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ラグナロク  作者: ピロ
第4章 地下迷宮へ
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地下迷宮 ドワーフの危機

寒いですねー。寒い地方に住む人には怒られそうですが、寒いのは苦手。←暑いのも苦手


「おはよー」

小夜はこれでもかというくらい口を開けて欠伸をする。

「全くの別人ですね・・・」

「んっ?何のこと?」

昨日の玉藻と今の小夜を見るとまるで別人だ。同じ顔なのに、全くの別人に見えるほど違う。そのせいで識別プログラムが再びエラーを起こしている。

「いいえ、何でも無いです」

小夜は寒いと布団で丸くなって出て来なくなるので、薪ストーブで薪をガンガン燃やしている。その成果もあってか、小夜はいつもより早めに起きてきた。

もう少し温度を上げてもいいかもしれませんね。

アイラはそんな事を思いつつ、小夜の朝食を用意する。

今日は金目の煮付けにひじき、サラダとみそ汁、それからご飯を茶碗に装って完成。

未来のレンチンセットは栄養バランスが考えられていて、一食分が丸々パックになっている。それから牛乳を用意すれば小夜の朝食は完成だ。

「おおおー。さすがアイラちゃん。完璧な朝食だね」

「まぁ私程のアンドロイドにもなればこの位当たり前です。カロリー計算だってちゃんと考えられていますからね」

掛けてないメガネをクィっと上げる。

「さすがアイラちゃんは違うなぁー。完璧すぎて眩しいぜ」

「そうでしょう、そうでしょう。もっと褒めたたえてもいいのですよ」

すっかりアイラの扱いを覚えた小夜は、アイラをおだてまくる。コレはコレでウザいと思いつつ、調子に乗せておくだけで、う●このようなパーフェクトフード、ヘルシックチューブを食べなくて済むのだ。

小夜はご飯を頬張りながらアイラを褒めたたえ、アイラはどんどんふんぞり返っていく。見えない天狗の鼻は、そろそろ月に到達する頃かもしれない。

「この中は快適だよねー。今日もここで過ごしてもいいんじゃないかな?」

「駄目です」

「即答?」

まぁアイラちゃんの言う通りだけどね。こんな地下にいつまでもいられないし、早くミレニアを倒してお兄ちゃんの所に帰らないとだよ。


「あー、さよなら私の快適ゲルちゃん・・・」

およよー。

地下の迷宮だけあって不快係数が高いんだよね。でも地上に出ると襲われるしさ、この世界にいいイメージないんだよなー。


「小夜。私が飛ばしたドローンがドワーフの街を見つけたようです。行ってみますか?」

「ホント?行ってみたい気がするけど、ドワーフの白骨だらけなんじゃないのかな?」

滅んだって言ってたからね、正直そんな街に行っても楽しくは無いよ。

「いいえ、ドワーフ達は生きていますよ」

「えっ?本当なの?滅びたって言ってたよね」

「生き残りが細々と生活しているって感じですけど、街としての機能はしているようですよ」

へぇー。ドワーフかぁ。ゲームの世界の住人としかイメージ無いけど、実際にいるなら見たいよね。

「行こう。情報なんかも手にいれられるかもしれないよ」

「そうですね。私も情報を仕入れるには立ち寄った方がいいと思いました」

やった!!美味しいものが食べれるかもしれない。


アイラが宙に投影している3Dマップに進行方向の矢印が表示される。

「おおっ。ナビも出来るんだね。このマップ便利過ぎでしょ」

「解像度を低くしていますが、このサイズならほとんど実際に見た感じと変わらないです」

「うんうん。かなりリアルだと思うよ」

本来なら真っ暗で何も見えない状態が、ライトで昼間と変わらないほど明るい。しかもマップが目的地に誘導してくれるから、迷うことが無いのだ。

最低限の労力で済むのは大きい。

「さすがアイラちゃんだね。出来る女は違うなぁ」

ヘソを曲げると面倒なので、小夜は定期的にアイラをおだてる事にした。

これで私が快適になるなら、アイラちゃんのドヤ顔だって可愛いもんさ。


冷たい風が頬を撫で暗闇へと通り抜けていく。迷宮の中は常に水が滴っていて、体が水に触れる度に体温を奪う。生命を活動させるにはエネルギーが必要で、熱を奪うこの環境は生きるものにとって過酷な環境だ。そんな中でも生命は存在し、小夜とアイラが通り過ぎると、小さな虫達が驚き逃げるように隙間に隠れてしまう。

「通路が広くなってきたね」

「ええ。おそらくドワーフの街が近いからでしょう」

その証拠にベンチが所々に存在し、街灯らしきものも等間隔で存在していた。

間違いなく文明というものが、ここに存在した証拠が残されている。

「地下にこんな物を造るって凄いよね」

この暗闇の中、小さな光でこれだけの物を造るのだ。どれほどの苦労をしたのだろう。

小夜はドワーフという種族に対して畏敬の念を感じていた。


しばらく歩いているとアイラが急に立ち止まる。どうやらアイラは耳を澄まして音を聞いているようだ。マップを広域に変更すると、サーモグラフィーによっていくつもの生命体がいる事が確認出来る。

「小夜、この先でドワーフが魔物に襲われているようです」

モニターを見ると3人のドワーフが魔物8体に襲われているようだ。


「よし。助けに行こう」

小夜は二匹の炎の獣を呼び出す。超高温の青い炎をあげる獣は辺りの水を一瞬で蒸発させ、辺りの水を一瞬でサウナにしてしまった。

「熱っ!!は、早く行って」

自分の思念を送ると、炎の獣は目標に向かって走り出した。

アイラのくれたナノプロテクターは快適な温度を保ってくれるのだが、緊急時で無ければ瞬時に外気をシャットアウトしてくれない。そのせいで顔だけがめちゃくちゃ熱かった。

小夜とアイラは炎の獣の後を追って行く。幸いなことに石畳が敷いてあるので走っても問題ない。

「この体の身体能力も中々すごいじゃないか」

「実は小夜の体に入っている吸血鬼の遺伝子は、私が過去に行って採取してきたものです」

「えっ!?そうなの?」

「はい、過去に行って頂いてきたものを培養して、小夜の体に投与しています」

「ベースがいいからだろうけどさ、体の動きが凄いんだよー」

実際アイラの観察データからも、予想以上のデータが出ていた。

嬉しい誤算というやつだが、そのおかげでこちらの世界でもかなり助かっている。

「小夜、戦っている音が聞こえます」

小夜にも魔物の咆哮と、ドワーフの激しい声が聞こえてくる。

「ドワーフは大丈夫?」

「かなり劣勢ですが、小夜の放った炎の獣が魔物に突撃したので、状況が変わりました」

「よし、じゃあ私達も急ごう!!」

そういうと小夜は更に加速して走り出す。

早いですね。

アイラの視点には小夜の走っている心拍数や血圧まで表示されている。平常時と大して変わらないにも関わらず、時速が60km近く出ていた。

明らかに異常な数値です。

アイラも核融合炉を加速させれば、その分だけ能力値が上がる。それでも小夜の走る速度は異常と判断していた。

「小夜、もうすぐです。そこの角を曲がれば敵がいるので気を付けて下さい」

「了解。アイラちゃん」

ここまでくると戦闘の音が聞こえている。

「見えた!!」

アイラの言った通り角を曲がると戦闘が繰り広げられていた。

バトルアックスを持ったドワーフが二人とその後ろに女性のドワーフが後ろにいる。周りには命を失ったドワーフが何人もいて、倒されたであろう魔物達の死体が所狭しと転がっていた。

魔法で二人のサポートをしているように見えるが、三人共疲労が激しい。


かなり状況がマズい。激しく肩で息をして今にも倒れてしまいそうだ。

危険を感じた時、小夜の走る速度が加速し、体が青く光り炎を纏う。

あまりにも眩しく、誰も目を開けられないほど小夜の体は熱を帯びていた。


「妖狐雷帝炎舞っ!!!!!!!!」


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