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第11羽   鳥、は視線を逸らされる

 

 


 うーん、あの門番さん……大人しかったというか、礼儀正しかったというか……。

 まあ、門番と言えば町を訪れた人が一番初めに出会う存在だからな。その役職に態度の良い人を置いて、町のイメージを損なわないようにするのは当然と言えば当然か。第一印象ってのは本当に大事だからな。それだけで相手の見方が決定してしまうと言っても過言ではないほどだ。そういう意味では今回、俺は気持ち良くボハテルカに入れたと言えるだろう。

 ただ、その気持ちを保持できたのは町に入った瞬間だけだった。今は凄く気分が悪い。


「……めっちゃ見られてますやん」


 ボハテルカに入った俺は今、街灯の白光に照らされた石畳の大通りを南へと向かって歩いているんだが、道行く人達の殆どが足を止めて俺のことを凝視してくるのである。「二度見? ああ、必須スキルですよ?」と言わんばかりに見てくるのだ。チラ見からのガン見だ。中には三度見という高等技術を披露する上級者の存在も確認できる。さすがの俺もこの視線による包囲射撃には為す術が無い。羞恥心を無理矢理叩き起こされる。

 彼等の中には、赤やら緑やら紫やらのカラフルで派手な色合いをした頭髪を所持している人達も大勢居るので、この注目度の原因は俺の髪色ではなく、このワイルドな出で立ちだと思われる。


 ぬぅ、俺の格好ってそんなに変なのか? 上質のシルクっぽいちょっと光る布を体に巻き付けて裸足で歩いているだけなのだが……。


 そう思って改めて自分の姿を見下ろしてみると、ふと我に返った様な感覚を抱くと共に足が止まってしまった。


 ……あれ? 全裸から卒業できて安心してたけど……これって日本だとギリギリアウトじゃね? ――うわっやばい! 価値観が狂ってきてるじゃねーか! 日本だと馬鹿な若者共にスマホで盗撮されまくりの格好だよ! やっぱり職務質問だよ!


 人は慣れる生き物である。よって、生まれ変わっても魂が人のままだった俺が全裸で一年以上も過ごした結果、開放感に慣れ過ぎてしまい、愚かにも布を巻き付けただけで一般人への進化が完了したと錯覚してしまうぐらいに感性が汚染されていた訳だ。

 以上の分析結果によってさらなる羞恥に襲われた俺は、顔を隠すようにして頭を抱えてしまう。


 これだと、俺の第一印象が最悪じゃないか……。くそ、せめて靴があればもう少しマシになると思うんだが……お金、無いしな。金銭を稼ぐには……取りあえず身分証だな。さっさと歩こう。


 この地獄を一刻も早く終わらせるべきだとの決意を胸に、裸足の歩みを再開させた。

 それからも一切の容赦を感じられない全方位からの視突によって精神を穿たれつつ、石畳をペタペタと歩き続けた俺は、円形に開けた広場っぽい場所へと到着した。だが、この広場の中央には川が流れていないので、ここは北広場だと思われる。中央広場と南広場があるんだ、北もあるだろう。


 広場という視線の宝物庫に侵入したせいで、俺の精神がガリガリと削られる。もはやリンチである。鳥さん状態ならミンチである。だが、さすがに羞恥よりも苛立ちが勝ってきたので、俺が進行方向に向かってメンチを切ると、あら不思議。なぜかそこに居た人達がモーゼかの如く道を開けてくれたので、これ幸いと歩行速度を上げて素早く脱出。頭頂部のアホ毛がぴょんぴょんするのを感じながら、そのまま中央広場を目指した。


 裸足の行進を続ける事しばらく。次の広場へと到着したと同時に川の流水音が耳に届いた事で、ここが中央広場だと理解できた。大きく円形に開けた広場の真ん中には川が横切っており、その中央と左右に合計で三本の石橋が架かっている。橋は全て水平型であり、中でも中央の橋は大通りと同じ道幅である為、橋って感じがしないけど。


 んー、ここまでの道中でもチラホラと確認できていたんだが、この広場は特に露店や屋台のような出店が多いな。おかげで食欲を刺激する香ばしい匂いがぷんぷん漂っている。ただ、鳥肉っぽいものを焼いているそこの店はいつか潰してやろうかと思います。……いや、あれは魔物の肉なのかね? なら大丈夫……か? まあいいや。


 さて、やっと中央広場に着いた訳だが、ここにも用は無い。

 俺が目指しているのは解放者ギルドだ。つまり、この先にあるであろう南広場が目的地なのである。

 そう、俺がここでやっておきたい事の一つが解放者ギルドへの登録だ。人化できるようになってから考えていた事である。解放者ギルドに登録するとギルドカードが発行され、それが身分証の代わりになることをアーリィ達と活動していた時に知っていたので、身分証を作るならギルドでと思っていたのだ。

 人間として活動しようとすると、どうしても金銭は必要になってくる。ならどうにかしてお金を稼がないとならない。そして、俺はこの世界では解放者としての稼ぎ方しか知らない。実際に稼いだのはアーリィパーティの一員として活動していた時だけだからな。よって、稼ぐなら解放者、という考えだ。それに、魔物の殲滅と魔石の浄化は大の得意だからな。魔石は浄化してから提出すると汚染状態の三倍近い値段で売れるので、俺にはもってこいの金銭獲得手段なのである。


 中央広場を足早に通り過ぎ、さらに南へと向かって裸足を進めていく。

 その過程で競歩という競技の奥深さを知りました。踵から着地するとブレーキが掛かってしまうので、足裏を地面と水平にすっと置く事がポイントである。ただ、素足でやるときは気を付けよう。石畳の凹凸でつま先をガッ! ってしてしまうと涙がぶわっと溢れますよ。【超回復】がなければ非常事態を宣言する羽目になります。


 涙腺からの水分補給を済ませた俺の目に映る住民は、皆が中世ヨーロッパ風、というか、如何にもファンタジーって感じの衣装を身に纏っている。

 パッと目に付いた例を幾つか挙げると、亜麻布製っぽい膝までのチュニックに、ゆったりしたズボン、腰に通した革ベルトには《筒》やらポーチやらを吊るし、ショートブーツを履いている男性。留め金が付いたマントを首元や肩で止めて、背中には槍や長剣などの得物を背負っている解放者っぽい人達。ポンチョの様な上着とハーフパンツを着用し、変な奴おれを指差しているクソガキ共。上等なベストを着込み、装飾の施されたコートを羽織っているナイスガイなどが居る。また、魔法使いの様な足首近くまであるローブを着用して杖を持っている美人さんや、メイドっぽい格好をしたケモミミ少女、三角巾を頭に巻いてエプロンを着けている可愛らしい幼女と母親のコンビなども見える。

 そんな彼等の中には、貫頭衣の様な衣服を着用して胸元の辺りをオシャレな紐で結び、サンダルっぽい靴を履いている人も確認できるので、ならばこの格好シーツも大丈夫だろうと思ったのだが、変質者レベルで俺が圧倒してしまっている。警備兵っぽい人が仕事をしないほどにぶっちぎりである。よって、俺の人気は鰻登りとなり、他の追随を許さない。


 そんな苦行を十数分。ついに北広場と同じような開けた場所へと到着した。

 多分ここが南広場だろう。

 広場を見回してみると、右手――西側に解放者ギルドっぽい建物を発見したので、そこへと向かって歩を進めつつ、周囲を観察してみる。


 ふむ……先程までとは違い、武装した人物が多く確認できるな。解放者ギルドが町の南側にある為か、解放者はこちら側を拠点として活動している人が多いみたいだ。


 建物の前へと到着したので、立ち止まってそれを見上げる。周囲の皆はそんな俺を訝し気に見つめる。


 三階建てと思われる大きさをした白っぽい石製の建物で、入り口上部の淡い光を発する看板には解放者ギルドと書かれており、その看板の傍にはこれまた光っているエンブレムらしき物が飾られている。左右に大きく広がっている鳥の両翼の中心に、剣先が上を向いた一振りの剣、という感じの絵だ。あれが解放者ギルドのエンブレムなのだろう。

 ただ、あの翼……何か銀色っぽい気が…………まあいいか、気にしてはいけない。


 俺は観音開きの玄関扉を両手で押し開き、ペタリという足音と共にギルドへと素足を踏み入れた。


 ……へえ、内装は木製が中心なんだな。裸足の俺にも優しい仕様である。それに、穏やかな木の匂いが蜂の巣状にされた俺の心を癒してくれる……と思ったのだが、汗臭やら革や金属の匂いやらもするので、そうでもなかった。

 ただ、外観は石製だったので冷たそうな印象を受けたのだが、建物内は照明が良い感じの柔らかい光を発しており、木の茶色っぽい色彩も相まって、むしろ暖かい印象さえ感じられる雰囲気である。


「「「………………………………」」」


 この静寂さえなければな。


 皆が呆然とした表情で変質者おれに注目しているのである。

 おいおいお前達、へんしつしゃに興味を持ち過ぎだろ。ギルドに入る前は外からでも賑やかな音声が聞こえていたというのに、俺が入った途端これだ。あのね君達? こんな反応をされたおれがどんな気持ちになるかを想像してみなさいっての。……心、抉られるよ? 慰謝料を請求するよ? あと見物料も。

 ったく、遠慮なしにガン見しおってからに……。少しはマナーってもんを考えてほしいね。

 という俺の心の訴えは、困惑を多分に含んだ女性の声によって一瞬で散らされた。


「……ちょっ、あの人って…………ヤバくない……?」


 はい、俺もヤバいと思います。ヤバくて済みません。マナーを考えてなかったのは俺の方です。全裸に布巻いただけです。


 ダメだ、こういった閉鎖空間内に居ると視線によるダメージを継続して稼いでしまう。悪辣に過ぎる。さっさと登録して一端出て行こう。


 そう判断した俺は、設備をサササーッと素早く観察する。

 入り口正面奥には一続きになっているカウンターっぽい場所があり、そこが幾つかに仕切られて受付っぽくなっている。その受付っぽい所にギルド員っぽい制服を着た人が一人ずつ座っているっぽくて、そのカウンターっぽい所の前には解放者っぽい人が並んでいるっぽい。順番待ちっぽい。

 ……落ち着け、焦るな、俺。


 軽く深呼吸して気を落ち着かせ、観察を継続する。皆もそんな俺の観察を継続している。


 ……お、中にはケモミミタイプの人もチラホラと見られるな、カルナスよりも多いっぽい。ただ、こうやってギルド内を堂々と見物するのはこれが初めてなので、偶々かどうかの判断はできないけどな。

 入口から右側の壁には黒板の様な大きさの板がくっついており、そこに沢山の紙っぽい物が貼り付けられている。あれが依頼の用紙っぽい。


 などと、ギルド内を観察している俺…………を観察している数多の視線。


 ……さっさと並ぼう。

 心に深い傷を負った俺は、受付っぽい場所へと視線を向ける。


 この状態では待ち時間は少ない方がいいな。人が一番少ない受付は…………お、あの一番左端の受付の上部には『登録・質問』とか書いてある。登録と依頼の受注では分かれているみたいだな。まあ、その方がスムーズか。


 俺はペタペタという足音を奏でつつ、そそくさと登録用の受付に並んだ。……視線を集めたままな。

 おいてめぇら、不審者を見てる暇があったら自分の用事を済ませろや。


「登……録……?」


 おいそこ聞こえてるぞ。そうだよ悪いかよ。


 信じられない、って感じの声が聞こえた方向へと視線を向けると、そこには解放者っぽい女性が一人。だが、俺と目が合った次の瞬間にはサッと視線を逸らしやがった。「ひゃっ」って何だよ「ひゃっ」て。

 くそぅ……鳥さん状態ならばその「ひゃっ」の後には「何て愛くるしい」って言葉が添付されるはずなのに……。いや、今の鳥さんはトサカのせいで愛らしくはないかも知れない。「何て凛々しい」という言葉がベストマッチかも知れない。


 などと現実からの逃避によって心の平穏を保っている間に俺の順番が回ってきた。と言っても、前に一人しか並んでいなかったから殆ど待ってないがな。


 そして、カウンターの前に立って受付嬢さんに視線を向けた次の瞬間、俺は感嘆の息を漏らすことになった。


 照明の光を受けて、清流の様にキラキラとした輝きを放つのは、腰まで続く流麗な水色の髪。長く美麗な睫毛を備えた二重瞼が瞬きをする度に隠れてしまうのは、髪と同色をした涼やかな瞳。すっと通った鼻梁は主張し過ぎず、理想のバランスで整えられており、潤いを帯びた薄桃色の唇は、吸い込まれる様にして目を惹き付ける。顎先の輪郭は白く滑らかな流線を描いており、その繊細な鋭角は触れば壊れてしまうんじゃないかと思うほどに美しい。


 清廉さを感じさせる顔立ちをしたとてつもない美人女性だ。年齢は多分……20歳前後だろう。座っていても良く分かるほどのスレンダーな体型である。身長は160cm前後だろうな。

 うむ、今の俺が言えた事ではないが、頭髪と虹彩が水色であるせいでとてもファンタジーである。しかし驚くほどに違和感がなく、それどころか彼女の儚げな雰囲気にとても似合っているとさえ思う。

 それに、白と青を基調とした制服がまた彼女の色にマッチしている。肩まで広がる青い襟が付いた白の長袖ブラウスに、青系統のチェック柄をしたプリーツスカート。そして、胸元を飾る青いスカーフっぽいリボン。

 ……セーラー服みたいに見えるのは気のせいだろうか? ……まあいいか、凄く似合ってるし。


 うむ、実に綺麗な人だ。男性に人気がありそうなルックスである。受付嬢になるにはこのくらいの容姿は必須なのだろうか。と思ったが、それはまず無いな。これほどの美人さんはそうは居ない。というか見た事がない。


 ただ、そんな彼女は今、ガチガチに緊張してる様子です。

 俺が受付に並んだ瞬間からその表情が強張ったのは勘違いだと思いたい。


 そんな彼女が恐る恐るといった様子で、ぎこちない笑顔を浮かべつつ、華奢な声を発した。


「え、えと……こ、こんにちは、解放者ギルドへようこそ。……ほ、本日はどのようなご用件でしょうか?」


 少し高めで、とても耳に心地の良い綺麗で透き通った声なんだが……噛み噛みですね。

 そんなに緊張しないでくれ、俺が何か悪い事をしてるみたいな気分になってくる。今の俺の外見は確かに変質者かも知れないが、中身は善良な鳥類なんだ、安心してくれ。……とは言えないんだよな。どう見ても鳥じゃないしな。

 なので、俺の印象を少しでも良くする為に、俺はなるべく優しい表情と声音を意識して挨拶を返す。


「初めまして。今回はギルドへと登録しに来ました。まずはこちらを……」


 そう言って、門番さんに渡された限定証書――紙と《板》をカウンターの上に置き、彼女へと差し出した。

 だが、受付嬢さんは、


「は、初めまして…………」


 と言ったあと、俺と視線を合わせたまま惚けた表情で固まってしまった。

 突如として開始された文字通りのお見合いに困惑する俺。


「………………あの、どうしました?」

「っ。……あっ……と、登録ですねっ、それでこれが…………限定証書!?」


 再起動した彼女が限定証書を見て驚いている。

 まあそうなるだろう、限定証書は身分証が無い人が持ってくる物っぽいからな。つまり、この格好で身分すら保証されてない人物が目の前に居る事になるのだ。心が脅かされる。

 …………あれ? そう考えると俺ってかなり危ない奴なのでは? ……ま、まあいい、気を取り直してもう一度話し掛けよう。


「登録は可能でしょうか?」

「え……ち、ちょっとお待ちください、すぐに目を通しますので」


 慌てた様子で紙と《板》を黙読し始めた彼女。だが、一箇所で視線を停止させたかと思ったら、ぼそっと呟いた。


「……クウヤ……様……」


 ん、何か変な敬称が聞こえたような気がする。……気のせいだとしておこう。

 用紙に記されている内容と《板》の表示内容に違いが無いかを確認するために、視線を何度か往復させた彼女が、次の感想を漏らした。


「……っ、……す、凄い……」


 その紙には『魔物に襲われて靴も含めた財産を軒並み奪われた』とか書いてあるからな、そりゃ凄いとしか言えないよな。それとも、ジークに似せたステータスが凄いってことかね? …………両方かもな。

 さて、読み終わったようなのでもう一度尋ねてみよう。


「そちらの証書で登録は可能でしょうか?」

「えっ……あ、はい。最後の確認を致します…………はい、大丈夫です」


 用紙をスキャナーのような道具に挟み、何かを確認したようだ。あれは証書が本物かどうかを鑑定する道具なのだろう。

 彼女は大丈夫です、と頷いたあと、長い前髪を少したゆませる感じで左耳に掛け、薄っすらと赤く染まった色っぽくて可愛らしい耳を露出させて、続けた。


「こ、こちらが正式な限定証書だと確認できましたので、登録には問題ありません。ただ、登録には10000マタ――大銀貨一枚が必要となるのですが、こちらに記されていた内容によりますと、金銭をお持ちではないとのこと。よって、身分証としては大丈夫ですが、ギルドには仮登録ということになります。……そ、それでも宜しいでしょうか?」


 彼女の魅力満載のお耳に目と意識を奪われていた俺だが、大銀貨うんぬん辺りで我に返った。

 登録にはお金がいるのか。アーリィが登録した時は俺は屋敷に残っていたからな、知らなかった。

 と言うか、仮登録?


「仮登録というのは?」

「一月以内に登録金の10000マタをお支払いして頂くまで、ギルドの正式なサービスを受けられない状態のことです。つまり、《袋》の貸し出しやパーティ登録などができません。登録金を期限内にお支払いして頂けなかった場合は登録を解除、その後一年は登録を望めなくなります」


 成程、要はツケか。

 俺は《袋》なんて要らないし、ここでパーティ登録する気もないんだが……一年間も登録できなくなるのはダメだな。それはつまり、一年間も身分証がなくなるということだし。

 まあ、役所に行けば別の身分証を作れるんだろうけど、そこまでしなくても大丈夫だ。アーリィの初報酬が35000マタぐらいだったからな、10000マタなんて一月どころか一日で稼げるだろう。それに、解放者へと登録しておけばベルライトなんかでも動き易くなるはずだから、ここで断るのはナシだな。


「成程、分かりました。では仮登録で良いのでお願いします」

「か、かしこまりました。それでは魔力の登録を行いますので、こちらの道具に手を置いてください」


 また別の道具を受付カウンターの下から出してきた。

 上から見ると20cm四方の箱型である。おせち料理の重箱っぽい。厚みは10cmほどだ。その中間――5cmほどの部分に切り込み線が横に入っているので、上半分はプレス機の様に取り外しできるのだろう。

 彼女はこの道具の蓋の上に描かれている魔法陣っぽい模様を指しているので、そこに手を置けばいいようだ。

 

 言われた通りに手を置いて数秒後、彼女が「もう大丈夫ですよ」と言ったので手を離す。

 彼女が道具の蓋っぽい部分を開けると、中には手の平サイズの白っぽいカードが一枚。


 それが俺のギルドカードか。







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