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ラグナロク  作者: ピロ
第5章 商会 後編
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密談


“ 被験者の思考誘導率89%. ”

“ アダム計画発動。受胎被験者2 ” コリーナ “ の子宮内にナノマシンの固着に成功. ”

“ 胎児の補完計画プログラム発動. ”

“ 精子の選別をします. ”

“ 受胎する遺伝子を確定しました. ”

“ 卵子への着床を加速. ”

“ 成功. ”

“ 胎児の補完計画に移行します. “



「ヤレヤレ。レン君もやっと快楽の虜になってきてくれましたね」

眼鏡を掛けた男が薄ら笑いを浮かべながら、レンが腰を突き上げる映像を眺めている。

「櫻井君は人が悪いな。君がそうなるように誘導したんだよね?性欲をコントロールするのもいいけど、彼を廃人にしないでくれよ」

「ええ。あれだけ条件の揃った素体は中々現れることはありませんからね、使い捨てにはしませんよ。その辺は信用して下さい。それにしてもレン君から出るあの強烈なフェロモン。アレのおかげで、女性とヤリたい放題です。寧ろ感謝してもらいたいくらいですね」

「ほとんどの女性が抵抗出来ないってのは素晴らしいね。羨ましいよ」

視線が合うとニヤリと二人の口元が緩む。

抱き合って口づけを交わす映像に変わるが、愛を語る映像にはまるで興味が無さそうだ。


「連中、この動画を見せたら喜びますかね?」

櫻井はフラッシュメモリを手にし、座っている男に向かって問いかけた。

「ええ。あの老害達はきっと喜びますよ」

「この前の映像を見た途端にまだか、まだかと急かすようになりましたからね」

「技術的に立証出来るのはどの位ですか?」

「最低でも5年は掛かると。あいつ等には前に言ってあったんですけどね。金で女を買い漁ることなんていくらでも出来るでしょうに」

「彼等の粗末な物は薬で何とかなっているだけですからね。女性が跳ね上がるほど激しいセックスを見せつけられたら、自分もしてみたいというのが彼等の本音でしょう」

「フン。クズ共が・・・」

「でもそのおかげでスポンサー料が潤沢だよ」

「彼等が自分達の為に税金を使っているって国民が知ったらどうなるでしょうね?」

「ハハハ。そうならないようにメディアも買収しているんじゃないか。彼等は国民の苦しみなんか知ったことでは無いんだよ」

「しかしミレニアに時間を加速させ続けると失敗するリスクが増えると言っているのに、これ以上急かされても困るんですよ」

「権力だけは持っている低能な猿ですからね。櫻井君が何するか分からなくなっても困りますから、彼等の担当は変える事にするよ」

「本当ですか?それは助かります」

「早いところビジネスモデルを形成して、我々のアダムを完成させてしまいましょう」

櫻井と呼ばれた男はフラッシュメモリを座った男に渡す。


「ところでイヴの方はどうなってます?」


その問いかけに画面を見つめたまま、タバコを持った男の動きは止まっていた。

「その反応だと、未だにアクセス出来ませんか」

「ええ。原因はまだ分かりませんけど、十中八九、アイラの仕業だと思っていますよ」

ソファーに腰かけた男の方に向くと、タバコの灰が床に落ちる。

「まぁ、彼女の頭には生体コンピュータが組み込まれていますから。我々の計画もバレていると思っていいでしょう」

「まさか一条の奴が我々の計画を邪魔しているのか?」

「いや、それは無いでしょう。我々世界の意思の存在を知っているのは意外でしたが、所詮はラボの所長。動いているのは禅でしょうね」

「国連に要請して攻撃させますか?」

「駄目ですよ。コレは内密ですけど、国連は一度ソレをやったんです。しかし禅からのカウンター攻撃で、世界中の端末がシステムダウンしてしまいました」

「なっ・・・それは本当なんですか?」

「ええ。禅はただのスーパーコンピュータではありません。未来から送られてきた生体コンピュータなんですよ。我々の技術では一斉に掛かっても、1秒もしないうちに乗っ取られるのがオチです」

「国連加盟国全てからの攻撃でも駄目なんですか・・・」

「そうです。ですので今出来ることを進めて下さい。被験者の子種を撒く作業ですけど、大丈夫ですか?」

「大丈夫といいますと?」

「彼はなかなかに理性の強い人だ。そのせいであまり女性に手を出さないような気がします。そのせいでプロジェクトの進行が遅れないか心配になったので」

「ああ。それなら大丈夫です。蓮君はプロトタイプのダイブマシンに乗ってるので、性欲のコントロールが可能です。安心して下さい」

そういうと眼鏡を掛けた男の口端がニヤリと上がった。

「そうですか。じゃあスポンサーを納得させることが出来るようにお願いしますよ」

ソファーに座っていた男は立ち上がると、部屋から出て行く。



「上手く行かないな」

櫻井は何も映っていない青い画面を見つめて呟いた。




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