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ラグナロク  作者: ピロ
第6章 地下帝国とレンの旅立ち
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旅立つ前に

バイトを始めました。

更新頻度が少し落ちそうですが、出来るだけ早く更新出来ればと思っています♪

今後とも宜しくお願いします

「あんちゃん、そっちに行ったぞ」

「ああっ!!」

辺境都市ナーセルの近くにある森で、俺達は魔物と戦っていた。

これから小夜を探しに冒険に出るのだが、俺は生きているものを殺したことがない。

それを知ったレパード達の助言で、彼等に最低限の安全を確保してもらいながら、魔物の討伐にやってきていた。



「カゼのセイレイよ、ヤイバとナリテ、テキヲ、キリサケ」

俺の前に現れたオークの周りに竜巻が起こり、オークの体を切り裂く。

「プギャァアアアアアアア」

深手の傷は無いものの、全身が傷だらけになり、オークは怒声を上げた。

「喰らえっ!!」

風が収まるタイミングを狙ってオークを切り付ける。

オークはボロボロの剣で受けようとしたが、剣は折れてそのままオークの体ごと切り裂いた。かなりの深手で致命傷だ。


「やった」


やっぱりこの体のスペックは尋常じゃない。

いろんな生物の遺伝子を取り入れたこの体の強さを実感する。

初めての実践ではあるが、予想以上だ。

「あんちゃん!!そいつまだ死んでないぞ!!」

「ドライアドよ、テキのウゴキヲトメロッ!!」

瞬時に察したミレーヌは、精霊魔法によりオークの動きを拘束しようとした。

だがそれ以上にオークの動きの方が早い。

レンはオークのタックルをまともに受けてしまい、吹っ飛ばされてしまう。


「あんちゃんっ!!!」


転んだレンに向かって、その剛腕を振り上げて襲い掛かった。

レンも咄嗟に起き上がって避けようとするが、痛みで体がすぐに動いてくれない。

ヤバイ・・・

「レン殿っ!!」

それまで見守っていた騎士のレパードが、レンに襲い掛かろうとしているオークの首を横からはねる。



首を跳ねられたオークはレンに届く前で倒れ込んだ。

「大丈夫ですか?」

「ああ、すまない。助かったよ」

背中を強く打ち付けて息をするのもままならない。

起き上がるのに苦労していると、レパードが手を出して立たせてくれた。

「レン殿。敵は動かなくなっても最後まで油断してはいけません。自分の命を掛けて最後まで攻撃すると思って下さい」

死んだフリをして攻撃をしようとする者もいるくらいだ。

だから近くにいる時は、倒れていたとしても必ずトドメをさした方がいい。

と、レパードは教えてくれた。


「分かったよ。レパードの言う通り、小夜を探しに行く前に実戦経験を積んだ方がいいってことも身をもって知った。ありがとう」

日本で命のやり取りをした事がないことを知ったレパードは、小夜を探しに行く前に実戦を積んでおいた方がいいと、急遽魔物の討伐を行うことにしたのだ。

案の定倒したつもりで攻撃を受けてしまった。

「あんちゃん。大丈夫か?」

ユキが心配してやってきた。

俺が怪我してないか、体のあちこちを確認している。

「大丈夫だ。心配させたな」

ユキの頭を撫でると嬉しそうに抱き着いてくる。


「そういえばオークは冒険者ギルドで買い取ってくれるんだったな」

「うん。オークの肉は美味しいからな。高く買い取ってくれるぞ」

レパードが首を跳ねてくれたから、いい感じで血抜きも出来ている。

次元収納にオークを入れるとレパードが感動している。

「この大きさのオークでも収納出来るのですね・・・」

「うん。多分収納に制限は無いと思うよ」

「本当ですか!?それは凄い」

レパードはスタンリー男爵家の騎士団を率いていた。

だから補給のことも仕切っていたのだろう。

前線に馬車も無しで持っていければとか、考えていることがブツブツと口に出ていた。



「ゴシュジンサマ、テキ、チカクにいる。ドウスル?タタカウのヤメル?」

木の上で索敵をしているミレーヌから声が掛かる。



俺達が戦っていることを知って魔物が寄ってきていたか?

体の痛みも引いたし、怪我も無いから戦っても問題ないな。


「いや、ミレーヌ。こっちに誘導してくれ」

「ワカッタ」

木の上にいるミレーヌが風の妖精シルフを使って、俺達のいる方に魔物を誘導する。


「キマス」


すると森の茂みから現れたのは、巨大な昆虫型の魔物だ。

「グレートマンティス!?こんな所にこんな大物がいるとは・・・」

レパードが魔物を見て驚く。

カマキリが巨大になったような魔物、それがグレートマンティスだ。

両腕がカマになっていて、巨体にも関わらず動きは素早い。

少しの間ならば飛ぶことも出来て、Bランクパーティの討伐が推奨とされている厄介な魔物だ。

「あんちゃん、オイラも戦うぞ」

ユキが俺の隣にやってきてスピアを構える。

「いや、俺の戦闘能力を確かめたいから、一人で戦ってみたい」

「レン殿!!グレートマンティスは一人で討伐出来るような魔物ではありません!!」

「すまない。コレは俺が戦ってみたいんだ。もし危険と判断したら加勢を頼む」

さっきのダメージを心配したレパードが、俺が一人で戦うのを止めさせようとするのは分かる。

だけど俺はこの魔物に対して恐怖も感じないし、強いとも思えないんだよな。

「しかし・・・」

「分かった。危なくなったらオイラは加勢するからな」

ユキが後ろに下がると、レパードも渋々後ろに下がる。

俺が一人で戦うとなったと同時に、グレートマンティスは一気に間合いを詰めてカマで切りかかってきた。

「早いな」

カーボンファイバーの盾は軽く、本当に盾として機能するか心配だったが、問題なく受け止められた。


それにしてもすげぇ力だ。

確かにBランク以上のパーティじゃなきゃ討伐出来ないってのも納得だ。

でもこの体なら問題ない。俺の体はそれほどに力が溢れていた。

オークと戦った時もそうだったが、盾で受けてから攻撃を繰り出すのが基本スタイルだ。

俺の性格的にもコレが合っているな。



「みんな見てろよ」



俺がグレートマンティスを押し返そうとすると、腕の筋肉が一気に膨れが上がる。

すげぇ。コレが俺の力?


グレートマンティスのカマを一気に押し返す。

するとはじき返された体制から、グレートマンティスはもう一方のカマを振り下ろしてきた。

「おらぁぁああああ!!!!!」

俺も真っ向勝負で打ち合う。

するとグレートマンティスのカマは、力で負けて真っ二つになった。


「凄いっ!!」

レパードは驚きを隠せない。

何故なら魔物であるグレートマンティスに、人が力で勝ることなどあり得ないからだ。

それに細身である主の腕が何であんなに太くなっている?

レンが左右に剣を振るう度にグレートマンティスが力で負け、剣の振るった方向に弾き飛ばされていた。

何度か打ち合っているだけだが、グレートマンティスのもう片方のカマも剣で切られて虫の息だ。



「な、何だ、この一方的な戦いは・・・」



信じられないことが今目の前で起きていた。

あのグレートマンティスが一方的に蹂躙されている。

最後の攻撃とばかりに噛みつこうとするが、主はグレートマンティスに剣を叩きつけた。



「あんちゃん!!すげぇ!!」



頭部から真っ二つになったグレートマンティスは、しばらくの間ピクピクと動いていたが、やがて動かなくなった。


コレが主の力?

私に同じ事が出来るのか?いや、無理だ。

グレートマンティスに勝てるかすら分からない。

屋敷にいた時に何度か練習で打ち合ったが、その時もオーガと戦っているのではないかと勘違いするほどの力だ。

数合打ち合っただけで、私の手がガタガタになってしまった。

そして技術を補うだけのとんでもない身体能力で、剣術もアッという間に吸収してしまう。

ヴェインも同じ事を言っていたが同意するしかない。


それと訓練の時とは違い、恐ろしいほどの殺気を放っている。

まるで別人だ。


「ゴシュジンサマ、スゴカッタ。ワタシのダンナサマ。ツヨイ」

グレートマンティスを倒して落ち着いたのか、いつものレンに戻っていた。

「姉ちゃんズルいぞ」

木の上から飛び降りて抱きついてきたミレーヌに嫉妬して、ユキも負けじとレンに抱き着く。

ミレーヌは大人だが背が小さく童顔なので、傍からみれば大好きな兄を奪い合う子供のようにしか見えない。

「レン殿は女性に愛されていますな」

傍から見るとほのぼのとした光景だ。


レパードはその光景を見ていて思う事がある。

夜はレンの激しい息遣いと、女性達の艶めかしい声が屋敷中に響き渡っている。

昼間の紳士の顔からは想像も出来ないほどの激変ぶりだ。

何故昼の顔と夜の顔がこうも違うのだろう。


屋敷にいる女性達は全員がレン殿の事を好いている。

女性達も進んで抱かれに行っているようなので何の問題は無いのだが、レン殿は毎日何時間女を抱いているのだろうか。

あまりの絶倫ぶりに我々男達は夜屋敷にいるのが辛い。

レン殿もその事を知っているので、男達に外で女性と遊ぶ金を渡してくれる。

先日本当に毎日女性と遊んでいいのか尋ねてみた。

だが商会の為にはどんどん酒を飲んで、女性達とどんどん関係を持て。

そして交友を増やして情報を集め、全員で共有しろとのことだ。


「レパード。俺が旅に出るのに問題は無いかな?」

「はい。後は対人戦が問題無ければ大丈夫だと思いますね」

「対人戦か・・・」


この世界には山賊やら野盗、盗賊などが存在している。

正直魔物を殺すことには抵抗が無くても、人を殺すことには抵抗がある人は多い。

間違いなく俺もその一人だ。



「冒険者ギルドに行って依頼を受けてみるか?」


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