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Please your money!!(6)

「な、何でここにいるの……?」

「これ、見たんです。」

 少女の手に自分の事務所の名刺がある事に気付いた時、京佑は冷や汗をだらだら流しながら色々な事を考えた。もしかして金を巻き上げに来たとか? さっきの中学生みたいに訴えられるとか?

 京佑が悶々と考えていると、少女はなおも続けた。

「で、住所のところについたら、この人と会って。」

 少女が指したのは従業員の涛川凡治良。彼は確か家に帰っていった気がする。しかし彼の手にある買い物袋を見て、夕飯を作りに来てくれたんだと思い返した。こうしていると何かと気のまわるただの好青年である。しかし着ているのは白地に桜が舞っている着物。年齢にはそぐわない。

 凡治良が悶々としている京佑に苦笑して、声をかけた。

「依頼をしに来たんだそうですよ、京佑さん。」

「……は?」

 振り返る。少女は凡治良に促されてソファの向かい側に腰掛けていた。ちゃんと座っている彼女はこうしているとただの真面目な女子高生だ。

「オーナーの皆同京佑さん、ですよね?」

「あ、あぁ、はい……まぁ、一応。」

「こんばんは、結城立香と申します。」

 少女――立香が軽く頭を下げて会釈した。京佑も「ども、」と軽く会釈する。いつの間にか逸樹も隣に腰掛けて、立香を見ていた。危ないと思ったのもつかの間、逸樹は立香には興味がなさそうで、どちらかと言うと依頼の方に興味があるらしい。

「依頼があるんです。」

 立香は改まって座り直すと、こういった。

「お母さんの事件を調べて、真相を突き止めて下さい。」

「……は?」

 一瞬何を言っているのかわからないような、漫画のような依頼。京佑はその類の依頼は初めてだったので、あまりの驚きに言葉が出なかった。逸樹も立香をぽかんと見ているし、凡治良は棒立ちになっていた。驚いているのは自分だけではないらしい。

「えーと、どういう……」

「お金はないですけど、払います。何なら住み込みで働きます。だから調べて下さい。調べて、真相を突き止めて下さい。お願いします!」

 状況を理解するために質問しようとする京佑の言葉を区切って立香は頭を下げるばかり。その姿に凡治良と逸樹は顔を見合わせたが、京佑は一つ息をつくと立香に尋ねた。

「あんた、金に困ってるんじゃねーの?」

 立香はゆっくり頭を上げた。迷いの表情を浮かべる立香を見て、京佑はなおも質問した。

「もしかしたらあんたの納得のいく真実がないかもしれない。それでも大事な金払って依頼していいのか?」

 京佑の諭すような、でも強いその言い方に立香は二の句がつげない。しかし、自分の決めたことだ。考えて決めた結論だ。立香は顔をあげて思い切り告げる。

「お願いします。」


 ――これが結城立香の物語の始まりであった。

 Please your money!! 完結です。

 なんか俺とか私とか少女とか青年とか色々ありますが、これからは全て三人称でいきます。こんらんさせてしまってすいません;;

 基本主人公は立香か京佑です。本当は立香なんですけど。笑

 ではではFILE2も楽しみにしていてくださいなっ。

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