向上』というやがて訪れる流れの先の事を『運命の必然』と。

 だからこう思う。

 『この異世界は元の世界に似すぎている』と。

 植物にしても、人間の文明にしても、生活習慣、価値観にしても……。

 似すぎている。

 これは元世界の干渉があるのではないか……と。

 文明発展の流れが違う異世界でこれは奇妙すぎる。


 人間種を1個の生命体とする……、いや元の世界で考えると民族を1つの生命体と考えると、その顔は千差万別だ。魔法なんて大きな違いがなくても、皆特徴的すぎる。

 では、この世界は何だろうか……。

 日本人の価値観に寄りすぎている世界……。私に都合の良い世界……。

 やはり『必然』として、この世界で異世界人が深く関わっているのではないだろう……か。しかも日本人が……。

 『非道の異世界人』は駆逐されるべき病巣。

 では『非道ではない異世界人』はどこに行ったのだろう?

 本当に目に付かない所でただ生きて死んでいったのだろうか?


 私は思う。

 『非道ではない異世界人』は『人間種の運命』に深く関わっているのではないだろうか。

 そうすると私もこの世界の『運命の必然』を回すための役者の1人。

 大河の水滴の1粒、に選ばれここにいるのではないかと。


 私は矮小な1個人だ。

 日本にいた時でさえ私の代わりは沢山いた。

 『君でなければ』と言ってもらえた。

 私が適任だったとは思うが6割程度の結果であれば代替がいた。

 実行する個人は特別ではない。

 ……変なことを考えているのは自分でも理解している。

 気づけば対戦相手である帽子屋の主人が暇そうにしている。

 すでに一手打たれていた。


「坊ちゃん。ずいぶんな長考だったな」

 太ったヒゲが言う。

 トル〇コって言いたいけど我慢です。

 マ〇オといわないだけ自重していると思っていただきたい。


「ふふふ、お昼寝の時間だからな」

 格好つけてみます。……ついてない? ……嘘だ……。


「まぁいい、坊ちゃん。この勝負にかけたものを再度確認するぞ…………」

 私は、ゆっくりとうなずく。


「俺の勝利の場合は、我らが天使ミリアムちゃんと一緒にお風呂に入らないと誓ってもらおう」

 大人気ないマ〇オです。キノコ食べて頭逝ってしまったのでしょうか?かわいそうに……。


「ふふ、私に勝てたらですね」

 ええ、一緒に入ったことなど一度もないのですけどね……。

 今後もないと思うとちょっと寂しいです……。


「私が勝ったら……」

「ああ、わかってる。たまごサンド普及員会を立ち上げるんだな。だが、マヨは拒否するぞ」

「………それで構わない……。そしてミリ姉を陰から見守る変態集団を卒業もしてもらおう」

 マリ〇は愕然と立ち上がる。ロリコン死すべし。


「一定の距離を取れば応援は構わないが、今の距離は変態としか言えない」

「ぐっ」

「さて」

 私が石を置く。


「ぐぬぬ」

 ヒゲが唸る。そして苦し紛れの一手を打つ。


「……」

 次の私の一手で状況が確定する。

 ヒゲの手が止まり悔しげに頭をたれる。


「権三郎」

「はい、こちらがレシピです。明日よりルカス様の農園から材料が入荷いたします。お支払い漏れなどない様に……」

「貴方にこの言葉を送りましょう。『YESロリータ、NOタッチ』適切な距離をお願いします」

 私は悠然と立ち上がり帽子屋をさr………ろうとしたらリードが引っ張られました。

 紐の先は私。紐の元にはあまりの長考に座りながら寝てしまったバン兄がいました。

 使命感に燃えてか、寝ていても紐を放してくれません。

 私の人権は明日戻ってきます。

 ……戻ってくるのが『必然』ですよね?

 戻ってこない『運命』とか言ったら世界と戦争してやりますよ。ええ……。


 とりあえずバン兄を起こして帽子屋を去ります。

 去り際にマ〇オが『幼児もありだな……』とつぶやいたが、聞かなかったことにしたい。

 ねぇ、違うよね。……違うと言ってよ。

 ……バン兄!

 そこ家じゃないから、入っちゃだめだから。

 ……ああ、奇麗なお姉さんについて行ったらだめ。

 あ、お菓子ですか。はい、ありがとうございます。……ん?真の狙いは権三郎ですか!?

 ……権三郎案山子デスヨ。え?それでもかっこいいから問題ない?

 ……はい。この世界日本とは似てません。あー、運命とかなさそうでたすかるわー。

 この世界で生きてゆくのがちょっと怖いです。

 でも強く生きたいと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言] 帽子屋]_・)みなさーん、変態がいましたー
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