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ラグナロク  作者: ピロ
第5章 商会 後編
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エクリプス商会の躍進 その4

今日はチキンとケーキを買ってこよう。

今日は普通の日ですけどそんな気分。



「凄かったわよ」



一糸まとわぬ姿で男と女が横たわっていた。

男の息遣いは荒く、呼吸をする度に胸が上下している。

女は男の腕の中で胸板に指を這わせ、幸せを噛みしめていた。

「可愛かったよ」

男は腕の中にいる女性の髪を撫でながらキスをする。


「レン・・・」


鼻に掛かった甘い声で俺の名前を口にする。そして俺の上に乗ってきて唇を重ねてきた。

トロンとした瞳に少し開いた口が、いつもの妖艶な美女ではなく少女のように見える。

俺の腕の中にいるのはグレンデル辺境伯の第二夫人。

俺よりもずっと年上のはずなのにこの可愛さ。甘え上手で、魔性の女というのが相応しい。

彼女の印象は妖艶で、男を骨抜きにしてしまうようなイメージだった。

最初は想像していた通りだったような気がする。

それが絶頂を迎える度に声が甘くなっていき、次第に俺に甘えるメスへと変貌していった。

「・・・レンぅ・・・」 

俺の心臓の鼓動を聞きながら、恍惚とした表情を浮かべて快楽の余韻に浸っている。


彼女と繋がっている時、俺は俺じゃないような気がしていた。

この女を孕ませてやる。そんな感情が俺を支配していた。

少しでも子種を子宮に入れてやろうと腰を振り続け、彼女の子宮をこじ開けるように奥まで入れて子種を解き放つ。


メスは全て俺のものだ。誰にも渡さねぇ。


こんな感情に支配されていた。俺はこんな奴だったか?

服を着ながら、俺が何かに支配されているんじゃないかって思わずにはいられなかった。


「ナディア様、行きましょうか」

彼女が着替えを終わるのを見計らってから、俺は手を差し出した。

「駄目っ。二人の時はナディアって呼んで」

唇を尖らせ怒ってるフリをしながら甘い声でおねだりをしてくる。

「分かったよ。ナディアは可愛いな。じゃあ行こうか」

「うん」

もう一度彼女を抱きしめてキスをする。

この扉を開けば俺達に掛けられた魔法が解けて、商会のオーナーと、領主の夫人に戻るのだ。


扉を開けるとモジモジとしているメイリンがそこにいた。

「メイリンご苦労様。分かっていると思うけど、ここであった事は秘密だからね」

「はい。ご主人様」

メイリンの呼吸が少し荒くなっているのが分かる。

その様子を見たナディアがメイリンを壁に押し付けて唇を奪う。

驚いたメイリンだが、貴族に逆らうことがどういうことか分かっているからか、されるがままである。

「口を開けて舌を出しなさい」

「・・・ハイ」

ナディアはメイリンの唇をキスで塞いだままスカートをめくりあげ、ズロースの中に手を入れる。

ズロースの中がどうなっているかをナディアが確認すると、メイリンは恥ずかしさのあまりナディアの事を見る事が出来ない。

ナディアがメイリンのズロースの中で手を動かし出すとズチュズチュと音が聞こえてくる。

「・・・ンンッ。・・・ンンッ・・・ンンッ・・・ンンッ・・・・」

あまりの気持ち良さにメイリンは腰砕けになり、立っている事が出来ず、床にしゃがんでしまう。

だがそれでもナディアは手を動かすのをやめない。

そしてナディアが手を動かすのに合わせ、メイリンの鼻から漏れる喘ぎ声も同調していく。

「ンッ、ンッ、ンッ、ンッ、ンッ、ンッ、ンッ、ンッ、ンッ」

ナディアもメイリンの快楽のボルテージに合わせて指の動きを速めて行く。

逃げる事が出来なくなったメイリンは、ナディアの背中に手を回して快楽を受け入れている。

「ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンッ・・・・・・・・」

メイリンの体がビクン、ビクンと跳ねて、何度も腰を突き出すように動かしていた。


” このメスを孕ませろっ ”


クソッ。まただ・・・

メイリンから溢れる女の匂いを嗅いでいると、俺の理性がどんどん失われていく。

そしてメイリンを犯せと、黒い感情が俺の心を支配していった。


「レン?どうしたの?大丈夫??」

俺が頭を押さえているとナディアの声が聞こえてくる。するとさっきまでの犯したい衝動が嘘のように消えて正気に戻った。

「え、ええ。大丈夫です・・・」

どうししちまったんだ俺は?ゴブリンとかオークの遺伝子が組まれてるって言ってたよな。

アレのせいか?

「メイリン。悪いけど、後片付けは任せるよ」

「ハ、ハイ。分かりました」


「じゃあナディア様、戻りましょう」

俺はどうしてこうなったのか分からないが、皆のいる所に戻ることにした。





「す、凄い・・・」

「ええ。私もこんなに金貨を見るのは初めてよ」


従業員全員で金貨を数えていく。最終的の売り上げは白金貨で4726枚、金貨が18312枚の売り上げとなった。数え易くする為に並べると、溢れかえる金の山。

ちなみに日本円で金貨1枚が10万円、白金貨1枚が100万円になる。

今日だけの売り上げで65億円以上の売り上げがあるってことだ。

権力者だけが富を得る超格差社会。生まれや、持っているもので全てが決まってしまう。

真面目に生きている人が報われることはない・・・



今日の売り上げは特に宝石関係の売り上げが多く、指輪とネックレスを100個づつ用意していたのだが、全て売り切れてしまった。

これも領主夫人達がサロンでネックレスを見せびらかしてくれたおかげだ。


「そういえばご主人様はどこいったのかしらね」

その言葉にルシェリの胸にチクりと痛みが走る。

「さぁ、私も見てないから分からないわ」

ご主人様は情事に励んでいるだなんて言える訳がない。

私は所詮奴隷で、ご主人様は近くにいたって届かない存在なんだから・・・


一日でこんなに稼いでしまう人が世の中にいるなんて思いもしなかった。

私の世界はせいぜい一日働いて、大銅貨3枚貰えばいいところだ。

それをご主人様は一生何もしなくてもいいだけお金を、半日もしないうちに稼いでしまう。

そう考えれば彼は特別な存在なんだと思い知らさせる。

私なんかが隣に立てるわけなんてないよね・・・

「どうしたのよ?」

落ち込んでいるのを察したエスターが私の隣に座ってきた。

「うん。ちょっと落ち込むことがあったんだよね・・・」

「そっか」

エスターは黙って私の頭を撫でてくれる。その優しさに泣きそうになるけど、ここで泣くわけにはいかないよね・・・




「あらあらっ。随分とスッキリとしたお顔をしていらっしゃいますわね?」

売り場に戻ろうとしていると、コリーナとクリスティーナが、ロビーで俺達を待っていた。

クリスティーナと違って、コリーナは俺達が何をしていたか察しているようだ。

「フフフ。レンはこんなに可愛い顔して凄いのよ」

ナディアはいつもの妖艶な美女に戻っている。俺の腕に胸を押し付けて、いたずらっぽい顔で見つめてくる。

「何が凄いのですか?」

クリスティーナは何も分かっていないのか、普通に聞き返してくる。

「色々とね・・・」

ナディアがウィンクをして含みを込めて言うが、クリスティーヌはそうなんですねと、ニコニコしながら感心している。

この人は天然なんだろうな・・・

それに反してコリーナの顔は笑っているが、目は笑っていない。

ナディアは勝ち誇ったような顔をしているが、挑発はしないでほしい。

「アルバート辺境伯様が起こしになりました」

第一婦人のコリーナと第二夫人のナディアが買い物をしている間、愛妾の元に行っていたアルバートが戻ってきた。

「おぉ。待たせたな」

アルバートはズカズカとやってきて俺達の元にやってくる。

「レン。どうやら好調のようだな」

「ええ。お陰様で幸先のいいスタートを切る事が出来ました。これもアルバート様のお力添えのお陰です」

「ハハハハ。俺は何もしていないぞ。そう謙遜するな。それからクリスティーナも久しいな。息災か?」

「ええ。舞踏会以来でしょうか?噂の商会で皆様にお会い出来るとは思ってもいませんでしたわ」

「確かにな。ところでハインツは来ているのか?」

「いえ。夫は国境を離れる訳にはいきませんので、ここに来たのは私だけです」

クリスティーナから少し後ろめたさを感じているようだ。

「そろそろ私は帰りますわ」

「クリスティーナ様。本日はお買い上げありがとうございました」

クリスティーナは住んでいる所が離れているから、かなりの量を購入していた。

宝石もかなりの数を購入してくれたので、帰りはこちらで用意した荷馬車と護衛も付けて帰ってもらう予定だ。

しばらく談笑して、クリスティーナは帰っていく。

「さて、我々もそろそろ帰るとするか」

アルバートが声を掛ける。

「あなた。私は今日ここに泊まって行こうと思っていますのよ」

第一婦人のコリーナが突然のお泊り宣言。彼女が俺に褥を共にするよう誘ってきたが、それを第二夫人のナディアに先を越されたのが気に食わないようだ。

「おお、そうか。レンよ、コリーナを頼めるか?」

「えっ?」

まさかの無問題(もうまんたい)。自分の奥さんでしょ?もう少し何かないのか?

あまりの自由奔放さに呆れてしまう。

「レンよ。聞いておったか?コリーナを今日お主の所で泊めてやってくれ」

「は、はい。分かりました」

俺はただ返事をすることしか出来なかった。これが貴族の世界というのか・・・

嬉しそうにコリーナが俺の腕を両手で抱えてくる。

猫のような目で下から俺を見上げ、得物を捕まえたという笑みを浮かべた。


「コリーナを宜しくね」

ナディアは俺の元にやってきて、頬にキスをする。

「また二人で楽しみましょう」

耳元で囁くとアルバートの隣に行く。

「レンよ。これでお主と俺は穴兄弟になる訳だ。この次に会う時は義兄弟の盃でも交わそうぞ」

アルバートはガハハと豪快に笑いナディアの腰に手を回す。そして何事も無かったかのように馬車に乗って帰って行った。


嵐のような時間だったな。



笑顔で見送るコリーナに恐怖を感じながら俺は馬車を見送った。




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