噂の占い師
沙紀と久美の通う女子高は海の近くにある。
「よく当たる占い師のお店があるらしいよ」沙紀が言う。
「まじ~じゃ~帰りに寄る?」久美が答える。
昼休み、お弁当を食べながらお喋りをしている。
二人は仲のいい普通の女子高生だ。
「そんあ噂聞いたことなかったけどな~」久美は首を傾げる。
帰宅時間になる。
占い師の店は郊外の古いアパートにあった。
「あやしくない・・・」久美はオドオド言った。
「本当に・・ま~暇潰しだと思って」
店の入り口に<占いの館>と札が下がっていた。
「ごめんくださ~い・・・」小さい声で怖々久美は言った。
「なんでチャイムもついてないのよ」
「知らないわよ」沙紀も声を何故か潜め言う。
開けたドアの中は薄暗い。
「ごめんくだ・・・・ひやぁぁぁ~~」久美が絶叫する。
二人同時に引っ繰り返った。
暗闇から老婆の顔が浮かび上がる。
「なんじゃ~」老婆のしわがれ声が響く。
「は・・はい・・占ってもらおうと思って」腰を抜かしたのか、久美が引っ繰り返ったまま答えた。
しばらくの沈黙の後老婆が言う。
「そこでちょっと待っとれ」
「まじ~怖いんですけど~」沙紀も立つことも出来ず言う。
すでに二人は後悔していた。
しかし本当の後悔はこれからだ。