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ラグナロク  作者: ピロ
第5章 商会 後編
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次の段階へ

明けましておめでとうございます♪

今年も宜しくお願いしますね


俺とコリーナが遅い朝食を取っていると、黒塗りの馬車が商会の前で止まった。

馬車にはグリフォンの装飾を施した紋章が入っているのだが、これはグレンデル辺境伯家の紋章だ。


「奥様、迎えに上がりました」

グレンデル家の執事であるジョルジオは、第一夫人であるコリーナを迎えに来たのだ。


「嫌です。帰りません」


そんなジョルジオを無視してコリーナは俺に抱き着く。

帰らないをアピールするコリーナに、迎えに来た執事のジョルジオさんも困り顔だ。

「奥様。子供のような駄々を捏ねないで下さい」

「レンもジョルジオに帰るように言って」

俺に抱き着いたまま可愛く懇願するコリーナ。

「コリーナ様。そんなこと言って、ジョルジオさんを困らせてはいけませんよ」

口をとがらせて涙目でコリーナが訴える。

俺が頭を撫でると俺の胸に顔を埋めてグリグリする。まるで甘えん坊の5歳児だ・・・


「・・・分かったわよ。帰るわ」


コリーナは観念したのか、ため息をつくとテーブルから立ち上がる。

「ジョルジオ、行きますわよ」

先程の子供のような態度と違い、太守夫人の毅然とした態度に変わった。


「それじゃあまた遊びにくるわね」

「ええ。いつでもお越し下さい」

グレンデル辺境伯の第一婦人であるコリーナは、俺の頬にキスをして迎えの馬車に乗りこんだ。

エクリプス商会総出で屋敷の前に並び、夫人を見送る。

グレンデル邸の執事であるジョルジオが俺達に深々とお辞儀をして、御者の隣に座り馬車を走らせるよう指示をした。


彼女はそれに答えるかのように窓を開け、満面の笑みで手を振って帰って行く。


「あんちゃん・・・」


ユキが俺を恨めしそうな目で俺を見ている。よく見れば女性達全員から避難されるような目で見られているな。

その点、男性陣は何も知らぬ存ぜぬを通してくれるので有難いが、女性陣はそうもいかない。

あれだけ激しくヤっていれば屋敷中に声が響いていたのだろう。

文句も言いたくなるよな。


女性陣を集めて全員と話をして、順番で夜の相手をすることに決まった。

当然だけど、ユキはもう少し大人になってからだ。それに対してユキは前に約束をしたからか文句は言わなかった。


俺は男性陣を連れて、再び奴隷商に向かう。

「レン殿。我々を連れてどこに行くのでしょうか?」

「まずは奴隷商だね」

俺は再び奴隷商の集まっているエリアにやってきた。前回は女性ばかりを連れていたから、女性の奴隷を多く扱う奴隷商から声を掛けられていたが、男ばかりでも変わらないようだ。

「先日はお世話になりました。兄さんの注文通り、全員売らずに待っていましたよ」

「ああ、ありがとう。感謝するよ」

そういって白金貨500枚を奴隷商に渡す。

「兄さん、金貨4100枚からはだいぶ多いですぜ」

「約束を守ってくれた礼だ。俺の商会エクリプスは、これから人がどんどん必要になる。だからいい人材を連れてきて欲しいんだ。その手付けだと思ってくれ」

「ありがとうごぜぇます。兄さんの望むいい人材を連れてくることを約束しやすぜ」

「頼んだよ」

「へい。これからもご贔屓に頼みますぜ」


奴隷商の男は使用人に合図をすると、貴族の使用人だった23人を連れてくる。

騎士3人、兵士10人、メイド5人、料理人1人、馬番1人、庭師1人、使用人の子供2人の合計23人だ。彼等には南の街マルケスと王都ベルクに移動してもらい、支部を立ち上げてもらう。

どちらも交易が盛んな場所だから追加で人材を派遣しなければならないが、この奴隷商は俺の望む人材を理解しているから、ちゃんとした人材を用意してくれるだろう。


「おいっ、ラッセル。お前のその剣どうしたんだ?」

奴隷服を着たレックスは、再会を祝して抱きしめ合っていたのだが、友人であるラッセルの腰にある剣を見て驚きを隠せない。

「ヘヘッ。すげぇだろ。アインシュバルトの剣だぜ」

名工アインシュバルトの剣は騎士や兵士にとって憧れの剣だ。その名剣が友人の腰にぶら下がっているではないか。

「ほ、本物だ。すげぇ・・・何で奴隷のお前がそんなもん持ってんだよ。ど、どこで手に入れたんだ?」

レックスは剣を見せてもらうと、その輝きと、豪華な装飾に口を開いて魅入っている。

「聞いて驚くなよ。新しい主人であるレン様がくれたんだよ」

「本当なのかっ!?」

レックスは驚きを隠せない。

名工アインシュバルトの剣は上位貴族が持つような剣で、普通の騎士や兵士が持てるような代物では無い。

持てるとしたら英雄のような活躍をして、国王から下賜されるくらいだからだ。

それをただの奴隷でしか無いラッセルが持っている。

しかもラッセルだけじゃなく全員が受け取ったと言っていた。

レックスはレパードやヴェイン、スコット、バイロンの腰を見ると本当に同じ剣が腰にぶら下がっている。

「それによ。新しい主人のレン様はすげぇんだぜ。この前商会を開いたばっかりなのに、貴族達が店に押しかけて一日もしないうちに山のような金貨の売り上げを作ったんだぜ」

「本当か!?」

興奮したラッセルの声が次第に大きくなって、周りの奴隷だった者達も何だ何だと集まってくる。レンの武勇伝に感嘆の声を上げ、自分達の未来に歓喜した。

「さっきまで希望が持てずに死んだ魚のような目をしていた連中が、ラッセルの言葉に活き活きとしていますよ」

そういってレパードが近寄ってくる。

「レン殿。感謝します」

レパードは俺に頭を下げると、ラッセルが語っている方を向く。

俺もラッセルには感謝しないとな。

お調子者だが人心掌握に長けている。コレは凄いことだ。

他の奴隷達の嬉しそうな顔を見ていると、商会を盛り上げていってくれるに違いない。


「これで君達の憂いも少しは減っただろ?その代わりに商会を盛り上げていってほしい」

「ハッ。この命に代えましても商会を守り抜く所存です」

レパードは片膝をついて臣下の礼をする。

「そこまで気張らなくてもいいよ。一番大事なのは命だから、それだけは間違えないで」

「はい。わかりました」

「これで皆の生活に必要な物を揃えてきてくれ」

俺は白金貨が100枚入った袋とマジックバッグを渡す。

「こ、こんなにいいんですか?」

袋の隙間から見える白金貨。金貨でも多い気がするが、この重みは間違いなく全てが白金貨だ。

「いいんだよ。エクリプス商会が景気のいい所を見せつける為に必要なんだ。遠慮なく使ってくれ。余ったら酒代にでも回してくれればいいから」

「しかし・・・」

「酒代だって必要だからね。俺の目的は言ってあるはずだよ。俺の商会は妹を探す為に開いたんだ。情報を集めるのに酒場で人と話すことは必要不可欠なはず。娼館にだって、売春宿にだってどんどん行ってくれて構わない。金はどんどん回せ。儲かると知れば何もしなくても人が寄ってくる。情報を欲しがってると知れば、媚を売ろうとする人間は必然的に情報を持ってくる」

「ですがそんなに使って大丈夫なんでしょうか?」

レパードは心配性のようだ。それと男爵家はあまり裕福では無かったのかもしれない。

「前にも話したけど、俺は別の世界から来たんだ。この世界よりも俺のいた文明は千年文明が進んでいる。だからその世界で何が必要なのかが分かれば、金を稼ぐ方法なんて凄く簡単なことなんだ。」

俺はレパードに俺がここに来て実際に稼いだ方法を紙に書いて、原価がいくらなのか、利益がいくらあるのかを教えた。

「こ、こんなに稼いでしまうんですかっ!!!」

「だから秘密を守らせる為に、守秘義務を守ってくれる奴隷を買っているんだよ」


とんでもない暴利。買った側がコレを知ったら怒りに殺される可能性すらある。

だがそれだけの価値は有り、知らなければ全ての人が笑顔でいれる。

それでも納得はしてくれたようだ。


「儲け過ぎれば恨みしか生み出さない。だから儲けた分は外に還元すればいいんだ。そうすれば周りの人達も潤って誰も不幸にならない。分かってくれた?」

「ハッ!レン殿に感服致しました。偉大なる主人に感謝を」


「レパード。俺はこれから妹を探すことに専念したい。だから君には彼等の面倒を頼みたいんだ。宜しく頼むよ」

「分かりました。お任せて下さい」


やっとだ。やっと小夜を探すことが出来る。


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