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第 8羽   鳥、のくせに車で移動する

 


「副長、こちらです」


 あれから数分程歩いた俺達は特に何事もなく森の外縁部へと到着した。

 そこでヘダスの声が聞こえてきたところだ。ヘダスが居るのは森の外、もう目と鼻の先である。

 漸く森を抜けられるな。


 アーリィに抱えられて歩いてる間、暇だった俺は皆のステータスを覗いてみた。

 襲われたんだからその対価としてこのくらいは許してくれ。


/***************************/


 名前:ダギルケイム

 性別:♂

 種族:ヒューノ

 年齢:36

 状態:通常


 生命力: 6409/6409(4930+1479)

 魔力量: 1535/2035(1850+185)


<固有スキル>

【魔闘鎧】


<スキル>

【地耐性・Ⅸ】【水耐性・Ⅵ】【火耐性・Ⅵ】【風耐性・Ⅳ】

【地魔法・Ⅳ】【水魔法・Ⅱ】

【最大生命力増大・Ⅲ】【生命力回復速度上昇・Ⅲ】

【最大魔力量増大・Ⅰ】【魔力衝波】

【生命感知】【魔力制御】【身体強化・Ⅷ】

【姿勢制御】【集中】【剛力】【算術】


/***************************/


【魔闘鎧】:

魔力を纏い、防御能力を強化することが可能。

スキル発動時、自身が持っている耐性スキルの効果を全て二段階上昇させる。

鎧へのダメージは魔力ダメージへと変換される。

魔力量が100以下の時このスキルは発動できない。


/***************************/


 名前:エリス

 性別:♀

 種族:ヒューノ

 年齢:19

 状態:通常


 生命力: 2940/2940(2450+490)

 魔力量:  483/2316(1930+386)


<固有スキル>

【属性感知】


<スキル>

【火耐性・Ⅶ】【風耐性・Ⅱ】

【光魔法・Ⅱ】【風魔法・Ⅴ】【水魔法・Ⅰ】

【最大生命力増大・Ⅱ】【最大魔力量増大・Ⅱ】

【生命感知】【魔力制御】【身体強化・Ⅲ】【算術】


/***************************/


【属性感知】:

自身が所持する属性系統スキルと同等の属性魔力を識別して感知できる。

感知範囲は自身が所持する属性系統スキルのレベルと比例する。



 ヘダスは、まぁ……うん。特に見所が無かったというかね?

 三人の中で一番弱かったのがヘダスだった。エリスさんよりも弱かったのはちょいとびっくりしたよ。

 まぁステータスだけが全てじゃないからね、とフォローしておこう。


 ダギルケイム副長さんは中々に強いようだ。

 このステータスならば、闇黒地帯のゴブリン共に襲われても生き残ることができるだろうからな。

 それと固有スキルが優秀だ。ダメージを魔力で肩代わりするってことは、攻撃されても肉体の損傷を無視して相手へと接近できるって事だしな。スキル構成から見てもバリバリの前衛っぽいし、突撃時に重宝できると思われる。

 

 エリスさんは万能型ってのが一番近い印象だ。

 結構強いみたいだな。まあ、良く考えればお嬢様捜索隊の一員なんだから弱いはずもなかった。

 肩までの長さの明るい茶髪を額を出すようにして分けている。少しキツい目付きをした翡翠色の瞳が印象に残る美人さんだ。

 アーリィを見つけたのは彼女の固有スキルだろう。「アーリィ様の魔道具の反応」って言ってたはずだから、アーリィの持っている道具のどれかが魔道具とやらで、それは何かの属性魔力を含んでいて、その反応を探ってた、ということかね。


 お、もう森の外だな。


 外に出て視界が開けると、広大な草原と雲に覆われた空が目に映った。


 ……相変わらず気に喰わない空だ。視界に入るだけで気分が悪くなる。


「ヘダス、他の隊への合図は済んでいるか?」


 今のダギルさんの問い掛けから察するに、他にも捜索隊が組まれていたみたいだな。

 それはそうだよな、お嬢様らしいし。


「完了しております」

「よし。魔動車を回してくれ」


 魔動車? 名前からすると自動車の動力が魔力になったようなヤツかね?

 ヘダスくんは返事をしてまた走っていった。


「アーリィ様、お疲れではありませんか? ポーションを使われたのでしょうが、酷く負傷されたようですし……。どこか痛かったり、違和感を感じるところはありませんか?」


 森を出たからかエリスさんがアーリィに一気に質問をし始めた。

 ずっと心配していたのだろう。傷は塞がっているがアーリィは至る所で出血した形跡が残っているからな。


「ありがとう、大丈夫ですよ。少し疲れましたが、魔力が心許ないだけで他に変わったところはありません」

「やはりお疲れなのですね。もうじき魔動車が到着いたします。それまでもう少しの間ご辛抱ください」

「心配してくれてありがとう、エリス」


 うーん、このアーリィは違和感が凄いな。お嬢様だからこれは外の顔なのかね。

 お嬢様モードとでも呼ぶべきか。

 最初のどもりまくっていた頃のアーリィが懐かしいよ。


 と、なんか光が見えてきた。

 ……おぉ、あれが魔動車ってやつか。御者席っぽいところにヘダスが乗っているのが見える。

 フォルムは……馬車から馬を外し、本来馬が繋がれているだろう場所に大きくて頑丈そうな車輪が一つ追加されている。泥跳ねカバーっぽいのも付いており、そのカバーの両端から伸びた紐、というかロープをヘダスが握っている。どうやらロープ経由でヘダスはその追加された車輪を操作してるっぽい。……魔力でも流しているのかね? 『魔動車』ってネーミングからするに間違っていないかもな。

 泥跳ねカバーの前部には車のヘッドライトのような物が装着されており、道を照らしている。魔動車の本体部分の前方上部にも照明器具が取り付けられている様だが、そちらは今は点灯していない。恐らくは電力、というか燃料の節約でもしているのだろうと予想できる。


「お待たせ致しました、アーリィお嬢様」

「ありがとう。ヘダス、ご苦労様でした」


 到着した魔動車にアーリィとエリスさんが乗り込んでいく。

 アーリィに抱かれたままの俺も当然乗り込むことになる。その時エリスさんが筒形の道具を弄ると光球が小さくなり中に入ったエリスさんに付いてきたので魔動車の中も明るくなった。アーリィはいつの間にか光球を解除していた。

 ダギルさんとヘダスは御者席に座るようだ。


「では、出発します」


 魔道車はゆっくりと進み始める。

 速度は……時速10km~15kmってとこかな? ……うん、良く分からん。

 これが最高速なのかは分からないが、分かったところで特に意味はない。

 俺は飛べばいいからな。【天空】の効果で疲れないし。


 しかし揺れるな。ロデオマシーンかの如く揺れる。アーリィが揺れるので必然的に俺も揺れるのだ。

 まぁ舗装された道でもなかったからな、仕方ないのかも知れない。

 そんなことを考えていると、御者席側の窓が開いてダギルさんとヘダスの姿が見えた。


「お嬢様、お疲れのところ申し訳ないのですが、一つだけ確認しておかなければならない事がございます。……ノインとお呼びしているその魔物は、お嬢様の”従魔”、なのでしょうか?」


 ダギルさんのその言葉にエリスさんとヘダスが驚いた顔をした。

 そんなまさか……って言葉が聞こえてきそうな表情をしている。


「そんなまさか……」


 ヘダスくん、フラグ回収ご苦労様です。

 しかしこの反応は何故だ? アーリィは【従魔契約】を所持しているのだから俺が従魔だと考えてもおかしくはないと思うんだが……? スキルを所持していることを知らないのか? 


「…………違います」


 アーリィが俺を抱え込む力を強めながら、とても悔しそうにそう答えた。


 アーリィ……。





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