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第 6羽   鳥、はステータスを確認する

 


 どうも俺です。落ち着きました。

 さて、上から順に見ていこうか。


 名前:――

 性別:――

 種族:不死鳥(幼)

 年齢:0歳

 状態:健康


 名前:―― ってことは名無しってことだよな。

 でも人間の時の名前は……あれ? ……思い出せない?

 いやいや、そんなわけないだろう、思い出せ思い出せ。


 …………。


 ……何故だ? 人間だった頃のことは覚えている。でも名前の部分だけがすっぽりと抜け落ちている。名前、名前…………ダメか。

 うーん、まぁいいか。今の俺は鳥だ。

 夢は引き継いでいるんだから問題はないな、うん。


 性別は……。

 俺は、男だった。これは確実だ。トイレの仕方なども全部覚えている。

 でもこの表記は……これはオスでもなくメスでもないということだろうか。

 不死鳥らしいからな。性別が無くても不思議ではない……のか?

 ……うん、性別は『俺』だ。それでいいじゃないか、だって俺なんだから。

 はい、次。


 種族は……。

 うん……鳥だね、不死が付くけど。間違いなく鳥だ、不死が付くけど。俺にとっては鳥であること、それが全てさ、だって飛べるんだぜ?

 はい、次。


 0歳。

 前世では25歳だったはず。ならばこの鳥に転生してからの年齢の事だろうな。ってことはこの体に生まれ変わってからまだ1年経ってないってことだ。詳しい時間経過は分からないが、少なくともあの洞窟の中で1年も過ごした感じはしないしな。

 ここでの1年が何日なのかは分からないが、今の俺は雛鳥だということは確実だな。

 はい、次。


 健康。ですね、はい。



 ここまでで一番の問題はこれだね、この二文字だね。


 不死。


 ……この二文字が無ければただの鳥で通せたのに。

 字のまんまの意味だとすると、死なない鳥ってことだよな。

 前世の知識ではフェニックスとか火の鳥とか呼ばれてもいたっけ? 某RPGシリーズでは召喚獣として出演していた覚えがある。俺はその不死鳥に生まれ変わったって事なのか……なんてファンタジーな存在になってしまったんだ。


 …………ここは地球じゃないんだろうな。


 薄々気付いてはいたんだ。炎花や銀炎の天井を見たときあたりからな。

 地球じゃ有り得ないしな。ひょっとしたらここは……って思っていた。

 そこへこのステータスだ、ほぼ確定したと言っていいだろう。


 それに日本に居る時にこんな山の情報は無かった。エベレスト並だと予想されるこの山が地球で未発見状態である可能性は非常に低い。

 更には火を食べる鳥だ。そして俺はその鳥に転生している。

 ここは地球ではない。と考える方が思考も楽であり、受け入れやすい。


 ここは地球とは異なる別の惑星――いや、『異世界』のほうがしっくりくるな。

 俺は地球の人間から、異世界の不死鳥へと生まれ変わったってことだ。

 ははっ、どこの三流小説だよって話だな。


 でも、それでいい。

 俺の夢は地球では叶えられなかった。

 ところがどうだ、この世界に産まれてから1年もしない内にその夢は叶ってしまった。俺にとってはこれ以上ないくらい最高の話だ。

 地球では両親や数人の友人達を残して俺は死んでしまった。

 それが心残りといえばそうなのだが、正直それほど残念に感じていないのが現状だ。……皆には悪いがな。


 この世界は俺にとって、とても魅力的だ。

 少々ファンタジーな生物に生まれ変わったところでそれは変わらない。

 そう考えるならば、種族:不死鳥 なんて気にする程のことでもない、な。

 不死……良いじゃないか。それはつまり、死なずにこの世界の大空を満喫できるってことだ。難しく考えることはなかった。


 うん、一度受け入れて認めてしまえばなんてことはない。

 俺は不死鳥だ。

 不死鳥として、この世界で、生きていく。


 この瞬間、俺はこの世界に認められたような気がした。





 さて、うだうだと考え事をしていたが、そろそろステータス確認を再開するとしよう。

 次は、これだな。


 生命力:    15/15

 魔力量: 63000/63000(35000+28000)


 ……極端にも程があるな。

 生命力というくらいなのだから直接命に関わる数字なのだろう。

 ゲームでのHPとほぼ同義だと思う。ならばこの数値が0になったら死ぬのだろうか? 俺、不死っぽいんだが?

 まぁ死ぬにせよ死なぬにせよ0になったら碌なことにはならんだろう。極力この数値は減らさないように注意すべきか。


 生命力=HP ならば 魔力量=MP だと認識していいだろう。

 ゲーム知識を参考にするならば、魔法やらを使用するのに必要になる要素だ。『魔力』なんて書いてあるぐらいだ、あながち外れてもいないと思う。

(35000+28000)ってのは……スキル【最大魔力量増大・Ⅷ】ってのが関係してるのかね。


 ……バランス考えろよ、俺。

 いや、俺がこの数値に設定した訳じゃないんだから俺は悪くないんだが。

 この世界での平均値なんてものは知らないから、極端に生命力が低いのか極端に魔力量が多いのか判断できん。RPGの世界ならワンパンで沈められるであろうこの生命力の数値が高いとは思えないがな。


 物事は最悪を想定しろとどこかの偉い人が言ってたような気がするので、生命力=オワタ式、魔力量=平均かそれ以下、の認識でいこうと思う。

 俺って不死鳥だけどまだ0歳だし、これでいいだろう。



 さて、次はどうするか。


<固有スキル>

【■■】【■■■■】【■■】【■■■■】【■■■■】

【■■■■】【■■■■■】【超回復】【真眼】

【紅炎】【蒼炎】【聖炎】【天空】


<スキル>

【炎熱系統完全耐性】【神聖系統完全耐性】

【全状態異常耐性・Ⅴ】【消費魔力半減・炎熱】

【属性強化・炎熱】【魔導・炎熱】【最大魔力量増大・Ⅷ】

【業火】【生命感知】【魔力感知】

【烈風】【空間把握】【集中】

【魔喰】【魔力圧縮】



 多いんだよなぁ。

 でもスルーするには見逃せない字面のモノが幾つか……。

 スキル、ねぇ……。


 RPGにおける『たたかう』以外のコマンドって認識でいいのかね。

 そうすると固有スキルとスキルの違いは何だろうか?

 レアスキルとノーマルスキルってことか? スキル名からしてそれっぽいんだが……まあいいか、確認していけば分かるだろ。


 では固有スキルから確認していこうか。


 ……。


 うん、名前だけじゃ訳分からんな。

【真眼】ってなんだよ。



【真眼】:

視覚に関する能力を大幅に強化する。

指定した対象の情報を読み取ることが可能となる。

視覚妨害を無効化するが、このスキルよりも上位ランクのスキルによる妨害は無効化できない。



 ……へ? 見られるの!?








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