始まった学校生活で。
桜が満開に咲き誇る3月。
とある商業高校を卒業して希望ケ丘音楽大学に進学することになった涼香。
商業高校には行くつもりはなかったが、同級生のいとこから一緒に行こうと誘われ、見事合格したのがきっかけだった。
商業高校でも小学校から続けていた吹奏楽を続け、勉強と音楽に明け暮れる毎日だった。
しかし、涼香には幼い頃からの夢があった。
それは幼稚園教諭だ。
希望ケ丘音楽大学には音楽学科と幼児福祉科があった。涼香は、音楽を続けながら先生になるための勉強をしよう、とこの希望ケ丘音楽大学に入学するのを決意したのだ。
その当時、涼香には年上の彼氏がいた。
しかし、性格、考え方、その他もろもろ全く合わなく、挙げ句の果てには大きな嘘をつかれたため別れを申し込んでいた。
彼は別れを受け入れてくれることはなく、
形上…のように付き合っていた。
無事に高校を卒業し、いよいよ大学の入学式。
希望ケ丘音楽大学は、涼香が通っていた高校よりも人数の少ない、小さな大学であった。
ちなみに、涼香が入った幼児福祉科は1クラスで男子6名女子36名計42名であった。
そのため、すぐにたくさんの友達を作ることができた。
その中でも1番仲良くなった友達が香澄である。
香澄も涼香と同じように明るく元気な女の子であった。
それからの大学生活は毎日のように香澄と楽しい日々を過ごしていた。
そんなある日、女子5人で女子会をすることになった。
その時はまだ入学して1ヶ月程度。
やっとみんなの顔と名前が一致し始めた頃だった。
そんな時に女子会でクラスの男の子の話になった。
よくある、「6人の中で誰が一番かっこいいと思う?」という会話。
涼香以外の4人は満場一致で賢志という子を選んだ。
賢志は元サッカー部の爽やかな男の子でクラスでも人気があった。
しかし、涼香だけは琉星を選んだ。
なぜなら涼香はB線だからだ。
みんなからはやはり「えー、」という声があがっていた。
琉星は人とのコミュニケーションが苦手で、
女の子とは必要最低限しか話さないような静かな男の子だった。
琉星と涼香は1度だけ話したことがあり、
LINEも知ってはいたが、それも最初の1度だけだった。
女子会の数日後、涼香と香澄が話している近くで賢志と琉星が何か抱え込んだようにして話していた。
心配になった涼香と香澄は2人の元へ駆け寄った。
すると避けているかのように琉星はその場を立ち去った。