上辺では見ない
まず、琉星が涼香に対して怒っていたことについて。
涼香は反抗もせず大人しく琉星の話を聞いた。
例え、涼香が悪くないとしても反抗しない。
とにかく「ごめん。」の一点張り。
その理由は一つ。
琉星のストレスを爆発させるため。
言いたいことを全部言わせて落ち着かせることが目的だったからだ。
琉星は言いたいことを全部吐き出した。
その後、涼香が口を開いた。
「琉星、私にも強がる必要はないんじゃない?」
涼香は周りのクラスメイトからある話を聞いていた。
その内容は“琉星は涼香を悪者にしている”ということ。
変な噂が流れれば、例えそれが琉星がした悪いことだとしても、涼香が悪いと言いふらしているということだ。
しかし、涼香がその話を聞いても怒ることはなかった。
なぜ琉星が涼香を悪者にしようとしているのか、どんな意図があってこうなったのか、そこを追求していたからだ。
涼香は言った。
「琉星がどんなに私を悪者にしようが、私は琉星を怒る気も見捨てる気もない。」
琉星は対人関係には敏感であった。
高校時代に対人関係で失敗し、うつ病になったことがあったからだ。
琉星は性格が変わってしまってから、
クラスメイトから一線を置かれるようになっていた。
一度一人ぼっちになってみたらきっと大事なことに気づくのではないか…と思われていた。
しかし、一線を置かれると言っても琉星には限度がある。
置かれすぎると、またうつ病が発症することを涼香は心配していた。
「言いたいことがあれば言えばいい。
私に当たりたければ当たればいい。
ストレスを溜めてはぶつけるところがなくて、1番私がぶつけやすかったんでしょ?
でもその一瞬はスッキリしてもまたぶつけたことに後悔してるんでしょ?
琉星の顔見てれば分かるから。そのくらい。」
こうして涼香は気づいたことを話したが、それは図星だったらしく、琉星はおとなしく聞いて、頷いていた。