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グリード・カタルシス  作者: 暗殺長
現実世界編
1/3

プロローグ

 会場は熱気に包まれていた。


 それは前人未到の大偉業が達成されるのを期待している人の熱気なのか、はたまた新たな新星がこの大舞台で躍動するのを期待する人の熱気なのかは、残念なことに判別する術など無いわけだが、その熱量がとてつもなく膨大だったのは確かだった。

 そしてその熱気は背中を押すように、もしくは両肩にのしかかるように、会場の中心に立つ二人の選手へと注がれていた。


 片方の、二十代後半の男は、額に汗を滲ませていた。その汗がただ会場の熱量の仕業だけではないことは、彼の強張った表情をみれば一目瞭然だった。

 対してもう片方、まだ若いであろう黒いフードで顔を隠した男は、打って変わって飄々としている。互いの様子だけを切り取れば、同じ舞台に立っているとは到底信じられないだろう。


 それは絶対的王者のステータスが成せる業だった。


 試合は既に佳境に入っていた。実況がいるのだが、今はその職務を全うできず口を噤んでいる。職務放棄ではなく目の前で起きていることが自らの語彙力では表現できない域に達してしまっている為に、黙らざるを得なかったのだ。

 しかし彼を咎める者は誰一人いなかった。何故なら観客も同様、今起こっている現象に魅了され、文字通り言葉を失っているからである。下手に口を出した方が叩かれそうだったので、奇しくも彼は良い仕事をしたと言える。


 しかし、そんな時間も長くは続かなかった。「魅せる」プレイから「決める」プレイに切り替わったからである。展開は目まぐるしく激変し、観客だけでなく相手すらも置き去りにする。そしてやっと意識が追いついたと思った頃には、既に勝負は決していた。


 会場の人々、実況も含め、終わったことに気付けずしばらく静寂が会場を包んだ。

 皆が結果を理解したところで、実況は自分の仕事を思い出し、喉を震わせて叫んだ。


「しょ、勝者は日本代表―――ユートオオォォォォ!」


 その瞬間、さっきまで静寂に包まれていた会場が再び熱気に包まれ、歓声が沸き起こった。鳴り止まぬ拍手にスタンディングオベーション・・・全ての人が大偉業の達成に立ち会えたことに対する最大限の感謝の表現だった。


 拍手も鳴り止まない中、実況者が王者のもとへと駆け寄りマイクを向ける。


「なんと史上初の五連覇を成し遂げ、大会初の殿堂入りとなりました日本代表ユート!今の気持ちはどうですか?」


「まあ、嬉しいですよ」


 息を荒げて興奮する実況者とは打って変わって落ち着いた様子のユート。試合中黙っていた分の皺寄せがここできたのか、次々に感想や質問を投げかける実況に若干面倒くさそうにするユートだったが、邪険にはせずに淡々と答えていった。


 一通り質問が終わったあとも、会場は歓声に溢れていた。実況は大会の最後を飾るように、とびきりの大声で言った。


「これにて、『オールジャンル、ゲーム世界一決定戦』を終了させていただきたいと思います!」


 そう、今この瞬間、世界一のゲーマーが誕生した―――



名前は暗殺長「くらごろ おさ」と読みます。

この作品は自分が初めて新人賞に応募した作品になります。よくあるゲームの世界に閉じ込められるというヤツです。

既にこの手の話は多くの人気作品があると思いますが、自分の中では思い入れが強い作品だったので少しでも多くの人の目に触れてほしいという思いを込めてこの場で投稿させていただくことにしました。


ちなみに

ありふれた題材で類似作品が多い中、この作品が他とは大きく異なるのは「ゲームの世界に入るまでがめっぽう長い」という一点のみです。ぶっちゃけ自分でもいつになるやらわかりません。果たしてオンラインゲームものと呼んでいいのだろうか。


長い文章をだらだらと書いて申し訳ありません。気持ち的には本文よりも長い気がします。

少しでも楽しんでいただけるよう、邁進したいと思います。


※修正を加えつつ投稿するので不定期連載となります。できる限り早く更新するよう心がけます。よろしくお願いします。

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