表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Music

望遠鏡

作者: 透流

なにかを見ようとして

望遠鏡で夜空を見た

そこにいた巨大な木星は

静かに荘厳に佇んでいた

けれども、なにも生きてはいない

なにひとつ、いのちをもっていない


なにを見るという当てもなく

望遠鏡で夜空を見た

そこにいた燃え盛るアンタレスは

地球でサソリ座の星として知られている

けれども、アンタレスはそれを知らない

なにひとつ、自分の呼び名なんて知らない


混沌とした想いを星に託すように

望遠鏡で夜空を見た

そこにいた見慣れた月は

かつてガリレオが観測しアポロが降り立った

けれども、月はそれを知らない

なにひとつ、地動説や冷戦のことを知らない


なんだか嫌になってきて

望遠鏡から目を離した

すると蒼白い流星が夜空を裂いた

僕は星に願いをかけるなんて柄ではない

けれども、なんだか損をした気分だ

なにひとつ、あの流星に罪はないのに


僕が地球にいる限り

僕は望遠鏡で地球を見られない

それはこのいのちをもった蒼く美しく身勝手な星で

僕が生きているからだ


僕は僕を見るために

明日も望遠鏡で夜空を見る

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ