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ラグナロク  作者: ピロ
第6章 地下帝国とレンの旅立ち
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国を滅ぼす敵と戦うのを事後報告するのはやめれー


「あれっ?ここはどこ?」

目覚めた小夜は見知らぬ部屋にいた。

そういえば昨日ドワーフを助けたお礼に、お肉をいっぱい食べさせてもらったんだっけ。

でも食べてる途中からの記憶が無いんだよね。


“ 愚か者が ”

玉ちゃん?話しかけてくるなんて珍しいね。

“ お主は昨日酔って記憶を無くしているのじゃ ”

そうなの?私お酒なんか飲んでないよ??

“ 昨日お主が飲んでいたのは果実酒ぞよ ”

へーっ、そうなんだ。

“ ハァ。お主は女子だということを理解した方が良いぞ。見知らぬ男に手籠めにされる恐れだってあるのだからな ”

んーっ。それはアイラちゃんもいるし、玉ちゃんが助けてくれるでしょ?

“ ま、まぁ。それはそうだが・・・ ”

玉ちゃんが私のことずっと助けてくれてたのも知ってるよ。私が足を切る事になった事故の時だって、玉ちゃんがそれで済むように助けてくれたんだよね。

ずっと、ずっと私のこと助けてくれてありがとう。

“ う、うむ。これからは気をるけるのじゃぞ ”

玉ちゃんは大妖怪なんて言われてるけど、本当は可愛い人なんだよね。

それでいて凄く大人で思いやりもある。たまに怖い時もあるけど、私やお兄ちゃんを守る時だけ怖くなるって感じ。



玉ちゃんは鳥羽上皇の寵姫で、正体が知られて殺生石に封じられたってことだけど、玉ちゃんと私の魂は繋がってるから私は知っている。

玉ちゃんが好きだった源頼光が亡くなって、鳥羽上皇に近寄ってお兄ちゃんの魂を受け継いだ人をずっと探してた。寵姫ってことになってるけど操っていたってだけで、誰も殺してないし、ずっと貞操を守ってる。記憶を辿るだけで切なくて泣けちゃうんだよ。

本当に一途だよね。

玉ちゃんは九本の尻尾があるけど、その尻尾の一つが殺生石に封じられちゃったんだ。

でも少し前に封印が解けたし、私が大きくなる事で、大妖怪としての力をほとんど取り戻した。あとは神格を取り戻すのと、ミレニアの持つ核を取り戻さないとね。


「小夜。おはようございます。ブツブツ言っていますが、どこか頭をぶつけましたか?」

アイラちゃんは椅子に座って目を開けたままスリープモードに入ってるから、起きてるのか寝てるのか分からない。

「まぁ元々頭のネジが緩んでいるので、それが通常運転かもしれませんが、少しだけ心配していますよ」

ったく相変わらず毒々しいなぁ。

「悪かったってばアイラちゃん。昨日は迷惑かけたんだよね?ゴメンて」

「そうですよ。小夜の嘔吐したものを片づける私が可哀相でし・・・」

「それは嘘だ。今玉ちゃんが嘘だって教えてくれたよ」

何で泣くフリをしてるんだよ

「バレてはしょうがない。嘘です。小夜が少しでも申し訳ないように思わせる為に画策してみました」

アイラちゃん何でドヤ顔するの?イミフなんだけど。

やっぱズレてるんだよなー。

「ありがとうございます。小夜のプンプク顔を頂きました」

最近アイラちゃんは私のいろんな表情をメモリーするのが密かな楽しみらしい。

半目開きの間抜けな顔を見せられた時はさすがに頭にきたけどね。


「それから私がアルコールって知ってて飲んだ訳じゃないからね。私は悪くないよ」

「そうですね。それなら炎の巨人を倒した後、ついでにドワーフも殲滅してしまいましょう」

「ちょっとアイラちゃん?それだけの事でドワーフを殲滅するとか、冗談でも口にするのはやめようよ」

それからアイラの口から出た気になるワードがあった。

「で、炎の巨人って知らない単語が出てきたんだけど何?」



何も無かったかのようにしれっとしても駄目だからね。

そしてアイラから炎の巨人の討伐の話を聞いた。


「実際ミレニアと戦う時になったら、炎の巨人を倒した方が有利になるのでは?」

「まぁねー。戦って魂を奪えば奪うほど神格に近づくからね」



そう。この世界の生態系はピラミッド式だ。

弱い物は蹂躙され、強い者が生態系の頂点に立つ。その一番上に立つのが神なのだ。

ピラミッドの頂点に人が立っていると思っているのは、人が神と同次元に存在出来ないからでしかない。

そして神にも力の差が存在する。



高天原にいる神々は、輪廻の輪を潜る人の魂を無限に回収する事が出来るが、現世にいる神々は人々の信仰によるエネルギーか、ピラミッド式の人より下の生き物の魂を回収することしか許されていない。

そして現世の神は基本的に人神ではなく、獣が神に昇華した者だ。

人の形をした神もいるが、高天原を追いやられた神や、人が神格を得て神になった者達が現世にいる神である。



「いいよ。炎の巨人ってのをやっつければ20日も早く地下迷宮を抜けることが出来るんだよね」

「はい」

「ならそうしようよ。私ももっと強くならないとだし」

「出発は明日です。だから用意しなければならないものがあれば言って下さいね」

「はーい。分かったよぉ」


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